通告に従いまして一般質問を行います。
テーマは「政令指定都市構想」と合併問題についてであります。

 「10年後に政令指定都市をめざす」ということを聞いて、私、率直に言ってたいへん驚いております。私はかねて、広域行政については、まず合併ありきではなく、広域行政をもっともっと進め、住民のニーズに対して自治体同志が協力・連携しあうことが必要であるという主張を特別委員会などで重ねてまいりましたが、そういうことではなく、大規模な合併、しかも政令指定都市ということについては理解ができない一人であります。
 しかも、「4市7町1村で合意をした」ということであります。私、これまで小池市長はどちらかと言うとたいへん慎重な方だと思ってきましたが、それは違っていたのかもしれません。「まさか」という気もいたしましたが、事態は進められつつあります。そのスケジュールによれば、3年間の研究を経た後、任意合併協議会の設立、さらに3年間の検討を経、法定協議会の検討、この検討が3年間、そして合併をし、新市、新しい市が政令指定都市として「誕生」という、このようなスケジュールになっているようであります。
 もちろん小池市長が政治家として政令指定都市に関心をいだき、その構想を練るという自由はあると思います。あるいは、一歩進めて、関係する自治体と、たとえば「共同研究する」などのことはあり得る話だと思います。しかし、今回のことは「合意をした」ということでありますから事態はちょっと違う、かなり違うと言わねばなりません。
 「合併問題」について市民の意志を重視してきた市長の姿勢は180度違っている・・と先日の一般質問で仁杉議員が指摘をいたしましたが、これに対し小池市長は「違っていない」と答弁されております。しかしながら「10年後の政令市実現」を関係市町村を含めて「合意」をしたというこの事態、これ自体が、市民の意志を反映したものとは到底考えられません。 
 今後、住民投票を経過するとされておりますが、それにしても、市民意志を抜きにした「合意」というものは市長の「独断」であり「先行」であると言わざるを得ないのであります。市長が引用される「市長はリーダーシップを発揮すべきである」という市議会の「広域行政調査特別委員会」の委員長報告。これは、去る2月市議会に於いてなされたものでありますが、私もこの委員会に所属をしていた一人であります。この委員長報告についても「政令市実現に向けて関係自治体と合意せよ」あるいは「政令市構想を進めよ」などのことは含んでいなかったと思います。あらためて伺うのですが、この「合意」という大きな意志決定、このことにおいて市民の意志はどのように反映されていたのか・・まずこの点についてお伺いいたします。
 そもそも「なぜ政令指定都市なのか」ということについては尚、趣旨がよくわかりません。これまで、市議会でも何回かその説明がなされてきましたが、尚、判然といたしません。所謂「三位一体改革」などで財政は厳しくなることが予想される。反面、高齢者福祉へのニーズへの対応などサービスの充実が求められる。だから財政基盤を強化しなければならない。従って合併が必要だ。避けて通れない道である。と、このようであります。「分権」「行政の効率化」などのキーワードに続き、メリットとされることが、ことさら強調され、「人件費の削減」「新たな財源が得られる」などなど、あたかも政令市になれば財政力が高まり、質の高い行政サービスが展開していけるかのようなトーンで語られております。果たしてそうでしょうか。
 さて、政令指定都市の構想について、これを構成する市村町はそれぞれが合意していると言えども、それぞれの首長さんの間には温度差があることはすでにいろんな形で伝えられています。この議会でも取り上げられましたが、例えば函南町の芹澤町長はある新聞において「きれいごとであり、無理だ」とのコメントが報道されているなどですが、この9月議会でも「首長同志の意志疎通をもっと図るべきだ」との意見もだされております。
 こうした状況は、そもそも「政令市構想は不可能だ」ということを物語るに足ると感じるのは、おそらく私だけではない筈であります。そこで、次に伺う点といたしましては、この4市7町1村において、果たして政令指定都市が成立し得るのかどうか、ということであります。人口70万人以上というのが現状での規模のようでありますが、こうした指定要件をどのように考え、いかに整合させようとしているのかということをお伺いいたします。
 三島商工会議所から資料として市議会に提出いただいた藻谷浩介氏の講演記録(藻谷氏は日本政策投資銀行地域企画部参事役でありますが)同氏の講演記録の中でこの地域における政令市の可能性について「人口要件からして富士市も含まなければ不可能」と受け取れるお話が記されております。(尚、この場合は御殿場市・小山町・韮山町・大仁町などが含まれていない形でありますが)また「当地域が、政令市を目指すには、経済性が一体でない富士市と手を組まなければならない」とし、元々経済的に一体でないところが一緒になって行政することは非常に難しい・・と結んでおります。
 言うまでもなく、政令指定都市とは、地方自治法第252条の19第1項の規定により、政令で指定される人口50万以上の市のことを言います。ただしこれは運用としては70万都市。地方自治法において、「大都市に関する特例」という章に示されております。
 「大都市」であることがいいかどうかは別と致しまして、既に指定されている他の「大都市」、横浜市や川崎市、神戸市などの大都市、さいたま市を入れて指定を受けている市は13市ありますが=これらの政令市とこの「4市7町1村」をいろんな側面において比較を致しますとかなりのスケールの違いがございます。
 人口規模に置いては言うまでもありません。大都市のバロメーターでもある人口集中地区の面積ということもあります。小池市長が去る6月市議会において金子議員の質問に答えて示した人口集中地区(DID区域)についてでありますが、「三島市、沼津市、裾野市、函南町、清水町、長泉町などの市街地は既に一体化しており、DID区域(人口密集区域)がひとつの行政区域を形成している」ということを述べていらっしゃいます。この人口密集区域の面積は4市7町1村では72..1 平方キロメートル。横浜市が345、名古屋市が274、一番面積が小さいのがさいたま市で105平方キロメートルでありますが、人口密度は際だって高い状況です。ここにも大きなひらきがあり、都市としてのスケールの違いは歴然としていると思われます。
 新潟市は現在、周辺自治体と、合併そして政令市の指定を受けるべくその準備を進めております。ホームページなどでその様子を伺うことができますが、ここで紹介をさせていただきますと、指定要件について、法令上の人口要件に加え、「実質的要件」というものが想定されております。曰く「先進市の状況などから政令指定都市の要件は以下のように推察されます」とし、@人口100万以上A人口密度が2000人/平方キロメートル(ちなみに4市7町1村では690人)B第一次産業比率が10%以下C都市的形態、機能を備えていることD委譲事務処理能力E行政区の設置、区の事務を処理する体制が整っていることF政令指定都市移行に関して、県と市の意見が一致していること・・以上となっております。この新潟市は以上のように実質的要件を想定しているのですが、この「4市7町1村」ではどのように考え、これに整合させようといているのでしょう。以上、お伺いし第1回目の質問といたします。