愛の始まり
ミニョンがユジンに惹かれたのはいつからだったのか?
これを考える上でのポイント箇所はいくつもあるんですが、
特に私が気になったのは、キム班長の件で、ユジンがミニョンにお礼を言った後のミニョンの表情でした。
これを単にサンヒョクへの嫉妬だけと捉えるのは、面白くないと個人的に思ったのです。
全てがチェリンの嘘だと分かり、ソウルから車を走らせ急いで帰ってきたミニョンは、息せき切ってユジンの部屋に向かいます。
ところが呼び鈴を鳴らして、最初にドアを開けたのはサンヒョク。
ミニョンは驚きを隠せません。
ここ、ユジンが出ると期待して、サンヒョクが出たので驚いたのか、自分とユジンの間にサンヒョクがいる事実を思い出して驚いたのか、その辺りは、ちょっとよく分からないんですが、たぶん気持ち的には両方あったのじゃないかと思います。
その後、ミニョンは部屋ではなく外の駐車場で考え込んでいます。
頭を冷やして考えたい…これは、そういう事ですよね。
愛していたチェリンの余りにひどい策略に対する失望。
ミニョンのチェリンに対する愛情はこれで急速に冷めていきます。
その代わりに、今まで良いにつけ、悪いにつけ、気になっていたユジンが、自分が最初に感じた通り、透明な彼女そのままだったことに安堵するミニョン。
愛する人の心に建てる家が、一番素敵な家だと話したユジン…
ミニョンはそれを聞いた時の驚きと、自分と同じ感性を持つユジンに
対する親近感の感覚を思い出していたのでしょうか?
ここで場面は変わって、再びホテルの廊下。
部屋にいたいと言うサンヒョクを、ユジンがエレベーターまで送ると言って歩き出します。
それを外から帰って来たミニョンが立ち聞きし、そのまま部屋に戻るのではなく、その場から立ち去ろうとする場面です。
なぜ立ち去るのか?
ここもポイントでした。
立ち去る事をミニョンは選んだのですから…
2人で居るところを見たくない、そして何より、サンヒョクの存在を認めざるを得ない現実。
ユジンには仲の良い婚約者がいる…そう彼は、ここで心に刻んだんじゃないか?
そう思ったのです。
次の日、キム班長の件でお礼を言うユジンに、ミニョンは反応せず、
口をついて出たのは、サンヒョクの事でした。
その顔つきは、ホテルの事をチェリンに話したのを、まだ根に持っているかのような表情です。
そして、その後もユジンの返事を聞きながら、表情を変えず、冷たい口調を崩そうとしない。
とどめが、立ち去るユジンを見る表情です。
とても冷ややかなんですよ。
最初に戻りますが、これはどういう意味だろう??と思ったわけです。
この時点で誤解は解けているし…
ミニョンはこの時、自分の気持ちの中にある、ユジンへの想いに気がついていたんだと思います。
前日の夜、駐車場で彼はそのことを考えていた。
でも、ユジンには婚約者がいる。
チェリンとは、もう、つき合う事は出来ないが、ユジンともそれは出来ないんじゃないか…?
今なら、淡い想いのまま、終わらせてしまうことも出来る。
いろいろな恋を経験していたミニョンには、それは賢明な選択に思えたでしょう。
だから、冷たくした。
以前ミニョンは、お寿司屋でチェリン相手に
「愛の為に離婚する人もいるんだから、婚約してるくらい、なんでもない」
みたいなこと言ってましたが、それだって、この分が悪い状況から、成し遂げるには並大抵の事じゃない事ぐらい、ミニョンだって分かっていたはずですしね。
もちろん誤解していたことを、後々謝るつもりではいたでしょうし、サンヒョクに感じた嫉妬のような気持ちも本当だとも思っている。
でも、止めなけれなければ…そういう気持ちがこの時はあった、そんな気もするのです。
ただ、この後、ミニョンはユジンの落とした運命のカードを拾ってしまいます。
ミニョンの頭にはジョンアに言われた言葉
「このカードを持った女性が運命の人です」がよぎる。
そう思うと、ホントまさにこの時が運命だったと思うのです。
ミニョンは、たぶん一度は、ユジンの事を通り過ぎようとしていたのですから…
そして、事故にあった後のユジンのぎこちない態度と、サンヒョクの動揺を見て、サンヒョクもユジンの愛を得ていない、そう、問題なのは婚約者のサンヒョクではなく、死んでしまったチュンサンの方なんだ…とミニョンは確信する。
サンヒョクが、
「ユジンはあなたを助けたんじゃない」と言ったのは、サンヒョクのミニョンに対する、精一杯の釘刺しだったんですが、ミニョンにしてみれば、ユジンへの気持を見つめ直す為の、きっかけになったでしょうね。
そして、通り過ぎてしまうには大きくなりすぎたユジンの存在に、ミニョンは気付くことになる…
そう考えると、運命のカードの意味とか、結構ドラマチックに考えられますよね〜
さて、それじゃあ、ミニョンの愛の始まりはどこにあったのか?
それは、マルシアンの事務所で、ユジンが涙を流した時、彼の心に火種として生まれていた。
私は、そう思いたいんですが…