GRIND CORE   

ボクら”集団自己催眠状態?”。  サンデースノーボーダーってとこッスね
「先生は、どこか南のにおいのする風が吹き抜ける体育館にいた。先生=諏訪村英男は、厳しいことで名が通っている。仕事は、首の骨折で体が麻痺し、車イス生活を余儀なくされた人に、車イスでの正しい運動の仕方・より快適な暮らし方を指導する厚生技官だ。

驚くことに、車イスとスノーボードはたくさんの共通項があるそうだ。例えば、外向傾姿勢、重心の位置、カーブの仕方などなど。彼は、スノーボードにのめり込んで10年なるが、雪の上で得た運動感覚、運動要素を車イスに再現する。

「20歳から波乗りやってたんだけど、冬は腰痛が悪化するんで、波乗りに変わるものを探してて。スノーボードの深回りの感覚。あーんなに気持ちいいもんないよね。俺のアルパイン・フリーライディングの大きなイメージは、70年代のサーフィンなんだ。

昔は大会出たり、検定員の資格も取ったんだ。毎週滑りにいきたいんだけど、家族もいるからなかなかね。(笑)。完璧サンデースノーボーダー。月に行っても2回くらいかな。

でも、こんなディープなサンデースノーボーダーはまずいない。彼は先日、「NARCISS CONDITION」というビデオをプロデュースした。先シーズン撮りためた仲間たちの滑りを、70年代のサーフィンムービーのイメージで仕立てた。その作品に込められたメッセージは、「サンデースノーボーダーだって、こんなにカッコよさそー、無茶くちゃ気持ちよさそーに、毎回すこし考えて滑るだけで、バリバリ上達しちゃってるぞー、みたいなこと?技術のうんちくのじゃなくて、自由な滑走シーンで伝えるの。おまけにもうちょっとのめり込めば、店頭に並んでるようなビデオがシロートでもつくれちゃう。自分たちがスターになれるし、これはもう、完全に”集団自己催眠状態”ともいえるけどね。

みんな影響しあったら、もっと伸びていける。オヤジ・オバンでも頑張ればここまでいけるんだから、悔しかったら俺よりウマく滑ってみろってね(笑)

先生は、昔から「GRIND CORE」というかなりマニアった(異常におもしろい)情報満載の小冊子も自ら制作(気持ちがむいたときだけ)、仲間たちに配り続け、人の輪を広げてきた。

そのこだわりとアイディア、そして思いやりは、これからどんな方法で表現され続けるのか楽しみである。

SNOW MAGAGINE(スノマガ) 創刊号

山と渓谷社 ’97.12 より

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