2004 3月後半                 

引っ越し 04/3/31/(水)
 行く川の流れは絶えずして、永久に変わらぬもの無しとはいえ、やはり別れは悲しいものだ。

 今日は一転して上天気。引っ越しには最適だ。
 早朝から来た4tトラックに1人2箱抱えて積み込んでいく引っ越し屋さん。すまないねえ、うちは本が多いのよ。さぞかし重いだろうに。。

 午前中かかってやっと詰め終わった荷物を、それでもぎりぎりで満載したトラックを午後3時に引っ越し先に集合予定として先行させ、部屋を掃除していると外では見送りの人人人。。。みんなゆめの幼稚園のお友達とその兄弟たちだ。掃除の仕上げは僕がやるとして、とりあえずゆめとママは先に住宅に行くことにした。
 見送りのお友達に別れの挨拶をしていると、つくづく幼稚園に通えてよかったなあと思う。
 こんなにたくさんのお友達ができていたんだねゆめ。
 みんな「忘れないでね」って言ってくれてるよ。
 ゆめは幸せ者だ。
 ゆめは幸せだ。

 僕が独り者で転勤するだけなら、こんな見送りはなかっただろう。こんな感慨にふけることもなかっただろう。まして障害を持っているゆめ自身は引っ越しとか、もう2度とみんなに会えない、幼稚園に通うことはないこととかまるで認識してないけど、そんなゆめに別れを惜しんでくれるお友達がいるということは、親としてこんなにうれしいことはない。公務員は異動が付き物だが、こういう人とのつながりを実感できるということも、教師として精神的に成長する糧でもあると思う。

 佐久間での5年間、いろいろあったが、今となればすべてよい思い出でしかない。ゆめの親として、佐久間のみんなに感謝したい。

引っ越し準備 04/3/30/(火)
 荷物を詰める係の方が朝から来て、一日中荷物を詰めていた。8時間かかって詰め終わった荷物は、小物だけで段ボール120箱以上。通常は3tですむ家族3人の引っ越しは、うちの場合は4tトラックでなければならないらしい。夫婦そろって美術者だからそれ系の道具類が多いんだよな。

 僕は離任式で留守にしていたのだが、荷物を詰めている間中、ゆめは興奮して大騒ぎだったようだ。
 おもちゃを入れた箱をチェックし、プレイステーションはDVDを見るためにまだつめさせなかった。

 今日は雨。明日の引っ越しは晴れると良いが。。。

間取り 04/3/28/(日)
「ここに本棚を置いて〜。。。あ、でもこうすると窓が開かないなあ。」
「本棚でかすぎるんだよね。。。。ちょっとこっちに冷蔵庫を移してみて」
「洋服ボックスはここへ全部入れられると思う。」
「扉を開けて最初に見えるのは、きれいな食器棚にしたい。」


 今日はパソコンで新居の部屋割り。縮尺を合わせた間取り図に、これまた縮尺を合わせた家具を配置してみる。
 新しい部屋での配置はきっちり決めておかなければ。何せ引っ越し当日は、ママが先に新居へ行って采配をふるう。僕は空いた部屋の掃除をして、事務の人に現状復帰の点検を受けなければならないから。
 大物は冷蔵庫と天井まで届く高さの本棚と洗濯機だ。こいつらをしっかり据え付ければ、あとのモノはいくらでも動かせる。

「この辺に本棚を背中合わせに置いたらどう?」
「だめだよ、地震が来たら倒れちゃう。その辺にゆめがちょろちょろしてたら、ぺっちゃんこだぞ。」
「そうだね、ゆめなんかぺっちゃんこだね。」
と、ゆめを見ると、ものすごくイヤ〜〜〜な顔をして、パソコン画面を見ている。
「ゆめ、何を話してるかわかってるね。」
「わかってるな。」
そう、ゆめはわかってる。このごろいらんことはうっかり話せない。

「コンポ、どこへ置く?」
「高いところだな。ゆめの手の届くところだと、CDのスリットやMDのスリットに何を入れられるかわからんからな。」
「うん」
「2台目のビデオなんか、こないだDVDが入ってた。たぶん中が壊れたんだと思うが、テープが絡まっちゃうから使えなくなっちゃったよ。ダビング用のコピーガードがついてない、大切な旧型だったのに!」
「そうだね。ゆめの手が届かない所じゃないとダメだね」
「うん」
「やっぱ、本棚を居間に半分移して、上の段に置くか?」
「それしかないかなあ」
「うん」
「・・・・・」
「まさか本棚をよじ登りはすまいよ。」
「わかんないよー。なにせ、ゆめだもん」
「うん」
「・・・・・」
「・・・・・」
ゆめ・・・・、”うん”じゃねーだろう。。

お昼ごあん 04/3/27/(土)
お昼は、ママとママのおばさんたちとお食事。
お子様ランチはいつでも一番に出てこなきゃダメ。

ご機嫌で食べ始めたゆめ。
食後のデザートは確かアイスクリームだったはず。。

「ケーキ食べたい人?」
「はーい」
「は〜い」
と、ママたちが注文をする横で、誰もゆめには聞いてくれない。。。
すっかり気分を害したゆめ。大暴れ。

そうこうするうちにアイスが♪
でもゆめは、食べたものが逆流するんじゃないのってくらいのげっぷを連発!
案の定、アイスの表面だけすくって、もうお腹いっぱい。

おまえはー、ケーキ食べるどころかアイスすら食べられないくらい満腹なんじゃないかあ〜

ゆめの誤解 04/3/23/(火)
ゆめは知っている・・・


ママがゆめのジュースを水で薄めていることを・・・
ばあばがゆめのジュースに何か粉のモノ(核酸とかいう健康食品)を混ぜていることを・・・
ママがお風呂の後に「はい、ラムネ」と言ってくれる錠剤が、実は眠剤だと言うことを・・・




だから、


ゆめはパパから受け取ったモノしか口にしない・・・


実はパパがくれるものは、ママが水で薄めたジュースなのに、ばあばが混ぜモノをしたジュースなのに、ママがくれようとした眠剤なのに。


パパがくれるものは安心。。。




それはすべて誤解だ。。。


ゆめ、5歳と8ヶ月。まだまだ修行がたりん。

人事異動 04/3/22/(月)
 今日の話じゃないけど、ゆめの幼稚園が終わってしまった。ゆめはもう二度と浦川幼稚園に園児として通うことはない。
 なのに、玄関にある自分の園バックを見ればしょっていこうとするし、園服を見れば着ようとするし、目を離せばすぐ靴を履こうとする。
 かわいいなあ。
 でも、
 もうしょわないんだよ、ゆめ。
 もう着ないんだよ、ゆめ。
 もう行かないんだよ、ゆめ。

 今日の夕刊で、県内の教諭の異動が発表された。いまだに先方の学校から連絡ない(それで普通なんだけど。発表の後で連絡するのがルールだし)けど、発表があったんだから間違いない。
 次は念願叶って養護学校だ。ちょっと特殊な学校みたいではあるけど。

 佐久間高校では、校務&町の仕事、すべてできるだけやったつもりだ。実際、これ以上に満足行く仕事はできないと思う。せめて今の最後の美術専攻生、新3年生までは送り出したかったけど、仕方ないだろうな。こればっかりは命令だし、贅沢言えばきりがない。
 この佐久間高校ほど、町の仕事(町の人の生活)に深く関われる学校もあるまい。授産所の陶芸指導、消費者グループの染織、いろいろなつてで個人的に一緒にやった様々な町の人との作業。。。自費出版する人の挿絵も描いたっけな。美術の先生で本当によかったと思った。他の教科の先生じゃあ、こうはいくまい。
 校務にしたって、普通は学校案内やHPを1人で作らせてもらえるなんて贅沢な機会はない。作品を作る時間はとれなかったけど、学校案内は自分の作品だった。芸術科の発表会やいろいろな行事でも、ポスターは全部作った。まさに、少しでも美術のにおいのする仕事は全部僕のモノだ。
 授業も紙漉や流木アートやら、相当勝手なことやったけど、本当に楽しかった。美術室の壁まで勝手に塗り替えたし。
 ああ、すばらしきかな、能力を活かせる職場。

 さて、養護教諭としての専門知識は持ってないけど、次の職場にも養護学校の美術教諭としての活躍の場があると良いなあ。

HP 04/3/21/(日)
 HPのリニューアルに挑戦中だ。
 この2週間の平均睡眠時間は、約3時間。我ながらよく生きてると思う。おまけに飲み会は多いし。

 なかなかうまいこといかんね、リニューアル。心機一転と思ったけど、かえって納得いかなくて、作り替えてばかりだ。
 おまけにゆめは、じゃまするし。こういうときに限ってやたらとお母さんのビデオをかけては踊らせろ、さもなきゃてれびを消すぞと脅迫する。消せばいいじゃん、そしたら自分がビデオみれないだけだろ。
 
 いつになったら終わるのか、この作業は。。。

夕飯 04/3/18/(木)
夕飯は、牛丼を食おうと思った。

鍋でレトルトの牛丼をゆでた。

ご飯に盛りつけ、七味を探した。

牛丼に七味はよく合う。

勢いよく振りかけた。

すると

七味の中ブタがはずれ、七味は重力と振り下ろす力に押されて、盛大にふりかかった。

気温が2度、下がった感じがした。

こんな漫画みたいなことって、本当にあるんだなぁって、他人事みたいに感じた。


今思えば、中ブタはやや浮いた感じだった。

ちょっと斜めになってたような気もする。

そういえば、こないだゆめが、この七味をおもちゃにしていたっけ。

ゆめのやつめー、ゆめのくせにー。


俺は、山盛り七味の牛丼から、七味をできるだけ捨てて食べた。

それでもとってもスパイシーな牛丼だった。

ちょっぴり悲しくなった。

これがゆめの味かと思った。

ゆめはとっても辛いと思った。。。。

治療終了 04/3/17/(水)
 今日やっと呼気検査をやった。
 結果は、陰性。ピロリ菌はばっちり激減していた。これでピロリ菌が原因の胃潰瘍は無いだろう。
 これで治療も完了だ。
 胃カメラともおさらばだぜ。

 と思ったら、毎年の健康診断では定期的に胃カメラを飲みましょうということになってしまった。

 結局胃カメラとは縁が切れないのね。。。。

 

占い 04/3/16/(火)
 チャンネルはどこだか忘れたが、恐竜みたいな野菜みたいなキャラクターがその日の正座別の運勢を教えてくれる番組のコーナー。今日の双子座は、『勘違いに注意』。
 ふ〜んと聞き流した。この数日間、双子座の運命は低調気味だ。

 午後から最後の胃の検査。今日は尿素呼気検査だ。お昼頃に一度アパートに戻ったらゆめがいた。
 「幼稚園、もう終わったの?」
 「今日は最後の日だから早かったの。」
 
 ゆめはテレビに夢中なので、挨拶もなしで病院へ向かった。

 2時間近くかかって病院へ着き、いざ受付に行くと、患者が全然いない。いやな予感を感じつつ、受付をすると、
 「あの〜〜、この検査、明日なんですけど・・・」

 
が〜〜〜〜ん!

 書類を見ると、なるほど検査日は明日になっている。

 原因は、本日火曜日に行くはずだったわかすぎ工房の陶芸指導が月曜に早まり、おかげで頭の中で日程がすべて一日ずつずれたせいだ・・・。しぶしぶまた2時間かけてアパートに戻った。

 なってこった、ただ単に4時間の年休を取って出たくもないツーリングに出ただけだったとは。。。
 は〜〜また明日もツーリングか。。。年休4時間無駄にしてしまった。
 
 朝の占い、よく当たってるじゃんか。。。




甘えん坊 04/3/14/(日)
暴れん坊 ゆめ。
じゃなくて、いや、それも正解ではあるが。。。

甘えん坊ゆめ。
今日も今日とて、本領発揮。

「ママ、んん。」
と、口を開けて待っている。
「なによ。」
と、ママがにらみをきかしてもどこ吹く風。横に座っているママの手にフォークを押しつける。
「食べさせてってこと?」
「あ〜ん。(はーい)」
・・・見上げたモンだな、ゆめ。

「ゆめ!自分で!」
と、ママやパパが何度言っても、うなずきはするが食べない。

「ママ、場所変わろう。」
と、ママと席を替わって、僕がゆめの隣に座ると、とたんに食べ始めるゆめ。
まるで掃除をさぼっているのを見つかったガキが、あわてて床なんか掃き始めるみたい。。。


う〜〜〜〜ん
・・・・・
ま、いいか。




装い 04/3/12/(金)
 ある日、洗濯物をたたみながら、
「このごろゆめのかわいい写真がない」
と、ママがぽつりとつぶやいた。
「たぶん、洋服がおざなりだからだと思うな。
前はおばあちゃんがたくさんかわいい服を作ってくれてた。買うときも、めいっぱい似合う服を選んでいた。このごろは汚れるから着られればいい位にしか考えてなかった。」
 服のせいばかりではないだろうが、まあ、そういう側面もあるかもしれない。

 確かに、俺の目から見ても
「かわいくないなあ、でも着やすそうではある」
という感じの服が増えたことは事実。
 

 大学生の頃、他の大学のボランティアサークル仲間で、一緒に映画を撮ろうということになり、僕は何人かといっしょになって脚本を考えた。困っている僕にある1人がアイデアを出してくれ、それを元にこんな話を書いた。

 主人公は彼と過ごすはずの20歳の誕生日に事故で目が見えなくなって、自暴自棄になり、母親と2人で暮らしているという設定。
 彼女は、
 「どうせおしゃれしたくてもできないし、きれいな洋服だって私には見えないなら、別になんだっていいや。」
と、一日中部屋の中で暮らしている、(なぜか)美しい女性だ。
 何年か後の彼女の誕生日、彼が、
「これ、きっと似合うから着てみて。今度こそ、いっしょに食事に行こう。」
と、新しい服を渡した。
 その服は、触るとひんやりしていて、とて優しい生地でできていた。
 その感触に、彼女は幸せだった過去を懐かしく思い出し、彼に聞いた。
「気持ち良いい、優しい服。。ね、似合う?」
 その服を着た彼女は、午後の陽光を浴びてひときわ輝いて見えた。
「シルクできてるんだ。きらきら光るオレンジ色なんだよ。まるで夕日を着ているみたいだ。すっごく似合うよ」
 それを聞いて、彼女はハッとした。
 その服は、”あの日”に着ようとして買っておいた服と同じ色だ。彼はきっとそのことをお母さんから聞いたんだ。私には見えなくても、みんなには私の姿は見えている。今までの私は、みんなにどんな風に見えていたんだろう。
 私はなんて自分勝手だったんだろう。こんなにも私のことを考えてくれている人が近くにいたのに。。。
 だったら、できるだけ華やいでいたい。彼に似合う女性に、もう一回なりたい。
 という話だ。

 恥ずかしい話、学生が考えそうな内容だよ。染織専攻の僕は生地にこだわり、デザイン専攻の友人は色にこだわり、文学部の友人は純愛にこだわり。。
 結局映画は撮らなかったが、内容は鮮明に覚えている。試しにキャスティングまでしたから。
 
 この映画の趣旨は、彼女は体だけでなく心にも新しい、美しい服を着たということだ。これを的確に表す言葉が日本語にはある。それは、
 【装う】だ。
 「派手に化粧する」のとは違う。「きれいな服を着る」のとも違う。単純な着飾ることとは全然違う。
 「心も体も装う」ということは、「心と体を着飾る」こととは、全然違うよな。


 ゆめは、ああ見えて結構服にうるさい。
「きゃー!!ゆめちゃん、かわいいーー!!似合うーー!!」
なんて騒いだ日にゃあ、得意になってはいずって、周りのみんなに見せて回るくらいだ。ただし、ご機嫌で帰ってくる頃にはせっかくのきれいな服の膝が薄汚れているけど・・・
 やっぱ、ガキはガキでも、女の子だねえ。
 我々親も、例えば「どうせゆめは○○だし・・・」なんて考えて、くらーく、じめーとしていたら、せっかく生きていこうとしている子供のプラスのエネルギーを、へたすりゃマイナスエネルギーにしてしまいかねない。
 高い金出して買った服がいい訳じゃない。値段なんて関係ないが、安くてもゆめが一番輝く服を選んでやって、身も心も装わせていたいなあ。



ーちょっち、ショックなことー

 僕は学生の時にこの話を書いた。探せばまだどこかに原稿が残っているかもしれない。かなり頭もひねった。
 友人がくれた元アイデアは「大人になって目の見えなくなった、ショックで気持ちが沈んでしまった女性を主役にしよう。自分は見えないと思っていても周りには自分が見えている。それに気づけば、きっと気持ちが晴れやかになる。自分本位な考え方じゃなくなる。」ということだった。
 我ながら大傑作だと思った。
 でも、実はこの話に極めて近い内容が、某団体の雑誌に載っていたことが今日わかった。(だからこれを思い出したんだけどね。)
 あのやろう、”団体さん”だったのか。ネタパクって教えたんだ。無い頭ひねって考えたのに、良くすればするほど元ネタに近づいていたとは。。。。