イメージ 河津七滝をめぐり山深い旧天城峠へ

釜滝
└ 轟音と共に流れ落ちる「釜滝」
河津町では、昔から滝のことを「タル」と
呼んでいます。
この言葉は、平安時代から使われている
民族語で、「水が垂れる」の垂れ(タレ)が
語源となっていて、さらにタルが訛ることで
ダルとなり、「オオダル」や「カマダル」と
言うようになりました。

初景滝を過ぎると、この踊り子歩道も
本格的な山道となります。
初景滝から七滝最奥にある釜滝までは、
「蛇滝」「蝦滝」を眺めながらの15分の
道のりです。
途中つり橋などもあり、美しい渓谷美を
堪能することができます。

釜滝は、その昔地獄谷と恐れられていて、
滝横の展望台からは、しぶきと轟音を
目の前で感じることができました。

釜滝から水垂バス停下までは、210段の
急な階段があり、踊り子歩道最大の難所
ともいえる場所です。
ここは後々の体力を考えて、ゆっくり登って
行くほうが良いでしょう。
また水垂から下りで使う場合も、滑って怪我
などしないように十分注意してください。

私も個人的に山登りをする際には、なるべく
登りが多いコースを選ぶようにしています。
下りをメインに使うと、一見すると楽なように
感じますが、足を痛めたり怪我をする場合が
多いからです。

さて、急階段を登り終えると杉林の中に
ポツンと小さな休憩舎があります。
そこで一旦休憩をとることにしました。
水垂バス停下の休憩舎
└ 水垂バス停下の小さな休憩舎
道標
└ 道端にあった古い道標
この休憩舎、水垂バス停から5分ほど下った
場所にあり、バスの時刻表なども記載されて
いるので、バス待ちのハイカーや観光客には
とても嬉しい配慮となっています。

ここから宗太郎園地までは、平坦な林道を
歩くことになります。
しばらく歩くと、道端に小さな道標のような
ものを見つけました。

石に刻まれた年号をよく見ると、江戸時代
に作られた物のようでした。
天城街道(旧下田街道)は、こんな所にも
歴史の奥深さを感じさせてくれます。

天城街道
天城街道は、現在の踊り子歩道を中心に、
二本杉峠越えで、伊豆市湯ヶ島と河津町を
結ぶルートを指します。
文政2年(1819年)、地元名主板垣仙蔵が
私財を投じて完成させた歴史のある街道で、
明治38年に、天城旧トンネルが開通する
までの86年間、天城越えの主要幹線として
重要な役割を担っていました。

幕末の黒船来航の時が、この天城街道が
最も脚光を浴びた時代だったようです。
日本の開国をめぐり、米国総領事ハリスや
黒船に乗り渡米を計画した吉田松陰が、
この街道を通って天城越えをした話は、
今も後世へと語り継がれています。

当時の天城峠は現在の二本杉峠を指し、
その険しいばかりの山道を、ハリス一行は
江戸に向かうために、駕篭に乗って越えた
ようです。
宗太郎杉並木
└ 宗太郎杉並木
宗太郎園地のモミの木
└ 宗太郎園地にあるモミの木
さて、再び踊り子歩道を旧天城峠に向けて
歩くことにしました。
小さな道標を過ぎて、林道をしばらく歩くと
道は大きな杉林の中に入ります。
この周辺の巨木郡は宗太郎杉並木と言って、
天高くそそり立つ姿に、誰もが圧倒されて
しまうことでしょう。

杉並木を抜けると、間もなく宗太郎園地に
到着します。
大きなモミの木と小さな石仏が目印です。
釜滝から宗太郎園地までは、ゆっくり歩いて
約40分の行程でした。

※所要時間には、休憩や食事時間等は
含まれていません。
また個々の体力にも差がありますので、
ゆとりをもった計画で行動してください。

宗太郎園地から5分ほど歩くと砂防ダムの
前を通り過ぎます。
天城の豊富な水を満々と湛えて、さーっと
白糸のように流れ落ちる様子に、思わず
“涼”とういう文字を、頭の中で描いて
しまいました。

人工的に作られたこのダムも、時の流れで
苔などに覆われ、なぜか自然に溶け込んで
見えるのが不思議です。
砂防ダム
└ 目印となる砂防ダム
国道414号線
└ 遥か上空に見える国道414号線
遊歩道は砂防ダムの横を上り、見上げれば
遥か上空に国道414号線が走っているのに
気が付きます。

踊り子歩道は、基本的に国道414号線と
並行しているため、要所に国道にでる脇道
が存在します。
とくに伊豆市湯ヶ島側は、国道のすぐ横を
流れる大谷川沿いを歩くため、近くにある
バス停に出ることも容易にできます。
もし体力に限界を感じたら、無理をせずに
迷わずバスを利用しましょう。

また、椎の木上(七滝ループ橋上)から
浄蓮の滝までの間は、フリー乗降区間と
なっているので、手を上げればバス停以外
でも止まってくれます。
ただし危険防止のため、トンネルや橋の上、
急なカーブなどは止まってくれませんので、
なるべく見通しの良い場所を選びましょう。

砂防ダムから平滑の滝までは、枯葉散る
土道をカサッ!カサッ!っと心地よい音を
立てながらの山歩きとなります。
土や枯葉の匂いが地面から伝わって来て、
自然と心が安らいでいくのを感じました。

川沿いの道を上流に向けてしばらく歩くと、
赤い鉄製の橋が目の前に現れます。
その橋を渡り、道標に沿って100mほど
下れば、すぐに平滑の滝に到着しました。
宗太郎園地からは30分の道のりです。
平滑の滝
└ 一枚岩の上を滑り落ちる「平滑の滝」
天城旧道(河津側)
└ 風情あふれる天城旧道
この平滑の滝は、1枚岩の上を流れ落ちる
幅25m高さ4mの横に長い美しい滝です。
天城には大小幾つもの滝が存在しますが、
浄蓮の滝や河津七滝と違い、この滝の存在
を知ってる人は、あまりいないようです。

平滑の滝から急な登りをしばらく歩くと、
踊り子歩道は国道を横切ります。
国道対面から遊歩道を少し上がれば
すぐに天城旧道が見えて来ました。
ここから伊豆市湯ヶ島の水生地下までは、
踊り子歩道は旧道を歩くことになります。

天城旧道は、川端康成の「伊豆の踊り子」
の舞台にもなっている風情あふれる峠道。
紅葉の頃はもちろんのこと、木々の葉に
光が反射する新緑の頃が美しいです。
とくに午後の時間帯のほうが日差しがあり、
色鮮やかに反射するようです。

野鳥のさえずり、森の空気や風を感じながら
のんびり歩いていると、水の流れ落ちる音が
徐々に近づいてきました。

二階滝は、八丁池を源とする河津川最初の
滝で、安山岩質の岩肌を二段に流れ落ちる
姿からその名が付きました。
幅6m高さ20m、四季折々に美しさを見せる
天城名瀑の1つです。
明治37年に旧道が開通するまでは、山中
に埋もれた無名の滝だったそうです。

平滑の滝から二階滝までは、40分ほどの
道のりです。
ちょうど疲れもピークに達していたので、
ここで少し休憩をとることにしました。
滝の近くは、マイナスイオンも豊富なので、
疲れを癒すには最適です。
二階滝
└ 四季折々の美しさを見せる「二階滝」
寒天橋
└ 名曲天城越えにも登場する「寒天橋」
二階滝から旧天城トンネルに向かう途中、
名曲「天城越え」でも歌われている寒天橋を
渡ります。
ここから山側に伸びる道は寒天林道で、
八丁池口まで続いています。

春から秋にかけての土日・祝日などには
昔懐かしいボンネットバスが八丁池口まで
運行しています。
踊り子の衣装を着たガイドさんが乗務して
いますので、八丁池ハイキングの際には
ぜひどうぞ!

二階滝から30分ほど歩くと、伊豆の踊り子
の舞台にもなった、旧天城トンネルが姿を
現します。
早速トンネル内を抜け、伊豆市湯ヶ島側へ
足を進めることにしました。

トンネル内は、一見すると距離があるように
見えますが、実際に歩いてみるとそれほど
時間がかからないことに気が付きます。
ハイカーや観光客、タクシーなども頻繁に
往来しているので、そんなに寂しい感じは
しませんでした。
旧天城トンネル(河津側)
└ レトロな雰囲気の天城旧トンネル
天城旧道(湯ヶ島側)
└ 湯ヶ島側の下り道(天城旧道)
旧天城峠の頂上にあるこのトンネルを
抜ければ、踊り子歩道は浄蓮の滝へと
緩やかに下って行きます。

旧天城トンネル
明治38年に築造され、伊豆の踊り子の
トンネルとして、今日まで広く親しまれて
きました。
入口は馬蹄形の総石造りになっていて、
明治末期を代表する、歴史的価値の高い
隋道として、平成13年に国の有形文化財
に登録されています。

※トイレは旧天城トンネル湯ヶ島側に有り。

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