2004 8月後半                

ゆめ、限界   04/8/30/(月)
 俺は結局、学校を休んで一日中ゆめとべったりだった。
 熱はたいして上がらず、元気そのものだった。こんな事なら出勤しても良かった気がするが、べったりしてたから良かったのかな、やっぱ。

 昼間は、ゆめのお気に入りの志都呂のジャスコに行った。このジャスコ、夜はさながら陸上に浮かぶ豪華客船かのようにきらびやかだ。昼間でも、周りにほとんど建物が建っていないこともあって、やっぱり目立つ。
 4階に車を止めて、1階の専門店街に行こうと思ったのだが、3階でエレベーター停止、扉が開くと目の前に、それはそれはきらびやかなゲームセンターが・・・
 やばい!とおもい、急いでゆめの目をふさいだ。
 幸いにもゆめは見ていなかったようで、助かった。

 買い物を済ませ、違う場所のエレベーターに乗って今度は3階の本屋さんへ。
 ・・・と、2階でエレベーター停止。扉が開くと目の前には、これまた別のゲームコーナーが。でも今度は大丈夫。ゆめは奥の壁に向けてある。
 ・・・・が!しまっった!エレベーターの後ろの壁には大きな鏡が!
 今度は見られた!ばっちり鏡にゲーセンが映ってる!急いでゆめに、
「違うよー、ゆめ!今のは気のせいだよー!」
何とかごまかしたが、一緒に乗っていた子連れのお母さんはくすくす笑っていた。
 っち、笑われちまったぜ。

 気を取り直してマックへ。バギーに乗ったままポテトを食べていたが、椅子に座るという。ならばと椅子に座らせて食べさせていると、しきりに横を指さし興奮気味。なんだ?と指さす方を見てみると、

  

 しまった!
 さっきごまかしたゲームコーナー!!
 今までゆめの背中側だったので見えなかったが、椅子に座らせたので視界に入ってしまった!俺も気づかなかった!
 
 もうこれはごまかしようがない。ゆめもやる気満々だ。まだ半分以上残っているのに、もうごちそうさまの合図してやがる。
 仕方がないので連れて行ったが、専用コインで遊ぶゲームよりも、お金を入れるゲームをやりたがるは、挙げ句の果てには”頭文字D”の運転ゲームに乗りたがる。
 お前、アクセルにもブレーキにも足が届かないじゃないか!

 どっと疲れて帰ってきた。。。。

 今日でママと別れて3日目。今までずいぶんと良い子ちゃんだったが、夜はさすがに限界らしく、しきりに
「ママ、ママ」
と、泣きながら眠りに落ちていった。。。

 後一晩耐えれば、ママは帰ってくる。
 明日は熱もないだろうから”のぞみ”に行かせて、発散させよう、たしろちぇんちぇいには悪いけど。
 ”のぞみ”で荒れるぞ、きっと。

そして、ゆめ   04/8/29/(日)
 ゆめ様、朝から熱発。
 いや、正確に言えば、朝は元気だった。次第に熱が上がってきたのだ。特に風邪の症状とかはないのだが、ただただ熱が高く、食欲もない。食欲はないが、いつもと比べて格段に元気がないわけでもない。

 午後、さらに熱が上がり、38.5°を突破。ややクッタリ気味。
 さすがに38.7°近くなると目に見えて元気がなくなってきた。


 頭、脇の下、後ろ頭に冷えピタシートをはって、熱冷ましの座薬を入れた。
 前回、熱性痙攣の薬をもらったが、そっちは使わないくても良いだろう。

 風邪じゃないし、なんだろうと思っていると、ばあばが
「知恵熱だろう」
と言う。
 知恵熱?
「弟が生まれたとき、お前(俺)がそうだった。母親と離されて不安なんじゃないの。」
なるほど、そういうのもあるのか。
 時々思い出したように一言二言
「ママ?」
と言う以外はずっと良い子ちゃんで、たいしたわがままも言わずに来て、ずいぶん立派になったね、ゆめ。知恵熱も、我慢の結果かな。

 それにしても、明日はどうしようかな。
 明日は普通勤務。しかし、ママは新生児の専門検診(口蓋口唇裂の。ゆめとのからみで相談もある)があるので、一緒についていて欲しそうだったけど、それを除いても、熱性痙攣の後でこの熱。母親に続いて俺まで一日いなくなったら、ゆめはどうなるんだろう。。。。また熱上がっちゃうかな。ばあばもリュウマチでゆめのお世話はできないしなあ。。。。

 どうしよう。

出 産   04/8/28/(土)
 夕飯後、ゆめを泣かし付けた後で、車で連れ出すと良いというので、新しく土地を買いたいなあ〜と当たりを付けている場所を見に行き、ついでに新しくできた志都呂のジャスコに行き、歩くと良いというので、専門店街を歩き回り、午前1時まで待ったが、ついに出そうにない。
 仕方がないので就寝。

 午前3時前、ママに起こされた。
「来そう・・・」
急いで病院へ。
 病室が空いてないのでとりあえず診察室に入り、経過を見たが、これからが本番だそうな。
 ベットの隣の椅子でうつらうつら・・・待合室に行ってうつらうつら・・・
 ついに朝になってしまった。
 7時半頃、ゆめ様の様子を見に帰ると、なんと起きていて、ご飯を食べている!聞けば、4時半頃から起き出して、階段の上で階下のタローを大声で呼んでいたそうな。おかげでじいじもばあばもエライ早起きだって。
 ゆめも、ただならぬ気配で分かったのかなあ、いつもなら絶対起きないのになあ。

 病院へ戻ると、半分病室、半分・・?な部屋に入っていた。既に陣痛らしきモノが数分おきに来ているようだ。まだ毛を剃っただけでうんこもしてないし、まだまだその瞬間は来そうもないらしいママの背中をさすりながら、のんきに文庫本など読んでいた。
「9時頃診察しましょうか。」
と、なじみの看護婦さんも言う。
「何かあったら呼んでくださいね」
 
 なんかあったらっすか?看護婦さんが消えた直後に、2分おきに2分の陣痛になったんですが、これはまだ呼ばなくてもいいのか????

と、
「あ”〜〜〜なんかうんこでそう!でも、うんこで看護婦さん呼べないしーー」
う〜ん、そりゃあ、そうだよねえ。。
「あ”、やっぱダメ!呼んで!!」
とママが叫んだ直後!

ビシャ!!

ビシャ?うんこでちゃった?もしかして、ゲリピー??

「破水した!!」

なんと!
今の音は破水かよ!急いでナースコールを押すが、だーれもでてくれない。外へ飛び出し、そばにいた看護婦さんを呼び込むと、大急ぎで出産準備が始まった。

 今までいた部屋のアコーデオンカーテンがあき、なんとそこに出産道具がずらり。看護婦さんは手際よく準備を開始した。
 俺は、自動的に分娩室にいる情況になった。
 胎児、既に出かかってるよー
「旦那さん、ここ押さえといて!!」
ここ?ここって、え”−−−−−

 ママの股間を押さえろと言われ、既に手のひらに胎児の頭の固さを感じつつ、待つこと数分、準備が整い、いよいよ出産。

 と思うまもなくすぐに出てきちゃった。
 ヒー・ヒー・フー を、一緒にやる暇もなかった。
「お父さん、へその緒、切ってくださいな。」
え”?マジ??
ドキドキしながらへその緒も切ったぞ。ケッコウ固かった。



 口唇口蓋裂ではあっても、さすがは男の子だし、ゆめの時とは違ってでっかい声で泣くなあ。それに、なんか色が赤い。ゆめは真っ白だったぞ。
 ママが股間を縫ってもらっているとき、その向こうに連れて行かれた赤ちゃん。保育器みたいなのの中で処理後ちょっと放っておかれていた。
 一瞬見に行こっかなあと思ったけど、振り向いたときに怖いモノが見えるとイヤなので、やめといた。

 2660g ちんこ付き。予定日よりも一週間早く小さめだけど、元気な赤ちゃんだった。
 指がやたらに細長い。これは間違いなく俺の指だ。耳の形も俺のと同じだね。一緒に染織や木工やるかな。

出産  かも   P−2 04/8/27/(金)
いつの間にやら、もう15時。
出産はまだかいな・・・・



11時頃、ママからメール。
「”おしるし”を診ると、出産は近いらしい」

おー、こりゃ、いよいよか?

なにげに隣の櫻井先生に
「近いらしいです。」
と言ったら、先生方がミンナして
「早く帰りな。」「間に合わなかったら、一生言われるよ。(それは誰かが告げ口するからでは・・・?)」「丸太運んでる場合じゃない(笑)」←午前中は、授業で使う丸太の流木(実に総重量100kg以上!)を、川岸から切り出してきたのだ。
とか言ってくれた。
 すぐじゃないって言ってるから、まだ良いんだけど、お言葉に甘えて帰ってきた。
 
 帰ってきたけど、
「何で帰ってきたの?すぐじゃないって送ったのに」
案の定、ママにはそういわれた。
 ママがメールに曖昧な書き方したのが悪いんじゃ。それに、経産婦は進行が早いのに、連絡もらってからじゃあ間に合わないかもしれないじゃないか。

 まあ、いずれにしても、もう少しだろう。

出産        かも 04/8/26/(木)
 夕食時、お腹の痛みに耐えるママ。
「陣痛かなあ・・?」
 ゆめの時に似ているような、似ていないような。。。ゆめの時より痛みが少ない。でも、お腹の子はかなり静かで、出てくる準備に入ったような気もする。
 とりあえず病院に電話してみると、診ないと分からないから来て欲しいとのこと。入院の可能性もあるので、準備して出かけた。
 ゆめもついてきた。

 俺がゆめを抱き、ママの運転で病院へ向かう道中、
「ゆめちゃん、今日生まれると思う?」と聞くと、
「うん。」と言う返事。
「明日になると思う?」と聞いても、
「うん」と言う返事。
「どっちでも良いんだ?」と聞くと、やっぱり
「うん。」と言う返事。
 てきとーだなあ、ゆめ。

 病院に着くと、ただでさえ少ない車いす駐車スペースは満杯。ただひとつ空いていた場所も、今まさに駐車して下車したばかりの中年男性が。スーツをばっちり着込んで、どう見てもそん場所に用はなさそう。
「すいません!そこ、障害者スペースなんですけど、僕ら停めたいんですが!」
と、ゆめを抱えたまま、ばっちり障害者マークが付いた愛車から飛び出して詰め寄ると、意外にあっさりどいてくれた。礼を言いつつ駐車し、周期病棟へ。

 お腹を40分ほどモニターして、結果は
「直ぐに生まれるほどではないけど、経産婦さんは進行が早いから微妙」
だそうな。
「午前0時前に入院すると、夜間診療+前日泊で3万円余計にかかるので、いったん帰った方が良いですよ。」
だって。
 既に金額設定が高すぎると思うから、親切なのか違うのかよく分からないけど、とにかくそういうことならと帰宅。

 さて・・・・いつになったら出てくる?

タローのまなざし 04/8/24/(火)
 あたくしタローでございます。
 幸せさがして11年。とりあえずは平穏無事な毎日でございました。。。
 そう、アレが来るまでは。。。。。

 アレ・・・・すなわちユメでございます。

 あたくしの生活は、月曜日から金曜日までが、喰っちゃ寝・喰っちゃ寝、間に来客をもてなし(吠えたて)、良く来る人(郵便屋さんとか)には「ワン」1回でしっぽを振り、また喰っちゃ寝。寒い時期には暖かいところ、暖かい時期には涼しいところを探す名人としてぶいぶい言わせ、男のシンボルを失ってからは女には目もくれず、散歩の途中に他の犬にけんかを売られてもどこ吹く風の達観面。まことに僧侶のように清廉潔白な毎日。
 たまの土日はユメがやってきて、あたくしの毛をひっぱたり、上に乗ったり、肉キュウを触られたり、よだれを付けられたり・・・・食事時においしいモノを落としてくれるのだけはうれしいですけど。
 でも、まあ、それも週2日の我慢。。。
 まったくもって犬らしい生活を送っておりました。

 ところが・・・若女将さんの出産準備とやらで若旦那一家がやってきて、一緒にユメの傍若無人な振る舞いが始まりました。
 それまでは土日くらいに我慢すれば良かったのが、毎日毎日毎日毎日・・・いい加減我慢の限界でございます。。。。

 本日は、ユメのあまりの仕打ちに我慢ならず、そばにいた若女将に目で訴えたのでございますが、分かってはくれたようですが何もしてくれはせず。。。やはり頼りになるのは若旦那。ユメから救い出してくれ、そっとなでてくれるのでございます。。

 ああ、こんな日が、一体いつまで続くのでございましょうか。あたくしこのままでは、ふさふさの毛が抜けてしまいそうですー。まあ、毛ならたくさんあるので多少は抜けても、涼しくなって良いですけど。

 家出するぞ。

きょうのゆめ+α 04/8/23/(月)
 今日は、良い気持ちで寝てるところをじいじにたたき起こされて、朝から不機嫌なゆめ。
 ”のぞみ”には、バス停までばあばがおくってくれたから、お帰りもばあばがバス停まで来てくれる事を察知していて、帰りのバスの中では
「ばあば、ばあば」
のラブコール。

 そんなゆめは、夜中に暑くて何度もママをたたき起こしたことをママ本人からパパに告げ口されて、ちょっと不機嫌。文句言ってた。

 そしてゆめは、タローの肉キュウが気に入って、今ご機嫌。。。
 ひんやりして、もっちりした感触に、幸せをかみしめているのだろうか。。。
 でも、汚いから、舐めないでください。
 おさわりだけなら、おっけーよ。



 ゆめの”のぞみ”の宿題を仕上げた。ゆめが色を塗った貝殻を、上手に壁飾りに仕立てる。(アルバム参照)
 小枝が必要なのだが、うっかり拾い忘れた。本当は流木が良かったのだが、仕方ないので裏の荒れ地で拾ってきた。
 雨でびっしょり。
 仕方ないので、レンジでちんして乾かした。
 良いにおいがしてきた。


 ?
 良いにおい?

 しまった、こげた。
 乾かすつもりが、乾きすぎて煙ふいてる。
 仕方ないから消火のために水かけた。
 また濡れちまった。

 なんのためにレンジでチンしたかわからん。
 

物知りゆめ 04/8/22/(日)
 出産準備で色々な物を買うママ。その中にマグマグを発見したゆめ。それでジュースを飲むという。
 ジュースを入れて持ってくると、いらないと言う。逆にパパが飲めと言う。
 飲んでみせると、今度はあたしが飲むという。


・・・・毒味ですか・・・?ってか、
それを俺にやらすか!?



 以前、ママの大きなお腹を真似て、子供用のサッカーボール(ちょっと小さめサイズ)をお腹に入れて遊んでいたゆめ。今日もそれを入れて遊ぶ。
 と、突然
「う”〜〜〜〜〜ん!」
と言いだした。ママが服をめくってボールをだしてやると、
「はふ〜〜〜」
と一息・・・。


・・・・出産ですか・・・・?ってか、なんで知ってる、その経過を????



 お風呂大好きゆめ。気がつくとお風呂場にいた。
 観察していると、お風呂の栓を口元に持っていき、なにやらしゃべっている。しかも、時折それを耳元にも持っていき、聞くそぶりも・・・


・・・・・警察無線ですか・・・・?ってか、お前は柳沢慎吾か?

怒るパパ 04/8/21/(土)
 このごろ・・ってわけじゃないが、俺はケッコーゆめを怒る。怒りはするが、嫌いとか、憎いわけじゃない。

 例えばビデオを見るとき、ゆめは曖昧にしか見たいビデオを指ささない。適当に選んでやったり、「ぷー」という時はプーさんのビデオをかけてやっても、いっつも途中でイヤイヤをする。それが見たいんじゃないって訳だ。
 そんなとき、俺はがんとしてかけ直してやらない。
「何度もこれで良いか?」
と確認して、ゆめがうなずいてからかけているのだから、そう簡単に違うと言っても聞いてやるわけにはいかない。そんなわがままは許しません。

 例えば寝るとき、それまで眠くてふらふらで、自分で
「ねんね」
というのを確認してからベットに連れて行っても、布団に入ったとたん覚醒しやがる。げたげた笑って大騒ぎだ。
 そんなときはどやしつけてでも寝るようにし向ける。このごろは気合い一発でしゅんとなり、寝にはいることも多い。
 でもなあ、脅されて寝るなんて悲しすぎる。でも、ベットは寝るためのモノって言う意識をしっかり持ってもらわないと、この後学校も始まるし、第2子が生まれてママがいなくなってからも困るしなあ。。

 8月に入ってからは出産準備もかねてずっと俺の実家にいる。ゆめは実家で飼ってるタローの散歩の時、バギーで一緒について行く。
 タローを散歩に連れて行ったとき、ゆめにちょっと聞いてみた。
「ゆめ、パパ怖い?」
ゆめは、少し間をおいて、
「うん」
と言った。

 俺はかなりショックだった。分かってはいたけど・・。でも、
「それでもパパが好き?」
と聞くと、間髪入れず
「うん」
と言った。
 俺はゆめをバギーごと抱きしめた。いつもなら抱きしめても
「はなてー(離せ)」
と言わんばかりにひっかいたりするのに、この時はゆめは黙って抱きしめられてくれた。

 ゆめのことがちょっとせつなく、かなり愛おしくなった。夏が終わる寂しさいっぱいの、ちょっともの悲しい夕闇迫る黄昏時だった。それでも、そのうち太陽の光と引き替えに泣き出したムシ達の声は、とても力強く感じた。