kouen日記

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演劇集団浜松キッド第24回公演
『嵐の一夜 〜Be Careful…?〜』

           ○ と   き : 平成13年12月2日(日)
           ○ と こ ろ : クリエート浜松ホール

○ 演 出  山田 利明    ○ 作  神谷さつき

○ キャスト
 ・清水 銀一  畑 木 宏 支    ・渥美 大輔  渡 辺 泰世志
 ・渥美 容子  大河原 佳 美    ・井原 和彦  袴 田 光 春
 ・水島奈津美  佐 藤 ともみ    ・香坂 伸男  島 津  敬
 ・斉藤 美也  谷 津 委 代    ・高杉 六郎  小 池 高 正
 ・牧田 正蔵  大 石 英 喜    ・津川ありす   龍  雄香里
 ・ラジオのアナウンサー(声) 林 田 小都喜

○ スタッフ
 ・舞台監督  荒 川 能 宏
 ・舞台美術  大 橋 隆 一 ・ 足 立 典 正 ・ 白 柳 弘 幸
        袴 田 光 春 ・ 島 津  敬  ・ 畑 木 宏 支
 ・小道具   大 橋 隆 一 ・ 大河原 佳 美
 ・音  響  家 本 典 幸
 ・照  明  潟Xテージループ
 ・衣  装  谷 津 委 代 ・ 佐 藤 ともみ
 ・制  作  小 池 高 正 ・ 渡 辺 泰世志 ・ 大 石 英 喜
        仲 谷 ゆかり ・ 黒 田 友 香 ・  龍  雄香里

○ Special Thanks(敬称略)
 足 立 典 正 ・ 足 立 まゆみ ・ 潟Xテージループ ・ 浜北市中央公民館
 当日お手伝いしてくれた皆さん


☆ 12月1日(土)

 午前9時30分に足立さん倉庫に集合。アチコチから借り受けた軽トラとか、大石さんの愛車ボンゴブレンディに大道具類を積み込んでいく。今回は日曜日の夜公演、開演が午後6時で終焉予定が7時30分。ホールを9時30分には出ないといけないということで、バラシ(セットした道具類を片付け、小屋を現状復帰させること)の時間が取れない。ゆえに大道具類はとても簡素化され、積み込みも楽な訳で、スムーズな流れで足立さん倉庫を出発、小屋となるクリエート浜松に向かう。僕は光春さん運転の軽トラに乗る。小屋入りの時には皆テンションが高めになるもの。移動中も光春さんと稽古中にあったこととか、メンバーの内輪ネタ話しに花が咲く。本番への不安をごまかそうとしてるのかなぁ…。
 それにしても、どんなイベントでも当日朝のドキドキ感はいいよねぇ。特に小さなトラブルなんかがあって、みんな慌てていたりすると、イベント馴れしちゃった僕は
「お〜!バタバタしてる〜♪」と逆にとっても嬉しくなったりする(ん〜やな性格だ)。
 10時過ぎに小屋入り。搬入用エレベーターで2階のホールに道具を運ぶ。些細なことだけど、搬入用エレベーターしかり、“関係者専用”を使えるというのは特別な人(VIP?)になったようで、何か気持ち良い。我ながら単純だとは思うが(^_^;)。
 大道具類が簡素化されているということは、仕込みも楽。昼頃には終わってしまい、照明をお願いした
ステージループさんの仕込みの間、役者は楽屋弁当食ってのんびりしてたりする。いつものキッドの公演と比べてあまりにスムーズなため、「何か忘れていないかな?」と変に不安になったりして…。もっとも舞台の背景代わりに吊るす白い幕とそれを支えるバーの寸法を間違っていたのはキッドらしかったけど。
 することが無い役者連中は小道具に使うトランプで遊んでいる(台詞確認しろよ)。僕はホワイトボードにスケジュールを書き出した後、
山田さんがやっと書いてくれた原稿を基にお客さんに配布するパンフレットを作成する。…こんな所まできてパソコンに立ち向かうとは思わなかった…。

 午後3時ころ、家本さんが来て音響関係のセッティング。そして照明・音響のきっかけ合わせに入る。きっかけ合わせとは芝居中どのタイミングで照明や音をOn(またはOff)するのか、役者・スタッフともども確認する作業。多くの場合、実際公演する舞台と稽古場では広さが違うし、照明のあたり具合で役者の動きを変える必要が出てくる。が、今回は広い足立さんの倉庫で稽古ができたため、照明の関係で多少変更が出ただけで、これも実にスムーズに進んでいく。何か怖いくらいだ。
 まぁこれもいつもの
キッドらしく、照明・音響のきっかけ合わせなのに山田さんが芝居のダメ出しをするので、ループさん家本さんが暇こいていたけど。

 夕飯のおにぎり弁当食って、“はみがき促進連絡協議会”の活動。さらには舞台上及び客席に“国際霧吹き同盟”の活動を行う(何だか分からない人は静岡県発行の『舞台芸術公演情報』Vol6の春日太郎さんのコラム参照)。“国際霧吹き同盟”の日本支部長を自認(?)している僕は、自分の手でシューシューしなければ気が済まなくなっているので舞監の荒川さんから半ば強引に奪い取って任務を遂行する。
 午後6時30分、ゲネプロ(最終稽古として初日前に衣装や道具類・照明・音響等、本番の公演そのままに行う、一般にはリハーサルと言う)。お客さんはいないけれど、やっぱりいつもの稽古と違って気持ちにハリが出る。それにしても、暑い!! クリエート浜松ホールは天井が比較的低いので、照明ライトの熱さをモロ受ける訳ですわ。稽古場だった倉庫が寒いところだったので、余計に暑い!! ゲネやりながら汗がダラダラ出てきた。嵐の中山道歩いて、やっと辿り着いたお屋敷が舞台なので、臨場感が出ていいのかもしれないが…。でも他の役者は汗かいてなかったね。なんで?

 8時00分過ぎにゲネ終了。小返し(うまくいかない箇所をその小部分だけくり返し稽古すること)して台詞や動き、照明、音響のチェックをする。山田さんは明日仕事があって来られないため、演出から直接指示を受けるのはこれが最後。さらにいいものに昇華させようと、山田さんガナリ(小屋入り後演出が役者・スタッフに指示を出すために持つワイヤレスマイク)で照明に負けないくらい熱く叫ぶ。

 9時00分に翌日の打ち合わせを行い、小屋と出る。
 いよいよ明日が本番! この数ヶ月のがんばりが結実します。お客さんに楽しんでいただくのはもちろんのこと、我々自身も最高の思い出にできるようにベストを尽くそうぜ!!


  ☆ 12月2日(日)

 いよいよ公演日!! 天気も良くなって、客足への影響は無さそう。しかし午後に浜松福祉文化会館で浜松放送劇団、なゆた・浜北で劇団MMKの公演が。さらには静岡スタジアム・エコパではJリーグチャンピオンシップ第1戦「ジュビロ磐田VS鹿島アントラーズ」(行きて〜)が行われる。お客さんを取り合わないか心配だ(客層が全く違うから心配ないか?)。
 午前9時30分に小屋入り。スタッフは準備、役者は衣装に着替えてメイクをするが、化粧馴れ(?)している女優陣はともかく、男優陣はドーラン持って右往左往するのみ。正直面倒くさいのでやらずに済ませたいところだが、メイクしていない場合照明にあたると顔の凹凸がなくのっぺりと見えるし、僕みたいな汗っかきはおでこがテカってしまう。演技の稽古や研究は日常していても、メイクの練習って公演直前のこの時に必要性を感じるだけだもんな。でも後になって何故か忘れてしまう。誰か「メイク講座」やってくんね〜かな?
 今日の開演時間は午後6時。それまでに2回の
ゲネプロが予定されている。つまりは本番含めて1日に3回通り芝居やる訳で、こりゃハードだわ。よっしゃ!と栄養ドリンクを飲んで気合を入れ、柔軟、発声をやって舞台に立つ。昨日に続いて照明を浴びてあちーあちー!! 汗が滝のように流れてくる。なんか僕1人小劇場しちゃってるなぁ。いや、今日は僕だけじゃなく光春さんもいい汗かいてるわ。
 さて、山田さん不在のため荒川さん中心にスケジュールが進んでいく。ゲネが終わると荒川さん、作家の神谷さん、スタッフの黒田さんから厳しいダメ(駄目出しの略。いけない所をとにかく指摘すること)がとぶ。しかし役者たちも負けてはいない。特に初舞台組は小屋入りして大化け。稽古場では台詞はつっかえるし動けないし表情こわばってるし、大丈夫かいなと心配したけど、昨日から今日にかけて凄く進歩した。やっぱり実際の舞台に立ち、照明を浴びれば気合の入れ様が変わってくる。コツさえ掴めば若い彼らはスポンジみたいなもので、いろいろなものをドンドン吸収していく。これは羨ましい限り。かなり遅めだけど、ノッてきましたよ〜!!

 昼飯食って小返し、そして今日2回目のゲネ。流石にみんな疲れてきているのか、1回目に比べてちょっと集中力が散漫になっていて多少台詞や動きにミスが出る。が、逆にここで「失敗しやすいところ」の最終チェックができて良かったのかも? ダメ出しもらって、いよいよ本番残すのみ。ゲネでトチったところを注意しましょう、ね、音響の家本さん(ゲネで一番ミスってた)。
 2回目の
ゲネが終わったのが午後4時。特別腹は減ってないが、これを逃すとバラシが終わる9時過ぎまで飯を食えないので、畑木クンと半分こしておにぎり弁当を食う。5時30分の開場まで時間ができたので出来れば一眠りしたいところだが、楽屋は人でいっぱいで横になれないし、かと言って客席は空気が乾燥しているので喉を痛めそうで怖い。結局“はみがき促進連絡協議会”の最後の活動と柔軟体操、発声練習をの〜んびり1時間半かけてやることにする。
 舞台隅でウダウダと過ごしていると、
家本さんが確認(ゲネでミスったため。あ、しつこい?)をしている音に合わせて、スタッフの白柳さんが“ウルトラQ”もどきの小芝居を始める。するとそれを見た照明担当のステージループさんが即興で照明を合わせ始めた! これが最高におもしろいのよ。腹抱えて笑わせてもらいました。いや〜いいもの観せてもらったわ!!

 “国際霧吹き同盟”の活動を行い、小道具チェックしていよいよ開場。僕もう一つの気になること、チャンピオンシップ第1戦の結果を確認した上(なんで引分けやねん!)で、集中するための瞑想に入る。両手を合わせ、それを唇にあてて台詞を暗誦する。こうすることで渡辺泰世志から渥美大輔にシフトチェンジするのだ。さぁ、いよいよ開演!!

 山道で乗合バスが事故を起す。嵐の中、2時間半も山中を彷徨った乗客と運転手は、やがて一軒の屋敷を発見する。そこには謎めいた執事と女性のお手伝いがいた。一晩泊めてもらうことになった一行だが、麓の街で起こった強盗傷害事件をきっかけに「この中の誰かが犯人では?」という疑心暗鬼から大騒動が巻き起こる。彼らがこの山に来た本当の理由は? そして強盗犯は何処へ? 騒動はやがて意外な結末に至る…。

 嬉しいことに予想以上にお客さんが来てくださって、席を増やしたため開演時間が遅れる。が、芝居に限らず満員の客席というのはそれだけで盛り上ってくるもの。役者たちも稽古やゲネの時よりノリにノッてる。いつもと比べてテンポもいい。お客さんの反応も大爆笑とまではいかずとも、小気味良く笑っていただいている。良かった…。結果としては、本番がもっとも出来が良かったかな?
 
清水役の畑木クン、本番になって“田舎のバスの運転手”みたいな雰囲気がでたね。それがラストのシリアスさとミスマッチで良かった。容子役の大河原さん、俺と似た者夫婦に見えたかな? 井原役の光春さん、さすがベテラン! いい雰囲気で芝居を引っ張っていただきました! 水島役の佐藤さん、井原先生に愛を告白するシーン、とっても可愛いかったよ! 香坂役の島津クン、今時の大学生+バカっぽさが出てて良かった。斉藤役の谷津さん、タンカをきるシーンは凄い迫力! 高杉役の小池さん、期待を裏切らない演技で一緒に舞台にいながら楽しかった! 牧田役の大石さん、ラストの清水とのシーンはマジで怖かった。津川役の龍ちゃん、不思議な雰囲気が出てて良かったよ!
 そして裏方として支えてくれたスタッフのみんなには心の底から感謝!! 特に
作家の神谷さん、満足できるレベルに達していたか不安ですが、とにもかくにもこうして形になりました!

 客出しで多くの方から声をかけていただく。楽しんでもらえたか? 満足してもらえたか? 是非じっくりご意見聞かせていただきたいな。辛口の批評だって大歓迎! キッドは「お客さんに楽しんでいただける」芝居を目指しているから、逆に「楽しんでいただけなかった」方の意見は貴重なんです。今後さらに成長するためにも是非ご意見聞かせてください(楽屋噺掲示板にカキコしてね!)

 道具類が簡素化されているため、バラシも順調。午後10時30分から稽古場になっていた足立さんの倉庫で打ち上げ。無事公演が終了してキッドの3大○○(好きな言葉入れてね)である大橋さん山田さん荒川さんもホッとした様子です。


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