はじめまして・・・(1999年9月24日) ・・・略・・・ 早速みなさんに質問です。出来る範囲で結構ですので、答えていただけると嬉しい のですが、”ブランク値”について、その意味と活用の仕方を教えていただけますか? 基本的な事かもしれませんが、宜しくお願いします。 あと、水質を知る上でどういう観点で見ていくのか、CODとかBOD、リン酸、窒素・・・ 色々あると思いますが、最も効率的でしかもそのメリットなどを知ることが出来たら 嬉しいです。・・・略・・・どうぞ宜しくお願い致します。 |
お返事が遅れてしまいました。お答えします。(1999年10月3日) ”ブランク値”について、その意味と活用 水質分析で測定する値です。水質分析法の種類に容量分析と比色分析が ありますのでこの2種類を例に、説明します。 @ 容量分析(滴定法) CODを例にします。 水中の有機物が過マンガン酸カリウム溶液の色を消します。分析操作 では、試料水に過マンガン酸カリウム溶液を滴下し、溶液の赤紫色が消 えなくなったところが終点です。 ところで、試料水中に有機物がゼロであっても過マンガン酸カリウム 溶液を加えるわけですからいくらかの数値が出てきます。そこで試料水 のかわりに蒸留水を使って滴定をします。そして試料水の滴定値から蒸 留水の滴定値を引き算するわけです。 この引き算する蒸留水の値を”ブランク値”といいます。容量分析で はどの分析でも蒸留水を使った”ブランク値”を測定します。 A 比色分析 試料水に発色剤を加え、その色の濃さで濃度を測定する方法が比色法 です。たとえば燐酸イオンは青、亜硝酸イオンは赤の呈色です。 この色が濃いほど濃度が高くなります。色が濃いほど当てた光を吸収 し、透過する光が減少します。この光の減少を分光光度計で吸光度とし て測定します。 分光光度計の使用では試料水の吸光度を測定する前に蒸留水を使って 分光光度計のゼロ調整をしなければなりません。これが”ブランク値” の意味になります。 (試料水が濁っている場合、発色剤を入れなくてもその濁りで光を吸収 してしまいます。そこで、発色剤を入れない試料水でゼロ調整をする ことがあります。これも”ブランク値”です。) 水質を知る上で調査結果をどういう観点でみていくのか DO‥‥溶存酸素。水中に溶けている酸素です。有機物が多く含まれて いると細菌が増殖し、その呼吸によって水中の酸素が減少しま す。DOがゼロの汚濁した河川もありますが大抵は空気からの 供給があり、不足しません。 BOD‥酸素瓶という密閉された瓶に試料水を入れ、光を当てないで 20℃で5日間保ちます。水中に有機物が多いほど細菌が増殖し、 その呼吸によって酸素が減少します。減少した酸素量がBOD です。 5ppm以下で汚濁に強い魚が生息できます。特に清水をを好む 魚が生息できるのが2ppm以下です。水浴が可能なのがこの水 質からです。私たち化学部ではBODが2ppmを目標に研究を しています。この水質では目で見ても河川がとてもきれいで子供 たちも安心して水遊びができます。 (環境基準の表はホームページの「今考えていること」をご覧く ださい) COD‥@容量分析で説明した分析です。有機物量の目安になるため、 BODと関連性があります。 日本では河川でBODを、湖沼や海ではCODを環境基準の項目 に入れています。 汚濁した水というのは栄養分が多く、生物が多くなります。生物の食物連 鎖で一番基礎のあるのが水中では植物性プランクトンです。 (植物性プランクトン →動物性プランクトン →小型魚類 →大型魚類) 植物に必要な栄養素の書類は多いのですが天然水で不足しているのが窒素 と燐です。従ってこの二つが供給されれば急激に植物性プランクトンが増 え、水が汚濁してきます。 一般に全窒素(T−N)が1ppm以上、全隣(T−P)が0.1ppm 以上で富栄養化の状態であり、海では赤潮が発生しやすい水質です。 そして通常の下水処理では有機物がかなり減少しますが、窒素や燐を完全 に除去することができません。窒素や燐は有機物の構成成分で、有機物が 分解すると生じます。 全窒素‥(T−N)有機物の構成成分としての窒素のほかにアンモニウム イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオンの成分としての窒素を合計し たものです。 ホームページの社会参加活動・資料・分析項目の図にありますが 窒素は水中で有機体窒素 →アンモニウムイオン体窒素 →亜硝 酸イオン体窒素 →硝酸イオン体窒素 と移り変わります。 全燐‥‥(T−P)燐は有機物の構成成分ですが分解すると燐酸イオンに なります。この合計が全燐です。 水質を分析項目から読みとるには、まずBODを見ればよいと思います。 (5ppmでは魚がやっと住める、2ppm以下で水遊びができる) 次にこれからの課題として全窒素が1ppm以下、全燐が0.1ppm以下 になっていくかを注目したいと思います。 以上、お答えになったでしょうか。 ・・・略・・・取り急ぎ、まとめてみました。 不明な点はどうぞお知らせください。 今後もよろしくお願い致します。 |
(1999年10月4日) ・・・略・・・お返事、ありがとうございました。 ブランク値については、これまで試験をしたことが あったのですが、今回の説明を受け なぜ”ブランク値”が必要なのか という疑問を解決することが出来ました。 本当にありがとうございました。 他にも窒素、燐までも詳しく説明していただき 水質に関して、理解を深める事が出来ました。 これをきっかけにさらに突っ込んで水質の勉強を していこうと考えております・・・略・・・ 宜しくお願いいたします。 |