
1999年12月20日(月)
静岡県情報公開懇話会
会長 宮下 淳 様
政策ネット・虹と緑・静岡県
代表 松谷清 津田恵子
カムイングセンチュリーSHIMADA
情報公開を求める三島市民の会
情報公開とプライバシーを考える静岡市民の会
(虹と緑の静岡県20人リストは
政策ネット・虹と緑・静岡県に名称変更)
連絡先 静岡市車町44 地球ハウス
TEL/FAX 054-273-7733
意見補充書
静岡県情報公開懇話会におかれましては、公開での議論、県民からの意見の募集など積極的な運営に敬意を表します。
私たちは既に10月18日、貴懇話会に対し条例改正についての意見を申し入れさせていただきました。その後の経過の中で、さらに以下の点についてこれを補充したく、意見補充書を提出いたします。
1.公安委員会が実施機関となるについての指摘及び意見
問題点及び意見
公安委員会が実施機関となるについては、8月27日に開催された第2回懇話会に於いての実施機関の範囲の協議、及び10月19日に開催された第3回懇話の於いての社会的危害防止情報について協議され、その際「公安委員会(警察)を実施機関に含めることは大勢の意見」と示されました。この方向については歓迎をしたいと思います。
しかしながら、開示請求に対する不開示決定についての不服審査の仕組みに関して、静岡県公安委員会当局の示す説明については法令解釈の誤りがあり、是正されたうえ、再検討されるべきです。以下その問題点を指摘し、理由及び説明を示します。
理由及び説明
8月27日第2回懇話会会議録によれば、警務部参事官兼警務課長は次のように説明しています。「地方自治法及び同施行令の規定により、公安委員会は、付属機関を置くこと、他の機関に設置された付属機関に諮問することができないとされています」。
この説明は、次の理由により誤りがあり、かつ適切ではありません。
(1)地方自治法第138条の4及び同法施行令第121条の4の規定は「公安委員会に付属機関を置くことができない」旨示しているのみであって「他の機関に設置された付属機関に諮問することができない」という規定ではない。
(2)「他の機関に設置された付属機関に諮問することができない」とする根拠は、正しくは昭和33年12月8日の自治省行政課長回答であり、したがって法律上の根拠は無く、「行政実例」にすぎないのです。その点を明確にすべきです。
(3)しかもこの回答は「公安委員会に関する事項について他の執行機関の付属機関に諮問するkとができるか」という趣旨の照会に対するものではなく、一般的に「ある執行機関が別の執行機関に設けられた付属機関に諮問できるか」という照会への回答です。
(4)この自治省回答についての意義については意見の分かれるところですし、少なくとも法令上の禁止規定はありません。
(5)このように、あたかも法令上の禁止規定のように説明し、尚、前時代の行政実例をもって「できない」と決めつけているのは認識の大きな誤りです。なぜなら、自治体に於いてこの時代の行政実例は既に「過去の遺物」とし「地方自治の本旨」に即した解釈・運用を可能たらしめているものもたくさんあります。
(6)知事が設置する情報公開条例の審査会に公安委員会が諮問できるかどうかについては、むしろ法令上の定めが無く自治的な運用の余地を残していることにこそ着目し、協議検討がすすめられるべきです。
2.「組織共用文書」の定義について
問題点及び意見
会議録によれば10月19日第3回懇話会に於いて、会長は「一部問題点が指摘されましたが、対象文書を組織共用文書とすべきという意見が大勢だったようにお聞きしました」と取りまとめています。これは、委員各位が対象範囲をより広くすべきだとの発想から至っているものとして、その考え方については歓迎したいと思います。しかしながら、「組織共用文書」の定義が曖昧なうえ、その前提となっている問題設定に誤解があるので、是正されたうえ再検討されることを求めます。
理由及び説明
(1)この問題に関する委員各位の協議から、対象となる文書について「組織共用文書か決済済みの文書か」ということに問題が設定されています。これは「組織共用文書は事案処理中の文書(即ち未決済文書)も含む」という事務局の説明から、決済文書に限定するか、あるいは未決済文書も対象にするかという議論にすり替わってしまっています。
(2)先に述べたとおり、委員各位は対象範囲を広くするという発想から未決済文書を含む「組織共用文書を対象とすべき」という論に至っています。しかしながら、「組織共用文書=未決済文書」ではありません。
(3)他県(市)で実際に開示請求された例に、職員が記した「メモ」があります。この場合について説明します。これは、職務上作成した文書にあたり、したがって公文書となります。しかしながら、「組織共用文書」には該当しないと解釈するのが至当です。このように、公文書であって、かつ未決済文書であり「組織共用文書」には該当しないものが存在する可能性があります。
(4)対象範囲を「組織共用文書」にすることは、このような未決済文書であって、かつ組織共用文書」に該当しないものは排除することとなってしまうということになります。この問題を把握したうえで検討がなされるべきです。
(5)尚かつ、「組織共用文書」の定義は極めて曖昧であり、事務局の説明のとおりです。したがって、少なくも問題設定を正しく置き、再検討されることを求めるとともに、恣意的な解釈を許し対象範囲が限定される恐れのある「組織共用文書」という規定は除外すべきです。
3.提言書策定の手続きについて
貴懇話会は最終的に県知事に対する「提言書」を取りまとめる旨、伺っております。この提言書は、条例改正について広く県民から寄せられた意見をも反映したものとして起草される必要があります。
起草に際しては、どのような方法をとるにせよ、これまでと同様その過程を県民に明らかするよう以下の点について求めます。
(1)起草のための組織を別に設置する場合、この会議を公開で行う。
(2)起草のための組織を別に設置しない場合、起草についての事務局と座長など懇話会関係者との協議は公開で行う。
(3)いかなる場合に於いても、協議は「別室で」などは排し、公開の場で行う。