kouen日記
Pots and Pans公演『Sea Side』 ○ と き:平成13年5月12日(土)・13日(日) ○ 作/演出 見野文昭 ○ スタッフ ○ 協 力 |
昨夜の稽古終了が11時を越え、家に帰ったのが12時過ぎ。ところがなかなか寝付けず、完全に睡眠に入ったのは1時超えていた。え? 緊張してるのかって? いやいや、稽古期間があまりに短かったためか、明日が本番という感じがせんのよ。したがってお休み前の夜更かしモードってわけ。あかん、緊張感無さ過ぎる。「寝なきゃ寝なきゃ!」と思えば思うほど、逆に眼はさえてくる…。 本日小屋入り(公演会場に入ること)は8時30分。着いてみるとスタッフの何人かがソファーで寝入っている。昨夜稽古が終わった後、役者5人は家に帰し、ほぼ徹夜で仕込みをしていたのだ。本当にありがたい。好きなこととは言え、自分が出るわけでもない舞台のために。眠いなんて言ってられない!感謝!! 板(舞台のこと)の上でそのがんばりにお答えします! というわけでふだんはライブハウスにもなるバーが、小屋入り時にはすっかり芝居スペースとなっておりました。 続いて照明&音響きっかけ合わせ。世捨て人は6日にある程度やっているので今日は我々Pots and Pansが中心となります。どのタイミングで照明を入れるのか、切るのか。音響を入れるのか、切るのか。逆に照明&音響のON、OFFをきっかけに役者が舞台で出る、ハケる(袖に引っ込むこと)。稽古場でやっているのと、実際小屋(“芝居小屋”からきていて、芝居をやる会場のこと)でやるのとでは事情が変わってきます。思った以上に板が狭かったり、位置的にお客さんから見難かったり。今回は役者が舞台上に座ると、下手(客席から舞台に向かって左側)袖の照明&音響操作位置からは見えにくくなることが判明。きっかけとなる動きをするところは立ち上がることになりました。 10時からゲネプロ、略称ゲネ。ゲネプロとは本番通りの流れで照明&音響を使い、役者も衣装をつけて行う。一般的にはリハーサルって言うと判りやすいかな? 本当は何度もできるといいんだけど、アマチュアの場合はどうしても当日本番前の1回限りということが多い。その分最終チェックの場としてとても重要になる。ゲネがある程度うまくいけば本番前に少しホッとできるけど、失敗でもしようものなら不安感です巻きにされた気分になってしまうわけで、お客さんはいなくてもけっこー緊張します。 で、いよいよ我々の番です。音が聞こえ、照明を浴びる、お客さんはいないけど、スタッフや当日手伝いの仲間が薄暗い客席から観ている。否応なしに集中力が増してきます。相変わらず同じ場所で「何だっけ?」と台詞を探ったり間違えたりしたけど、終わってみれば何とか様になったのではなかろうか? もちろんお客さんにお金を取って観ていただけるレベルかどうかは不安だけど、少しホッとしました。 昼飯におにぎり2個食って去年3月のM−Uプロデュース『赤鬼』以来の“はみがき促進連絡協議会”、空気が乾燥しているので“国際霧吹き同盟日本支部”活動。そしてさぁいよいよ本番…と言うところで一つ問題が。「メリーユー」は元々は芝居やるようなスペースではない。袖に控え室とか、待っている場所がない。強いて言えば幅80cm程の通路しかない。したがって後の出番のさえちゃんとあっきーは客入れ(開場してから開演までのお客さんが入ってくる時間)の30分、世捨て人の公演の40分、そして休憩10分の計1時間20分に渡って幅80cmの薄暗い通路に置いた椅子に向かいあってジッと座っているわけだ。大きい声も出せず、一人でブツブツ台詞を確認しているくらいしかすることない。途中3回ほどウトウトしてしまった。見ればさえちゃんも寝入っている様子(これ台詞にあったな)。これじゃストレッチや発声練習も意味ないな。いざ本番で声出るかな? 身体動くかな? さらに不安材料が増えてしまった。 照明が落ちる。出番です。暗い中を懐中電灯を片手に舞台に出る。あら?最前列からクスクスと笑いが…何故? 照明が点いて芝居をしながらフッと眼をやると…あら、家本さん(家本典幸)、林田さん(林田小都喜)、小池さん(小池高正)、畑木クン(畑木宏支)の浜松キッドの面々が最前列に。そういや懐中電灯で入ってくるこのシチュエーション、キッドの『THAMB UP!』のオープニングと同じだ〜。それにしても最前列に知っている人間が座っているというのもやりにくいもんです。 オープニングはさすがに手が震える、声もうわずる。でも3場の静かなシーン辺りから少しずつ落ち着きが出てくる。4場辺りには芝居しながら「あら? 2人ともいつもより自然な演技しとるやない?」と思い始める。お! 集中力もいつもやゲネより高い! こりゃいけるかも…。実際台詞も2・3間違えるところもあったけど、多分お客さんには判ってないんじゃないかな。 それなりに出来が良かった良かったんじゃないかとホッとしました。 もっともゲネと本番の両方を観てくれたLABO/1の太郎さん(春日太郎)からは「ゲネと本番とで台詞の言い回し違ってたね」と言うご指摘。台詞の言い回しがその都度大きく変わるということは、まだその役をしっかりとは掴んでいないことにもなる。さすがとも言うべき指摘に弁解の余地なし…。さらには「ラストでサザンの『TSUNAMI』は恥ずかしくない?」とも。その点は見野さんに言っとくれ。私は必死で恥ずかしさ感じる余裕は無かったのよ。 客出し(公演終わってお客さんが小屋から出る時間。アマの場合、役者が出口であいさつすることが多い)が終わり、何とバラシ!(公演に必要な道具などを運び出し、小屋を現状復帰させること)が始まる。明日も公演があるのに何故? 夕方5時頃解散。何となく時間が中途ハンパなため、さえちゃんとお茶しに行く。とりあえず「今日無事終わって良かったね〜」と健闘(?)を称えあい、芝居やいろいろなことをぺシャクシャしゃべくる。去年の『赤鬼』で共演しているからお互いの意気はある程度判っているつもりだし今回は時間が取れなかったので残念だったけど、2人芝居はもちろん恋人同士だったり同性でも“気のあう仲間!”という役を演じる場合って、こういう時間が大切なんだよね。 明日、また新たな気持ちで芝居に取り組めそうです。 |
今朝は8時集合。前日はスタッフが徹夜で仕込みをしてくれたけど、今日は朝からの仕事で間に合わせなければならない。けっこうハードです。と、言いつつ少々遅刻してしまいまして(反省!)小屋に入ってみると…あら?客席がセッティングされている?。昨夜営業が終わった後に、お店の人がやってくれたのだと言う。本当に多くの方達に支えられて、今日が楽日。最後の日です。 幼い頃に兄妹になりかけた秋男とさえちゃんの再会。「春」「夏」「あっきー」ときっとその頃も言っていたのだろう、言葉遊びを交わす2人。さえちゃんの父親、秋男の母親はすでに亡くなり、2人は砂浜で“家族”になりかけた頃を懐かしむ。この砂浜でやった棒倒し。勝ったら相手の“宝物”を見せてもらう約束だったのに、さえちゃんが反則勝ちして秋男の宝物の時計はさえちゃんの手に。そしてその日が2人の別れの日となった…。 客入れから世捨て人の公演。今日は小田クン(小田小丸)の前説(お客さんに観劇の際の注意事項とか言うこと)が入る。単なる前説ではなく、さり気ない(?)しゃべりでお客さんの心を掴んでいく。さすがFMハローのDJ! その頃我々は昨日と同じく袖の狭い通路に向かい合って座っていたのですが、私は昨日に比べて時間が短く感じていました。何故か? 離れ離れになってしまった2人。その間にあっきーには誰にも言うことができない秘密ができてしまう。幼い頃のほんの一瞬あった幸福の「時」。そんな「時」を永遠のものにするため、まるで魔法にでもかかったかのようにあちこちから「時計」を盗み出し、思い出の砂浜に埋めていたのだ。それを見ているさえちゃん…。彼女は父親と同じ職業につき、そしてあっきーの前に現れた。 今日はお客さんの入りが悪いと思われていたが、予想に反して昨日と同じくらいのお客さんが観にきてくれました。満員ぎっしりの客席というのは、それだけで盛り上ってくるもの。満員御礼! 警察官となって現れたさえちゃん。逃げるあっきー。そしてあっきーが叫ぶ「津波のばかやろう!」 終わった。なんとか無事終わった。カーテンコールの時ってすっげぇー気持ちいいんだよね。お客さんの拍手の中、ゆっくりあいさつをする。特に今回は光栄にも口上を述べさせていただきました。この芝居、観てくださった皆さんの心にいつまでも残っていてくれるだろうか?それから我々の思い出にも…。どうですか?見野さん?っと思いながら見ると、疲れきった中にもホッとした表情。スタッフも、そしてさえちゃんや世捨て人の3人も。そしてお世辞半分にしても「良かった」「楽しかったです」と笑顔を返してくれたお客さんたち…。 「メリーユー」は今夜も営業。というより貸し切りパーティーがあるため、4時半には出ないといけません。全員協力しての最後の作業。準備段階から“最後で最大の難関”と思われていたこのバラシを、しかし一つの公演を乗り切った仲間たちはわずか30分で全ての道具類をメリーユーから運び出したのです。 夜7時から打ち上げ。無事公演を終えた安堵感と、正直疲れもあってみんなテンションハイ!、異常に盛り上ります。隣に座った見野さんとさえちゃんともにこの1ヶ月を振り返って話しに華が咲く…。 心地よい充実感と、明日仕事なのに飲み過ぎた!という後悔を感じながら家路に着きます。さえちゃんにはもう会えないかもしれないけれど…、
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