8.まとめ

 長泉町生活環境課発行の「長泉町の環境行政−平成6年版−」によれば
 桃沢川は次のように書かれています。

 「桃沢川は愛鷹山中に源を発し、下永窪地先で黄瀬川に合流する全長7km
 の黄瀬川の支流である。桃沢キャンプ場地点の平成5年度BOD平均値は、
 1.0mg/lで非常にきれいな水質が保持されている。又、下流の高橋のBOD
 平均値は、2.0mg/lで良好な水質が保持されている。」         

 しかし桃沢川を歩き、上流の水神社から下流の黄瀬川合流点まで観察する 
 と水質が全て良好とは感じられません。金岡橋付近では渓流として清冽な 
 流れを見せますが、生活排水が流入している中流の猿山橋や神田橋では洗 
 剤の泡が流れ、水に臭気を感じることもあります。中流・下流では観察の 
 ために水に手を入れるのがためらわれます。当然のことながら子供が水遊 
 びをしているのは少年自然の家までで、中流・下流では見られません。  

 桃沢川は豊かな自然の中を流れ、人々の生活に密着した河川です。平成  
 10年8月9日に水質調査を実施し、平成8年5月・8月の調査結果と併せ 
 て桃沢川の水質を検証しました。                  

 pHは良好な範囲内にあります。溶存酸素(DO)も十分にあり、河川水の 
 中で有機物の分解・酸化は正常に進んでいると思われます。       
 塩化物イオン(Cl−)は上流から下流に向かって増加し、生活排水の流入
 が考えられます。アニオン界面活性剤(合成洗剤の主成分)も下流で増加し、
 平成8年は山岸橋、黄瀬川合流点で0.2mg/l以上の値を示し、水が泡立つ濃度
 でした。                               
 大腸菌は上流では検出されませんでした。下流では増加し、水浴が出来ない 
 範囲です。                              
 アンモニウムイオン体窒素(NH4+−N)と亜硝酸イオン体窒素(NO2−
 −N)は濃度が小さく水中で速やかに酸化が進行していると思われます。  
 アンモニウムイオン体窒素と亜硝酸イオン体窒素が酸化して生じる硝酸イオン
 体窒素(NO3−−N)は上流から下流に向かって大きく増加しています。 
 下流では1mg/lを越えた大きい値です。                 
 リン酸イオン体リン(PO43−−P)も下流で大きく、0.1mg/lを越えています。
 全窒素(T−N)と全リン(T−P)も下流に向かって大きく増加しています。
 下流では全窒素が1mg/lを、全リンは0.1mg/lを越え、湖沼や海の生活環境基準 
 を当てはめれば不快感を与える富栄養化した水質です。 窒素とリンは生活排水 
 以外に田畑の肥料からの流出が考えられますが、その割合は不明です。     
 CODも下流に向かって増加しています。                  

 桃沢川の水質を公表されているBODだけで判断せず、生活排水を中心とした  
 有機物に関連する分析を実施しました。

水遊びが出来る水質を基準とすれば中流・下流では不合格です。水質改善のための
対策が望まれます。