冬のソナタ 第7話 「冬の嵐」
7話の展開はとっても早く感じます。
そう感じるのはミニョンの気持ちが、この7話で徐々に燃え上がり、
その真摯な気持ちがこちらにもヒシヒシと伝わって、
胸の鼓動を早めるからかも知れません(笑)
それに、心に残る台詞が多いのも、この回ならではですね。
それは皆がここで、自分が今まで抱えていた感情を吐き出し始めたからでしょうか。
心の中に終っておいた言葉、それは暖めていた分だけ、重みと真実があるのです。
ユジンが運ばれた病院で、顔を合わせることになった4人。
ミニョンをかばい怪我をしたことで、申し訳なさそうにサンヒョクを見るユジン。
その、はっきりとしない視線に、サンヒョクは更に苛立ちを覚えます。
そして、かばわれたミニョンにも同じように苛立ちます。
そう、サンヒョクにはジュンサンに似ている彼が疎ましかった。
彼は、ユジンを惑わす存在以外の何者でもないのですから。
病室での2人の会話。
「ジュンサンを忘れられない…」
分かっていながらも、ユジンから直接、言葉にして言われてしまったサンヒョクは、
ジュンサンの存在の大きさを改めて感じ、出口の見えない気持ちを持って、スキー場を離れます。
ユジンはユジンで、嘘の言えない自分がサンヒョクを苦しめる事、
そしてジュンサンの面影を、自分が消し去れないことに涙します。
一方、ミニョンは治療室での張りつめた空気と、サンヒョクの自分に対する態度から、
ユジンが本当に愛しているのは、死んでしまったジュンサンの方だと理解します。
そして、チェリンはなんとかミニョンの愛を繋ぎ止めようと必死です。
でも、どんな理由があるにしろ、友達を陥れようとしたチェリンに、ミニョンの心は急激に冷めていきます。
ユジンの退院の日、花束を抱えユジンを出迎えたミニョンは、冷たく接していたことを謝り、
ユジンを最初感じたままの透明なユジンとして、真っ直ぐに見つめます。
そして、ユジンもそんなミニョンに素直に心を見せていきます。
人を本当に愛する気持ちってどんなだろう…
ミニョンは、自分の心に生まれてくる、今までと違った気持ちに戸惑いながら、ユジンの事ばかり考える。
彼はきっと今まで、頭で恋愛をしてきたのでしょう。
でも、今は心が欲している…、彼女の幸せを、彼女の笑顔を…
そして、ミニョンはユジンを具合の悪くなったユジン母親の元に送り届けながら、
あのジュンサンとの思い出の詰まった湖にユジンを誘います。
当然、ユジンにとってはそこは今では悲しさの溢れる思い出の地。
「世界はこんなに美しいのに、ユジンさんは何を見てる。悲しい思い出しか見ていない。あなたはずっとそこで生きるつもりですか?」
なんとか、辛い思い出から抜け出させてあげたいミニョンのこの言葉。
でも、ユジンにはまだ、そんな心の余裕はありません。
それほどまでにジュンサンの存在は大きいのか?
ユジンの様子からミニョンもまた、自分と似ているジュンサンの存在に苦悩します。
それでも2人は、今まで無かった心の交流を交わした事で、その距離を少しづつ縮めているように見えました。
山頂のレストランに向かうゴンドラの中。
2人が向かい合い、恥ずかしそうに微笑む姿。
それは見てるこちらも幸せにしてくれます。
「ユジンさんは白が好きなんでしたよね、季節は冬が好きで、じゃあ好きな食べ物は?」
「なぜですか?」
「覚えておきたくて…」
この台詞、実は2話でジュンサンとユジンが交わした会話そのままでした。
あの時聞いたのは、ユジンの方でしたが…
それを思い出したんでしょうね、ユジンはとても切なそうな顔をこの時しました。
この複線があったから、レストランで取り残された時、ユジンは心静める為にミニョンと少し距離を置きます。
が、暖炉にあたって眠るミニョンを見るにつけ、胸が痛くなる気持ちをどうにも出来ず、
寝にくそうにみえたミニョンのメガネを取った後は、さらにその気持ちが胸に広がります。
目を覚ましたミニョンは、ユジンがメガネのない自分を見ていた事、
そしてその表情から、ユジンがジュンサンを思い出している事に気が付きます。
以前、
「僕を見てジュンサンを思い出していいですよ」
ミニョンはそう言っていましたが、それは押さえ込まれたユジンの心を解き放したかったからでありました。
でも、実際、ユジンがこうして自分を見ながら、自分を見ていないもどかしさに、彼は嫉妬したのかも…
それが、ユジンを責める形で現れたのが次の言葉でした。
「いつまで死んだ人を思っているんですか?」
堰を切ったようなミニョンの言葉は止まりません。
ユジンは、自分の心にズカズカと踏み入るようなそんなミニョンに、声を上げます。
「どうしてそんなことを言うの!!」
「あなたを好きだから…僕が、あなたを愛しているからです…」
ユジンの瞳はここで見開いたまま、この時、誰を見ていたのでしょう?
ジュンサン?ミニョン?
きっと、どちらも、半ば重なる形で見えていた。
私は、そんな気がするのです。