微熱〜Circle of Life 〜




熱にうかされて夢を見た そこは荒れ野… 
赤い土と どこまでも続く1本の道 

鋪装されていないその道は 風が走るほかは何もなく 
何者ともつかぬケダモノの遠吠えが 
遠く 近く 背後から追い立ててくる 

夜が降りたその道は 砂が凍って 一面が棘の絨毯となり  
土埃に汚れた素足は 血が滲んで 休みたいと泣いている 

こんなに寒くて こんなに痛くて 何故歩くのだろう? 
あんなに遠くて 何も見えなくて 何故歩くのだろう? 

どこにも 辿りつけないかもしれないのに 
誰にも 巡り会えないかもしれないのに 

頭の中では 「もういいじゃない ここでオシマイにしよう」 
疲れた身体は 「もう無理だから ここで眠ってしまおう」 
倦み疲れた感情の全てが 空腹が 寒気が そっと囁く 

あぁ… ここで倒れてしまえば 楽かもしれない… 

ふと 胸元に温もりがあるのに気付いた 
大きな輝く瞳で見上げる 小さな猫 
猫はできるだけぴったりとその身体を押し付けて 
その温もりを分けてくれようとしていた… 

すっかり暖まり 再び歩き出すと 
猫は胸元からポトリと落ちた ……ポトリと落ちて 死んだ…… 
涙のかわりに私の瞳は猫の色になった 

歩き続けて 空腹でひからびてきた時 
三本足の狼が目の前に現れ 肉をくれた 
満腹に満たされて 再び歩き出すと 
三本足の狼は バタリと倒れた ……倒れて 死んだ…… 
涙のかわりに私の足は狼の足になった 

赤い土の1本道に 白々と夜が明け始め 
猫の瞳と狼の足をもった私は 行くてに蕾みを見つけた 
名もないその花に わけもわからず涙がこぼれた 
こぼれた涙は蕾みに落ちて 小さな花を咲かせた 

途端に 名もなき小さな花は一面にその子孫を広げ 
荒れ野の道を 春の花野(はなの)で満たした 

不思議に満たされた感情と共に目覚めると 
身体の内にみなぎる言葉と生命を感じた 

サークル・オブ・ライフ……生命の輪…… 
沢山の罪と愛を食べながら 生きてゆくけれど 
その中の一点でいい 
歩き続けてゆけば この道もいつか一つの輪になるのだろうから… 

………そして 目覚め






題名
作者名

本文用スペース





ホームへ


推奨環境:
IE5.0以上のブラウザで1024×768dpi以上で快適にご覧になれます。
ウィンドウサイズは60%以上でご覧下さい。

Japanese Only