kouen日記
演劇集団浜松キッド第26回公演 ☆ と き : 平成15年11月16日(日) ☆ 作/レイ・クーニー ☆ 訳/小田島雄志・恒志 ☆ 演出/山田利明 ☆ キャスト ☆ スタッフ ☆ Special
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朝6時30分起床。昨夜遅くまで当日パンフレットの原稿をつくっていたので少々ではなく、かなりの寝不足。あと5分〜と言いたいところだが、荷物を全くまとめてないのでやむを得ず起きだす。友だちの結婚式に出席するために埼玉に行くAはすでに起きて準備してた。朝食を取って荷物を車に積み込み、いざ出陣と思いきや、「浜松駅まで乗せてって。」とのたまうAの準備が完了せず。ワンボックスを所有するメンバー最北端居住者は自然と輸送担当することになるのだが、端から遅刻してしまう。みんな、ごめん!! AM9:30小屋入り(昔芝居は掘建て小屋で行われたことに由来。つまり公演会場に入ること)。すぐに大道具の建て込みをする。今回の大道具はかなり大掛かり。数年前に『パパ・アイ・ラブ・ユー』が公演候補として挙がり、最終的に採用しなかった最大の理由が“大道具が大変”だった。それが今年は『パパ・アイ・ラブ・ユー』を公演すべく大道具を建て込んでいる。キッドの小屋で“電動ドライバー”の音が響いたことなんてこれまで無かったもんなぁ。これ、演劇関係者なら意味判ってもらえると思うけど。でも今我が浜松キッドには白柳さんがいる。プロ劇団で全国各地の小学校等を巡った経験はとてつもなく大きい。凝ったセットを組み立て易く、バラシやすく造る技術はさすが。その白柳さんの指示のもと、メンバーが組織的に動いて多目的スペースがみるみるうちに劇場へと変わっていく。イベント好きにはたまらない瞬間やね。建て込みがメドがついた段階で客席をつくる。今回は階段席、フラットの椅子席の前に座布団を並べて桟敷席を設える。上演時間は2時間。桟敷で観るお客さんには少々辛い時間だ。あとは我々がいい芝居をして、腰やお尻の痛みを忘れさせなければならない。 PM5:30夕食。そんなに腹は減っていなかったが、今回の楽屋弁当は価格に比べ豪華、そして美味。なんじゃかじゃで全部平らげる。食べ終わる頃に一騒動、公演時の役割分担についての意見の相違が原因だ。どんなイベントでもこの手のことはありがち。小屋入りして本番を明日に控え、みんな平常より興奮気味になっているから、ちょっとした行き違いが騒動に発展する。こうしたことを防ぐためにも事前に決められることは決めておいて、当日あ〜でもこ〜でもないと議論する羽目になる種は摘んでおくべきなのだ。ただでさえ今回は裏方(スタッフのこと)が少なく、役者が裏方仕事を2役3役とこなしている。すでにいっぱいいっぱいで気持ちに余裕が無い人もいるのだから突然別の役割を言われても、それは無理な話しである。他にもやれる人がいたのだから無理強いしてもねぇ。もっとも事前に決めておかなかったことについては制作担当である僕にも責任の一旦がある。反省。 このゲネになって“レズリー”役の畑木が大化けしてぐ〜んと良くなった。「パンクで情緒不安定な少年」役なのだが、衣装をつけて気持ちがこもったか? 初舞台から3年目、いずれも主役級を演じる幸運の持ち主なのだが、全て小屋入りしてから大化け。つまり彼は本番に強いのだが、良い意味で“ズルい”役者とも言えるのだ(別の意味では「稽古からやれよ。」とも言えるが)。 もちろんみんな台詞のトチリがまだまだ少なくないし、何より舞台上の時計のスイッチを入れ忘れて止まったままという致命的なミスがあった。いまだ緊張感が足りないか? でもゲネの段階でミスが出るのは、ある意味理想的。ミスしやすい点を強く認識できるからね。 PM9:10ゲネプロ終了。閉館時間の関係で着替えだけして小屋をでる。簡単に明日の打ち合わせをして解散。雰囲気は良い。このまま明日を乗り切りたいものだ。 |
天気予報ではあまり良くないと聞いていたが、起床してみれば雲は多いものの雨が降る様子はない。幸先良くて気分爽快。今日も道すがらメンバーをひろいながらの小屋入りである。途中コンビニで中日新聞を購入。金曜の稽古時に知り合いの記者に無理を言って取材をしてもらったのだ。写真入りでけっこー大きく扱ってくれている。Kさん、ありがとね〜。この記事を観て多くの人に観にきて欲しいな。 小屋入りして役者はすぐに着替え、小道具チェック、そしてメイクに入る。今回メイクは久々に山田かつらの太田さんにお願いする。過去『ソープ・オペラ』『法王庁の避妊法』『キネマの天地』等でメイクとともに衣装の手配をお願いした太田さんは、東京でプロのメイクとして仕事をしている。メイク技術が皆無なうえに汗っかきな僕にとってはとってもありがたい存在。たいしてお礼もできないのだが、いつも無理を聞いて気持ち良く協力してくれる。“プロの遊び”というところか。いつものごとく「鼻が高く見えるようにしてください。」とお願いする。 エリートコースまっしぐらの医者のところに、何年も前の不倫の結果の息子が突然訪ねてきた。今さら息子がいるなんて、人に知られる訳にはいかない。かくして無理に無理を重ねた隠蔽工作が始まるが…。 開演直後はお客さんが固い感じだったが、芝居が進むにつれて少しずつ馴染んできた様子。そして1幕途中からはホントによく笑ってくれた。コメディ劇団を目指すと言いながら、ここ数年公演でお客さんの“大爆笑”が無かった(少なくとも僕はそう感じていた)からとても嬉しかった。そしてそのお客さんの笑いに僕も含めて役者たちも逆にのせられて、どんどんいい芝居になっていった。舞台上で演じながらこんなに楽しかったことがあったかなぁ。 稽古中はかなり心配したが、結果的には僕自身のキッドでの芝居の中でも代表作とも言える作品になったと思う。もちろん課題も少なからずあった。一部間を外してしまったところもあったし、登場するキャラ一人一人との人間関係を充分理解し表現できていたかと言うとちと自信が無い。それに厳しい見方をすれば、1,000円というお金をいただいてお客さんに観てもらう以上、今日の出来が最低線であるとも言える。さりとて反省すべき点は反省して次への糧にしたうえで、今回こんななにいい芝居になったことを素直に喜びたい。共演した役者、山田さんを始めとする裏方の皆さん、そして一緒に楽しい時間を過ごしてくださったお客さまに心から感謝します! |