■ロッド製作指南 (2005年08月初版、07年01月追記)  ■戻る

ロッドビルディング・・・。
釣りを始めた頃は自分で竿を作ってまで釣りをやるなんて思いもつかなかったが
気が付くとどっぷりハマっていた自分。
釣りよりもロッドビルディングの方が面白いとさえ感じている今日この頃・・・。
そんな危険な世界ではあるが、作るからにはしっかりした物を完成させたいと思うのは当然です。
どこまで作りこむかは人それぞれですが
凝り性の自分は、スレッドの配色、糸巻きの規則性、グリップの形状など
納得いくまでやり直し、試行錯誤を繰り返します。
その竿で魚が釣れた時のことを想像しながら・・・。
このページを見てくださった方のロッドメイキングに少しでも参考になったら幸いです。
 ■バット部
アマノ製
ロングフェルールバットUB2
¥20,475(税込)

BROSS製
硬質ゴムグリップ
¥1,984(税込)

富士工業製
ギンパルキャップ BRC-GC25
¥315(税込)

アルミコネクターは丁度良いサイズが無く、旋盤を使って自作しました。

 フェルールの底に空気抜きの小さな穴を開けておきましょう。接着剤を塗ってブランクを挿入したとき、空気が抜けず往生します。
 ■ゴムグリップ
 硬質ゴムグリップに布テープと、飾り巻きの糸を巻きつけた所。両面テープで貼り付ける・・・と、言われるが、強度面に難があると見て、僕はFig3のエポキシ接着剤を使ってます。ゴムの表面はサンドペーパーで荒らしておくと、接着剤の食いつきが良くなります。

 巻き始めと、終わりが難しい。キッチリ作りましょう。まあ、その部分は最終的に上から飾り巻きをしてしまうので、多少ラフでも問題ないが、気持ちの問題です。

 布テープを斜めにカットするには、熱したカッターナイフで切ると良いです。

布テープ黒
¥630
金糸
¥420 2本¥840
銀糸
¥420
(全て税込)
 ■エポキシ接着剤
 硬質ゴムグリップに布テープを巻くときに使う接着剤。

 普通のエポキシ接着剤ですとゴムは不適ですが、この製品は乾燥後も弾性がありゴムもOK、なんとシリコンも接着できます。
 ■エポキシ接着剤混合パレット
 エポキシ接着剤を攪拌させる時に使うパレットです。メモ帳を使ってもいいですが、今一やり難いので、僕はテフロンシート(写真右)を使っています。以前はプラ版を切って使っていましたが、不経済なので今はこれです。硬化後、簡単に剥離するので何度でも再利用可能です。
 写真左は模型店で入手した攪拌専用のパレットで材質はポリプロピレン製。こちらも硬化した塗料や接着剤を簡単に剥がし取ることが出来ます。が、かき混ぜにくい・・・。
 攪拌に使う棒は、割箸を使う方が多いですが、写真下にあるタミヤ製の調色スティックを使っています。
 ■攪拌ボトル(カップ)
 こちらはデュラグロス等エポキシコート剤を攪拌させるボトル(カップ)です。写真右はロッドビルド専門店で購入した攪拌専用の物です。アルミ製で分厚くかなりの重量感。僕的にはもう少し大きいほうが使いやすいと思います。写真左は愛用しているステンレス製のカップです。料理用です。プリンとか作るやつです。この大きさが使いやすいです。
 専門店に樹脂製のカップが売られていますが、作業性を考えると金属製の方がやりやすいし、一個買えば何度も使え一生物です。
 ■エポキシコート
 Fig2で作ったグリップにエポキシコートを塗った所。濃度はエポキシ1に対して薄め液0.5。

 布テープは黒が一番良いかと。ピンクや黄色など明るい色は下地の素材の色が透けて見えるし、色が暗くなってイメージどうりにいきません。黒か紫が失敗が少なく、無難です。

 アルコールランプであぶってエポキシ内に混入した気泡を取り除きます。ライターやロウソクですと黒いすすが出るので使えません。

 エポキシは一回塗って終わりです。表面にザラザラ感が残り、グリップらしさを演出します。
 ■ガイド
 富士工業製ガイド
 タイプはRガイド(ホーンガイド)でゴールドカラー。
 派手な金メッキ仕様ですが、手入れを怠ると直ぐに腐食するので注意。
 ものぐさな人は、銀メッキ、もしくはブラックカラーのタイプをチョイスしよう。金メッキに比べて腐食しにくいです。
 トップガイドはHNガイドす。

 10F    ¥997  5個 ¥4,987
 12F    ¥1,155 3個 ¥3,465
 16FL   ¥1,312
 16F    ¥1,365
 20F    ¥1,837
 20FH   ¥2,835
10H-4.0  ¥1,365(トップガイド)
 合計   ¥17,164(税込)
 ■ガイド加工
 ガイドの足の先端はスレッドの乗りを良くするために斜めに削ります。

 竿が曲がったときに、この部分にできるひび割れもある程度防げます。完璧ではないが。

 平ヤスリでもいいですがRガイド(ホーンガイド)は、真鍮素材(ブラス製)が削りにくいので、グラインダーで大まかに削り、平ヤスリで修正、紙ヤスリで仕上げとします。最後にパーツクリーナーで洗浄し、削り紛を洗い落とします。富士工業のカタログ内にあるようにアルコールでふき取るだけでは不十分です。スプレー式のパーツクリーナーを使って染み込んだ削り粉を吹き飛ばさないと、いくらエポキシコートをしたところで、錆びが浮いてきます。また、これ(錆び)を嫌って削らないビルダーもいます。(めんどくさがり屋の言い訳と自分は思っています)

2007年8月追記
2本目のキンメロッド作ろうとガイドを注文した所、先端が斜めにカットされていたのもが届きました。今後出荷される物についてはメーカーカット済みのようです。
 ■ブランク
 総巻き終了後、エポキシを6回塗ります。

 何回塗るかは個人の好みの問題で、たとえば手持ちの真鯛竿など軽く作りたいなら4回などと、用途によって塗る回数を決めてます。今回は重量級のキンメ竿なので重厚さを出すため6回としました。プロショップのスタッフに聞いても各自の経験等、諸説あるようで、意見もまちまち・・・。

 塗るときの刷毛はポリエステル毛の幅15ミリの物を使っています。ガイドもこれです。
 幅が広い方が作業性がいいです。

 竿のメインカラーは黒ラメですが、ガイドが乗る部分は後のガイド巻きスレッドの発色を良くするため、白を巻いてあります。

ブランク
高密度グラスBソリッド
長さ2100・元径17・先径3.7
¥13,125(税込)
 ■研磨
 6回エポキシを塗った後、耐水ペーパーを使って研磨します。

 ロッドメーカーにブランクをセットし500rpmで回転させ、180・240・320・400・600・800・1000・1500・2000番の順にかけます。ロッドメーカーがあればこの作業は手早くできますが、無いと・・・・。電動ドリルでもできますが13ミリ以上の太さですと直接チャックに咥えられないので、アタッチメントが必要です。電ドルを持ってもらう、お手伝いさんも必要です。

 写真の持ち方は撮影用で、本来は両手でがっちり持ち、ブランクの上にはナイロンの布テープを当てて水分を切らさないようにして研削します。

 バケツを用意し絶えず水をかけながら作業してください。目が詰まったらこまめに洗って取り除くこと。

 とにかく水気を切らさないこと。

 添え木を使うとうまく研磨できます。
 ■コンパウンド
 耐水ペーパーで研磨後、コンパウンドを使って仕上の磨きをします。
 コンパウンドにも、細目・極細目・超微粒子とあり、だんだん細かくなるようにかけます。
 コンパウンドはノンシリコン・ノンワックスタイプを使いましょう。後のガイドコーティングに影響が出ます。
 従来、ブランクの最終仕上げには、しごき塗りや、エポキシを染み込ませたストッキングを走らせたりしていましたが、このコンパウンド仕上げでは、それらを超越する仕上がり具合が得られます。
 気泡やゴミの混入、ホコリの付着による突起や塗りムラも皆無。何より作業が簡単です。
 ウエス(棉素材)に歯磨きする時の量ぐらいコンパウンドを搾り出し、ロッドメーカーで回転させつつ前後に動かしながら磨きます。
 ■コンパウンドクロス
 ウエスである程度磨いたら、最終仕上げは専用クロスで磨き上げます。
 よくコンパウンド仕上げは仕上げ塗りより光沢感が落ちる、艶が出ないと言われますが、それは知識不足、技術不足、経験不足です。鏡面仕上げ目指してしっかり磨いてください。
 写真左はGSIクレオス製『仕上げ磨き用』です。他に『磨き用』がある。¥800円

 写真右はタミヤ製『コンパウンド用クロス』¥1,000円 
 ■ガイド取り付け
 ガイドを取り付けている所。

 今回のカラーリングのテーマは深海を泳いでいるキンメ。まんまジャン。黒・赤・金でキメ!。

 僕はロッドメーカーは使わず、手でチマチマ巻くのが好きです。テンション台等も使いません。ボビンホルダー使いです。ぶっちゃけ、ブランクの総巻きも手で巻きます。ガイドの巻始めと終わりはセオリー道理にやっていますが、瞬間接着剤等で留めるビルダーもいます。

作業台はちゃぶ台です。胡座かいて、のんびりやってます。

 先曲がりピンセット、デザインナイフ、せんまいどうし、ノギス、マスキングテープ、ボビンホルダーは必需品です。

 フカサワ釣具に行くたびにスレッド買ってくるので、コレクター状態です。
 ■ピンセット
 スレッドを終端処理する時に使うピンセットです。ナイロンで作った輪っかに通す時に使う物ですが先が鋭ければ鋭いほどやりやすいです。以前はタミヤ製ツル首ピンセットを愛用していましたが、写真のスイス製を見つけてからはこれ以外考えられない。

 意外と知られていないようで、以前は田宮模型でしたが社名変更し株式会社タミヤになりました。
 ■スレッドサンプル
 スレッド(糸)はコーティングすると発色が変わるので、サンプルを作って組み合わせる色を決めています。このサンプル、もの凄くだ〜いじ。皆さんぜひ作りましょう。
 ■プラパイプ
 サンプルを作るためスレッドを巻きつける器材は米国・エバーグリーン社製のプラ素材を使いました。サイズが幾つかあり直径12.7ミリのプラパイプが適当です。模型専門店で入手出来ます。
 レインボー・テンで購入、2本入り¥525円
 ■ガイド仮止め
 ガイドを仮固定するにはナイロンバンドが良いです。並び具合の微調整がやりやすく、強力な仮固定が得られます。特にヒネリのきついホーンガイドを固定するにはナイロンバンドが最適です。マスキングテープには戻れません。ホームセンター等で安く売っています。

 呼び方はメーカーによ、タイラップ、インシュロックなどと呼ばれています。
 ■ダイヤモンドラッピング・1
 ダイヤモンドラッピングをするための基準線を糸で引きます。90度で4本。
 正確を期す為、ラッピングする部分の外径を測り、外周の長さを計算します。 それを4等分して、平らな所に貼ったマスキングテープに4箇所印を付けます。それを剥がして始まりを上にして今度はブランクに貼り付け、その上に基準線の糸を這わせます。これで正確に4分割できます。

 ポイントは、あまり沢山の色を使いすぎないこと。一色を3回巻くといい感じなる。ピッチ(間隔)にも注意。見栄えが変わります。

 外径やピッチを測るためのノギスは必需品です。

とにかく試行錯誤で経験しかないです。

 2007年版富士工業カタログに飾り巻きの詳しい解説がされています。ぜひご一読を。
 ■ダイヤモンドラッピング・2
 今回は銀・金・赤・紫・黒を使いました。
GUDEROD製のDスレッド。黒以外は3回巻いています。黒は最後に一回巻いたのみで、ひし形を際立たせるための締めの意味合いが強いです。

 今回はデザイン上、総巻きした上に直接ラッピングを施しましたが、派手に仕上げるのならラメ系やメタリック系のスレッドで下巻するのもよい。

 この種の飾り巻きは奥が深く、パターンは無限大といえます。色々試してみるのも面白いです。皆さんも参考書等を見て技を広げてください。
 ■ダイヤモンドラッピング・3
 こんな感じにラメ系のスレッドで下巻きしても良い。そこだけ際立たせる派手な色にすると、のっぺりした竿にワンポイントアクセントとなって目立つこと請け合いです。
 ■ガイド巻きコーティング・1
 ガイドの取り付けが終了。この後、グリップ、フェルールの取り付けとなる。

 ガイド巻スレッドをエポキシコーティングする前にバットにリールをセットし、ガイドの並び具合をもう一度チェックしよう。

 スレッド(糸)の金色と紫色の発色の見極めが難しい(特にラメ系)。エポキシ塗ると暗くなるので素の状態で仕上がりをイメージすると思ったとおりの色が出ず失敗します。紫色は目立たなくなるし、金色もなかなかいい発色のものがありません。
 ■ガイド巻きコーティング・2
 グリップの内径が18ミリ、ブランク外径が17ミリなので、隙間は糸を巻いて調整しました。

 ガイド巻きスレッドのエポキシコーティングは5回塗ります。3回塗った所で、突起やデコボコをカッター等で修正しましょう。

 夏場、ガイド塗りのエポキシは2回に分けて作るのが良いかと。
 一度に作ってしまうと後半エポキシの粘度が硬くなって非常に塗りにくくなる。冬は一度に作っても問題ないです。

 濃度はエポキシ1に対して薄め液0.5でやってます。分量はレジン3cc、硬化剤3cc、薄め液1.5ccが1回に作る量です。

 フカサワ釣具にデュラグロスの小分け売りがあり便利です。レジン・硬化剤、各50ccで¥1600円という安さも魅力。竿一本作る量です。今回のロッド製作でも丁度使い切りました。
 ■ガイドブック
 洋書(英文)ですがロッドビルドの参考書です。

 一通りの作り方が書いてあり、結構参考になった。
 洋書を扱っている書店で購入できます。
¥3,000円ほど。