洗剤についての質問(1999年12月21日) 僕達は、宇和島市・・・・・(中略)・・・・・です。いま学校で、洗剤の環境に与える影響 のことについて知りたくて、勉強しています。それで、いくつか質問があるのでお聞き したいと思います。 1 界面活性剤とは何か。また、それがどうして環境に悪いといわれているのか。 2 合成洗剤とはどういうものなのか。また、それがどうして環境に悪いといわれて いるのか。 3 洗剤(石けんもふくめて)には環境にいいものと悪いものとがあるのか。 4 合成洗剤と、界面活性剤とはどう違うのか。 以上4つのことについて、小学生の私たちにもわかるように教えてもらえませんか? お忙しいところ、よろしくおねがいします。お返事待っています。 |
お答えします(1999年12月23日) メールをどうもありがとうございます。質問にお答えします。 1.界面活性剤とは何か 粒の青い部分に親水性があり、水とよくなじみます。 黄色い部分には親油性があり、油とよくなじみます。 界面活性剤は油汚れを落とすはたらきがあります。 界面活性剤はその名前とおり、水と油の境界面や、水と空気の境界面に集まって います。 2.洗剤とは何か 水はいろいろな物をよく溶かすはたらきがあります。しかし、油は溶かしません。 家庭用の洗剤は界面活性剤が主な原料として使われています。 3.洗剤の種類 石けんと合成洗剤に分けられます。 (1)石けん‥‥油(動物油・植物油)と水酸化ナトリウムが原料 よく使われている化粧石けんは95%以上が純石けんです。 化粧石けんは石けんという界面活性剤でできているわけです。 (2)合成洗剤‥‥化学合成して作った界面活性剤が原料 多くの種類の界面活性剤が合成されていますが、ほとんどは石油を 原料にしています。 界面活性剤には石けんと、石油を原料とした界面活性剤があり、洗剤は石けん(界面 活性剤)からできている石けんと、主に石油を原料とした界面活性剤からできている 合成洗剤とに分けられます。 4.界面活性剤の環境に与える影響 (1)石けん 石けんは弱いアルカリ性です。人間の皮膚は弱い酸性で、石けんが皮膚に残っても、 すぐに分解されます。(脂肪酸になる)また少しくらい飲み込んでも胃液が強い酸性 で、すぐに分解します。 石けんは川に流れ込んでもすぐに沈殿し、その後速く分解します。石けんの原料は 植物油や動物油です。自然界には油を分解する細菌が多く存在し、速く分解するす るわけです。 (2)合成洗剤 合成洗剤の原料の界面活性剤は石油から作られています。石油は地中にあって自然 界には存在しませんでした。したがって石油を分解する細菌も自然界には存在しな いわけです。 川に合成洗剤が流れ込むとその界面活性剤は分解しにくく、長く水中に残ります。 合成洗剤の界面活性剤が人体に入っても、少量であればすぐに健康に害が現れるこ とはありません。ただ少量でも何年も人体に入るとどのような影響があるかはわか っていません。 合成洗剤の界面活性剤はとても種類が多くあります。洗濯用に最も多く使用されて いるLASは油脂を取り除く性質が強く、皮膚を保護している脂肪分が失われて手 荒れの原因になります。そのため台所用の合成洗剤はLASを使った製品が少なく なりました。 5.これからの洗剤 石けんは人体や環境にやさしいと思いますが合成洗剤の長所もあり、これからも使 い続けられるでしょう。 合成洗剤を追放しようとするのではなく、石けんや合成洗剤を正しく理解し、使い 分けを考えていくべきだと思います。 合成洗剤の界面活性剤は種類が多く、その環境に対する影響はじゅうぶんに研究さ れてはいません。界面活性剤のPOEPがが分解されてできるノニルフェノールが 環境ホルモンとして疑われるなど、新しいこともわかってきました。 私たちの日常生活では、洗剤として石けんがあればほとんど用が足り、合成洗剤の 使用はごく一部ですむと思っています。皆さんはどう考えますか。 |
化学部では合成洗剤の環境に対する影響の研究をしていますが、まだ
研究の途中です。 どなたかわかりやすい実験結果をお持ちでしたら教えて下さい。 unno@thn.ne.jp |