P→’s Cafe

〜色☆色々〜
 大学に受かるまでは、青い色にこだわっていた。2年生の冬に通った予備校の講習会で、「この色を使ったら誰にも負けないと思える色使いを一つ、作ってみて」と言われたのがきっかけだ。実際、高校から予備校までの絵には、実に青色が効果的な絵が多い。
 一口に青と言っても様々ある。
 絵の具の色で言うならコバルトブルー・ディープブルー・ウルトラマリン・スカイブルー・セルリアンブルー・グリーンブルー・・・・、このころ特にこだわっていたのは深い青。プルシアンブルー。日本名では鉄紺とも言う。深くて光沢のある青が好きだった。
 縹色(はなだいろ)と言えば、藍だけで染めた美しい青。藍染めが始められる以前、日本では「月草」「露草」といわれる花の汁で青色を染色したので、藍染めになったあとも、名前だけひきついで、「花色」、「月草色」「露草色」とも言われている。洋名ではサファイヤという。
 単純に色のイメージだけなら紺碧が大好きで、もうたまらなくあこがれてしまい、どうやったらその色が表現できるか悩みに悩んだこともあった。
 色占いでは、
青 は、空の色。海の色。平和の色とある。『ストレート直球のシャープな人。理想が高くて、時に周囲の人がついていけないことも。しかも、意外と打たれ弱くて、すぐにシュンとなったりしがち。とても繊細』ともある。
 当たってる。確かにそうだった。

 今の俺のこだわりは、小豆色だ。他の何ものでもない、まさに小豆の色。
古い日本名では蘇
芳(すおう)とも言う。赤系統の色のなかではもっとも紫よりの深い赤。洋名ではアマランス・パープルなどとも言われる。
 でも、やはりスッキリ来るのは、やはり小豆色だ。

 あれだけ青にこだわっていたのがあっさりと小豆色に変わったのは、大学入学がきっかけだった。
 もっと才能が欲しい。もっと力が欲しい。もっといい作品を作りたい。。。そんな思いが、青よりもより積極的な赤系統の色に俺を駆り立てた。
 色占いでは、赤はエネルギーを表す色。意志、情熱を呼び起こしてくれる色とある。
『赤が大好きなあなたは、ポジティブでとても情熱的でいて、義理堅く、人情にあついタイプ。赤はパワーとエネルギーを与えてくれます。』ともある。
 決定的だったのは1994年に、さかな丸を見たときだ。一目見てこの色だ!と思った。実際、この色のさかな丸に乗るまでは、事故がつきなかった。一度として車検を通したことがなかったくらいだ。でも、このさかな丸とは、既に10年以上ともにいる。大きな事故にも遭わず、ずっと俺とともに日本中を旅している。
 採用試験の時も、課題で出た絵は「”風”をテーマに」だったが、やはり赤を基調とした絵で合格した。
 今の俺は”小豆色”
だ。この色へのこだわりは、この先当分色あせそうにない。

 

 実は黄色・オレンジ系統があまり好きではない。それは今に始まったことではなく、その起源を探ると小学生にまで逆登る。
 ある夏休みの午後、おばあちゃんの家に行っていて、近所の小学校のグラウンドで時間を忘れて遊び回っていたとき、ふと見た周りの景色がややオレンジがかった黄色をしていた。時計を見るともう4時を回り、楽しかった今日はもう終わりだと思った。
 それ以来、季節や時間に関係なく午後のやや黄色がかった風景は、一日の終わりを暗示するようで大嫌いになった。
 一方で、同じ黄色でも早朝の透明感のある景色は、これから始まる一日を彩る美しさに満ちていると感じる。朝日を浴びて黄色を感じなくもないが、その透明感はむしろ、青の世界に映る。
 だから、まだ世が明け切らぬ頃から、人々が本格的に活動を開始する9時くらいまでの時間帯が大好きだ。
 
 これは、色相環を考えたとき、至極当然だ。色相環とは、絵の具を虹のように一直線に並べ、それをそのまま輪っかの形につなげた状態を言う。
 昔好きだった青、その色相環から見た反対色はオレンジ。
 そして、今好きなやや紫がかった赤、その反対色は黄色なのだ。
 黄色もオレンジも好きな色、青や赤のの対極にあるのだから、好きじゃないのも仕方がない。

 
 それにしても野宿に出て、一番幸せを感じるのは、早朝の時間帯。逆に最も憂鬱なのは、午後、早いときで2時くらいから。

 俺の24時間は、実に短い。

 


 ジョッパーというブーツがある。ハーフサイズのブーツで、足首をぐるっと回すベルトがついている。色は黒だ。
 俺のお気に入りはホーキンスのジョッパーで、これまでに2年置きに3足購入した。残念ながら今は製造中止で手に入らない。
 このブーツは、ベルトが飾りでしかないタイプが多い中で、しっかりとベルトの役割を果たしている、数少ないタイプだ。かかとの高さといい、全体幅の広さといい、申し分ない。おまけに値段も手頃だ。もう2度と手に入らないかと思うと、残念でならない。
 
 さて、このブーツに出会うまでは、割と靴には頓着無かった。でもある日、なにげに入った靴屋でこのブーツを発見し、一目で気に入った。
 得に履き心地は、まるで雲の上を歩いているように軽やかだった。おまけにそれを履いてバイクにまたがってみると、まるであつらえたようにフィットした。
 当時つき合っていた彼女は、
「本当のおしゃれは靴だと思う。サル(俺のこと)は、靴にお金をかけてて、おしゃれさんだと思う。」
と言った。そんなもんかねと思った。

 不思議なのは、靴が決まってしまう(当時は年がら年中このブーツを履いていた)と、買う服・買うズボン、すべてこの靴に合うかどうかが判断基準になってしまったことだ。
 今は・・・代わりにサイドゴア(横がゴムになっている)のハーフブーツを履いている。色や見た目は遠目で見ればジョッパーと変わらないので、服を買い換えなくてもすんでいる。



 四国を旅していたとき、ヘッドランプが切れてしまったことがある。
 四国の海沿いの道は、あまり街灯がない。そんな道を夜走れば、ヘッドランプなしでは真っ暗闇だ。


 これは困った。換えの電球なんか持ってない。よくよく見れば、切れたのは通常光の方だけで、ハイビームは切れていない。苦肉の策で、ハイビームにしたままヘッドランプの角度そのものを下向きにし、何とか走行した。
 とりあえず野宿できる場所を探さなければ。


 これでまず大丈夫と思った矢先、負荷がかかったのかハイビームも切れてしまった。俺のバイクは古い型なので、ハザードなどつかない。仕方ないので左折ウインカーを出して、スモールで走行した。
 何とか市営駐車場にたどり着き、そこで野宿。
 しっかし、真っ暗闇での走行など、後にも先にもこの時一回切りだ。頼まれたって、もう二度とごめんだけど。


 同じく四国での旅の途中、たまたまよったドライブインで、ホウェールウォッチングのチラシを発見した。すぐに連絡し、明日の午前の予約を取った。港までは少々距離があったが、まだ午後早い時間だ。途中に見るべき場所もなさそうなので、そのまま港まで急いだ。
 港の近くの公園で野宿し、翌朝午前5時集合。ともに乗船するのは老後の楽しみといった風情の御老体と、同年代と思われる若者の2人。船長に私と総勢4人だ。
 午前7時、我々は朝日がまぶしい早朝の太平洋へと乗り出した。

 その日の春の太平洋は波穏やかで、マリンブルーの美しい姿。朝日を照り返して輝いていた。波を切って進む船は、かなり使い込んでいる漁船だったが、たくましいエンジン音を響かせ、次第に高くなる波をものともせずに突き進んだ。

 出向から4時間、どうも本日は収穫がなさそうだ。早々にあきらめた私は、出来に寝ころんで心地よい揺れと潮風を堪能した。
 昼近くになって我々は港に戻った。その日は、残念ながら鯨の姿を拝むことは出来なかったが、暖かな春の日差しを浴びながら揺れる船上に寝転がるのはとても楽しく、大変満足だった。
 見上げた空も、足下に広がる大海原も、どちらも抜けるように蒼く、心の底まで透明なブルーに染まっていくかのようだった。

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