【倉敷美観地区】
岡山県倉敷市
6日目:平成17年8月6日(土) 【倉敷 美観地区・チボリ公園】
ゆきぽん宅がある津山市から倉敷までは、車で2時間くらいか。
美観地区に行くのは高校の修学旅行以来だ。今と同じようにスケッチブック片手に小グループで歩き回ったっけ。あのころは、何をどう描いたものかわからなかったし、町の印象ももっと大きかったような気がする。意外に小さな地区だと感じる今は、自分のほうが意識が変わってるんだろうな、きっと。
町を歩いていても、懐かしさが浮かんでこない。いったい何を見ていたんだろう、あのころは。
それとも、今は見える景色も変わってしまっているのだろうか。
それも意識のなせる業か。

チボリ公園、名前だけは知っていたが、来るのは初めて。駅の隣に、良くぞここまで広大な敷地を確保したものと感心してしまう。
集まったのは福山型の創太君・ナイル君とそのママ達ご一行様と、筋ジスではないがゆきぽんの親友で脳性麻痺で車いすののむさん。俺はもちろんその全員と初対面だが、特に創太ママの方はいつもこのゆめパレットを見ているらしい。(実際に話したとき、”ゆめパレ”と略しているあたりに、手練れの雰囲気を感じさせた。)俺に会ったらさぞかしびっくりするだろうと思われた。
でも、我々は、俺の正体を創太ママ黙っていてみようと話し合っていた。気づいたとき、一体どんな顔をするだろう。。


と思っていたのに、ママは子ども達にくっついて遊園地の方へ行きっぱなし。話しをするどころじゃない。
じゃあと、ゆきぽん達と話したかったが、なかなかに混んでいる、食事の出来る中央広場の席を、戻ってきた時の創太ママ達のために確保するので話しに行けない。ボラちゃん達も来ていたが、なんか用事でどっかに行っちゃったし…。

そんなこんなで閉園も近くなった頃、やっと戻ってきた創太ママに、黙っていられなくなったらしきゆきぽん母が話したようだ。
創太ママはすっごく驚いていたな。そりゃそうだよな。まさか浜松在住の俺がここにいるとは思わないもんねえ。
ナイルママも一緒に、お互いに福山型の年齢も近い子供を持つ同士、四方山話のホンのきっかけくらいを会話し、この日はお開きになってしまった。

ゆきぽんとゆきぽん母は、このまま倉敷ホテルにお泊まり。俺もさんざん誘われたけど、今日は出発する。何から何まで世話になって、この上もう1泊というわけにはいかない。それ以上に、あまり長居すると、居心地よすぎて、それなりに辛い旅に再び出ることが嫌になってしまいかねない。
ゆきぽんは、まるで自分自身の分身のような感じ。今回もやっと会えたわけだが、絶対に会わなくてはならない人に会えたような気がする。ゆきぽん自身、病気自体や、障害者を取り巻く環境改善のために何が出来るか常に考え、行動を起こしている。そしてそれを広げようと躍起だ。そのお母さんも非常にパワフルで、そんなゆきぽんをとても上手にサポートしているように見えた。
また、創太ママやナイルくんのママを含め、みんなとてもエネルギーがあり、子どものため、子どもを取り巻く環境をよくしていくためには何が出来るかとっても考え、行動している人ばかり。この人達の作る空間はとってもエネルギーに満ちていて、そこにいるとこちらまでそのエネルギーがあふれて充填されるような気がした。

今の自分の回りを考えると、3種類の保護者が見える。
俺もそうだと断言するが、ゆきぽんや創太ママ達のような子どもを最重要に考えるが、取り巻く環境もしっかり考え、行動していく旧人類。
子どものことは考えるが、我が子さえよければ回りのことなどどうでも良い、新人類。
我が子のことさえ考えない、ミュータント。おぼれるモノはワラをも持つかむというが、我が子や自分がおぼれかかっていることにすら気がついていない。
こんな時代だ、たとえ新人類でも我が子のことを考えているだけまだましかもしれん。まして、ミュータントなど、なにをかいわんやだろう。

この場にいる人たちは、間違いなく旧人類だ。我が子さえよければ良いなんて考えないし、よいことはどんどん行動に移そうとするし、壁にぶつかっても戦っている。何より、みんなで達成していこうという気概を感じる。
そこにお互いに同じ病気を抱えるという仲間意識も加わり、とてつもなく強い共同体意識を感じた。残念ながら、こんな空間を、俺は他に知らない。というより、初めてだった、こんな居心地よいのは。

だから、別れは辛かったなあ。あんまり辛いので、一刻も早く出来るだけ遠くへ離れようとして、真夜中まで走ってしまった。だってさ、倉敷ホテルに行けばゆきぽん達がいることはわかってるんだ、近くをうろうろしていたら戻りたくなっちゃうから…

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