COOL、(センター試験−現代文を考える 2000/1/19)について謝る。 2014/7/6
こんにちは。
上記表題(センター試験−現代文を考える)のコラムがここに掲載されておりましたが、この中で私は、
現代の音楽界では日本一、高名な、近藤譲先生のことを、「譲ちゃん」と呼んだり、
思いこみ一発で、客観的には正しくもあり得ない自説をふりかざし、センター試験の国語問題文を批評しておりました。
そのため、この14年間の間に幾人かの方々に抗議され、謝罪せよと言われ、わたしもまあ、ごもっともだと思いましたので、ここで謝らせていただきます。
ごめんなさいね、もうしません。
DTM(デスクトップ・ミュージック)の講習会に行ってきた。氏家さんというDTMの大家が講習をしてくれ、たいへん面白かったが、彼の言った中に、気になる一言があった。
「新しい文化というものは、常に組み合わせから生まれるのです。」
彼が言うには、ニューヨークの音楽シーンでは、例えば、レゲエ・ロックのように新しい組み合わせから新しい音楽が生まれるという。じゃあやってみましょうということで、彼はシンセサイザーを使い、斬新な(コード進行が凝った)カントリーをひょいひょいと演奏してみる。まあ通常なら非常にシンプルなカントリーミュージックのコード進行を複雑にすることで、やはり聞いたこともない音楽がうまれる。普通ない複雑なコードとカントリーの組み合わせ。まあ、こんな具合なんですよね・・・。彼はこともなげにそう言ったのであった。
いや、いい、悪いではないのだ、今日は。ただ私の中で一つ引っかっかるものがあったのだ。
定食屋で読んだマンガの中に、妙なものがあったのを思い出した。一話読み切りものなのだが、大体ストーリーはどれも同じだ。つぶれかけた企業に、ある日ひとりのスーパーサラリーマンがやってくる。みんなもうだめだど思っていたのに、そいつが活躍するおかげでその企業はみるみるうちにライバル企業をおいこし、立ち直っていく。最初はばかにしていた社員もいつしか尊敬のまなざしで彼を見るようになる。その過程が面白いのだが、このマンガがすごいのはここからだった。実は彼はサイボーグだったのだ。話の終盤はライバル企業に雇われた同じサイボーグ戦士と戦うことになる。彼が「戦闘モーーード!!」と叫ぶと服が引き裂け、サイボーグ戦士に変身し、巨大化したりする。ライバル企業戦士と取っ組み合いがはじまり、キックだパンチだ話はロボットアニメ物に強引に急転回し、最後は必殺技で敵をしとめる。大体において敵は最後にバーンと大爆発をおこし、彼は平和を守ったのだ・・・凄い話だ。
私はこのマンガ、あんまりばかばかしかったので一冊読んでしまった。企業ものマンガとロボットマンガの究極の組み合わせ、大合体。これも新しい文化なのか・・・?このマンガのタイトル、忘れてしまったんだなあ。思い当たる人是非教えてちょうだい。
その後このマンガは「企業戦士YAMAZAKI」とわかりました。このマンガ、売れてんの?
大道芸ワールドカップを斬る! 2000/2/6
このコラムで、今までいろんなことにぶつぶつ文句を言ってきた。自民党政治、自治体、SPAC、教育問題、宗教・・・etc。みなさんから意見をいただいたものも数多い。しかし全く、世間には腹立たしいことって数多いもんだ。
大道芸ワールドカップってどう思う?と聞かれることがある。
うわさによると結構派手に税金使ってるらしい。また7人くらいの実行委員がすべて取り仕切って、金の流れも不透明らしい。これを許せるか!と問いただされることがある。
許しゃいいじゃないか。
せっかく楽しいお祭やってんじゃないか。静岡で唯一知名度の高いお祭りだ。むしろがんがん金つかって盛り上がろうぜ、この際。何億使っていくらの赤字かしらんがどうせ静岡は一兆円の赤字をかかえた大債務県だ。空港やめりゃこんな祭に金捻出することくらいちょろいだろう。他に無駄なもん削るべきだね。それに、祭の金の流れなんか不透明でいいのよ、でっかいことやるんだから多少おおざっぱにいかにゃ、ねえ。
ただ、大きな勘違いをあらためた方がよいだろう。
大道芸は静岡に根づいたという人が多い。勘違いしちゃこまる、大道芸は静岡にちっとも根づいちゃしないんだよ、まだ。ニューヨークや東京になぜあれだけのショービジネスが存在するか、その答えは簡単だ。その土地に優れたパフォーマーが育っているからである。文化、とは人のことだ。器ではない。大道芸でいくらたくさんの見物客を動員したからといって勘違いしちゃいけない。そこに優れたパフォーマーがいないかぎり、なにも根づいたことにはならないのさ。静岡出身のパフォーマーがどれだけいるのか・・・。
しかし、だから止めろというのではない。続けりゃいいのだ、死ぬ気で。もう5〜6年続いているんだろう?20年は続けるのだ、最低でも。そうすれば、生まれた時から大道芸を見て育ったやつが大人になる。そうした中から本当にいい大道芸人が発掘される可能性があるかもしれない。そうしたやつがぼんぼん出てきたとき、初めて大道芸は静岡に根づいたと言っていいだろう。
しかし、大道芸が本当に根づいてしまって、ふつうのおやじがぼうしから突然ハトだしたりして、しゃれっけ出てきちゃったら、静岡は全く楽しい街になるだろうよ、ホンと。
私の動物占いは、ペガサスだ。
ペガサスの特徴は、
1)現実には存在しない。
2)すべての動物の中で、一番のめんどうくさがりや。束縛を嫌う。カンを頼りに行動する。
3)面倒な問題が発生すると、得意のハネを使って飛び去る。「だってハネが生えてるもーん。」問題が終結すると再び舞い下りる。「それで、どうなったの?」
これが、使えるのだ。言い訳に。
「ごめん、俺、ペガサスだからさあ、いなかったことにしてくんないかなあ。大丈夫だよ。」
「お掃除めんどうだなあ、おれペガサスだからさあ、君、小鹿だろ、かわりに掃除しといてくんないかなあ、頼むよ。」
「えっと、この仕事は君頼むよ、ええっとこれは・・・君得意そうだなあ、やってみてよ。あの、俺ペガサスだからさあ、はやいとこ帰るわ。結果は明日聞くから、頼んだよ。」
いいぞペガサス楽で。皆さん何?教えてよ。仕事振るから。
動物占いはこちら。
3月はイベントが目白押しなのだ。今日はまとめてご紹介したいと思います。
3/4(土) | 酔組OFF会 八丁櫓の歌お披露目会 | DOTCOOL | 静岡の誇る酔っ払い集団である酔組(総帥:金田一野村)が第二回OFF会を開催する。当日はDOTCOOLは貸し切り。であるから私も酔っ払うと思う。ジョニー大倉作曲の八丁櫓の歌のお披露目会も同時に行う。ともかく酔っ払いたい人、もりあがりたい人は入り口で、「あの、金田一の・・・こちらですか?」と言っていただければ今日から君も酔組のメンバーだ。 |
3/11(土) 18:30〜 |
THE JAZZ NETWORKS 椎名豊カルテット・杉本廉太郎グループ | サールナートホール | さあ、みなさん。お聞き逃しなく。のこりわずか、チケットはもう手に入れたかな。詳細はこちら。 |
3/15(水) 19:00〜 |
THE BLAZING BRASS JAZZ ORCHESTRA Live at Sumiya | すみやホール (呉服町すみや楽器店奥) |
静岡のプロ・フェッショナルのビックバンド誕生その第1回ライブ開催!!COOLがピアノを弾きます。これはすごいぞ。HPはこちら。 出演者 /望月秀剛(リーダー、tb)丹羽康雄(コンマス、sax)渡辺尚仁(ゲスト、tp) 杉浦邦弘(dr)林三景(pf)川口三郎(tp)原科澄乃(sax)中島英乃(sax) 矢辺新太郎(sax)岩田恵子(tp)大川三津世(tb) 曲 目 /ビックバンドジャズからラテン・フュージョンまでいろいろ。 チケット前売り¥3,000 DOTCOOLにて。 |
3/20(月:祭日) 18:00〜 |
春宴夜会 | ホテルセンチュリー静岡 | 日本バーテンダー協会主催のパーティー。おしゃれをして遊びに行こう。当日はお茶を使ったカクテル等ユニークなカクテル、リキュールが飲み放題。スイングハード・ジャズ・オーケストラのビックバンド演奏もあるぞ。COOLも一応バーテンなので出席。しかしお客さんとして・・・なのだ。 チケットはDOT COOLにて。7,500円 しかし、こういうおしゃれなパーティー、年に一度くらい出てみるのもいいもんだねえ。
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4/28(金) 19:00〜 |
鈴木亜紀ソロコンサート | 焼津市文化センター 小ホール | 昨年暮れにライブしました鈴木亜紀が焼津にやってくる! 大人の純情。また聞いて見たいです。 チケットはDOT COOLにて。2,000円。 |
いやーイベント目白押しだぜ、まいった、まいった。チケット買ってね。お願い!
ドットクールは決してコアなジャズバーではない。もちろんそう思って来店していただいてもいっこうにかまわないが、はっきり言って企画物のライブでもない限りライブ中だって話し声がやむことはないし、むしろ話し声のほうが大きいくらいでしかしマスター自らそれで良いと思っているのでコアなジャズファンにとっては少々迷惑かもしれない。まあ、かたいこと抜きで楽しみましょうや。
しかし、最近コアな企画が密かに好評を呼んでいる。
対決だ。
第一回目の対決は「最強のキースジャレット対決」だった。お客様各人、自分で最も凄い、これぞ最強!というキースジャレットを一曲持ち込む。その場にたまたま居合わせたお客様の票で、誰のキースが最強だったかを決めるという単純で、エキサイティングな企画だ。しかしこの対決、たまたま曲を持ち込んだ人以外お客様がいなかったため、みんな自らに投票したためドローと終わった。
第二回目の対決は「最強の映画音楽対決」だった。これは店主COOLが、「タクシードライバーのテーマ」で、バクダットカフェの「コーリング・ユー」をわずか一票差で破り、優勝した。へへ、店主の面目躍如ってところだ。かかってきやがれ。
そして第三回めの企画は、来る4/19(木)の20:00より行われる、「最強のオスカーピーターソン対決」だ。さあみなさん、これぞ最強と思われるオスカーピーターソンを、思い入れをたっぷりに一曲お持ち下さいな。CDかMDに限ります。私COOLと、耳自慢のお客様がその挑戦、受けてたちます。優勝すると常連の皆様から、いやー凄いねあなたは最高だね、ところで1000円貸してくれないかい・・・と誉めてもらえます。しかしこのCOOLが選んだ一曲を果たして越えられるかな?齢34にしてピーターソン暦15年になりますが、数々の思い出と共にピーターソンはあるんだなあ。「ザ・トリオ」の「シカゴ」は確かにすばらしいなあ、「ロンドンハウスのオスカーピーターソン」の「グリーンドルフィン・ストリート」のイントロは本当にぶったまげたなあ。さあ、コアな対決だ、かかってきんしゃい。
沼津で27歳の男が女子高生を刺し殺したと思えば、交際を咎められた16歳の娘が父親を刺し殺すという事件もおこった。
私は今までに、殺してやると言われたことが2度ある。
一度は21の頃とあるパーティーで留学生のイラン人に脅された。女の子と仲良く話していたら後ろから忍び寄り、耳元で表へ出ろと私に話かける。外へ出ると彼はこう言った。「これ以上女の子達と仲良くすると私はあなたを殺すね。私はそういう態度、好きじゃあないね。私はあなたを殺すことは難しいことではないよ。私はあなたを殺さない、私の友達があなたを殺すね。あなたは誰も見ていない所で私の友達に殺されて、山に埋められる。誰もあなたが殺されたことに気が付かないね・・・。」私はたまたま出会った最初のイラン人の男にこう言われた。恐ろしくなったが私も若かったからその後も女の娘たちと仲良く話した。しかし私は今もこうして生きている。
二度めは両替町で暴漢に襲われた時だ。昔このコラムにも書いたが、若い男は狂った目で私に「殺すぞ」と脅しをかけた。雨の日の日曜の深夜、私は数箇所傷を負いこの時は本当に殺されかかったが今も私は生きている。
いつだか10代の子供が飲み屋でナイフについて教えてくれたことがある。「どうしてみんなナイフを持とうとするか知ってます?あれね、殺っちゃうのが目的じゃあないんですよ。ただ、俺はナイフを持つことだってできるんだ、今はいじめられてるけどいざとなればできちゃうんだぞ、そういう強い男なんだ・・・というように認めてもらいたいから持つんですよ。てっとり早いから、だから実際にやっちゃう勇気なんてないです。でも間違っちゃうことは・・・あるかもね。」・・・なるほどな。間違っちゃうわけね、なんかのはずみで。
いやいや、物騒になってきた。本当に気をつけにゃあいかんな。いつか本当にナイフを持って向かって来るやつが現れたら・・・・やばいね。
○○刑事というの、多すぎないか。そんなにウケルのか。
スケバン刑事あたりからはじまったんだろう、あぶない刑事はもちろんのこと、はみだし刑事、スチュアーデス刑事、ママチャリ刑事なんてものもあり、最近じゃなんと市原悦子のおばさん刑事、そして年の差カップル刑事なんてのもあるらしい。おい、それタイトルそのままストーリーだろうと思わせるものも多い。まったく安直だぜ。
じゃあ、俺もつくってやろうじゃんか、プロヂューサーども、参考にせい。
ガングロ刑事(主演:高部知子) 麻雀刑事(新潟が舞台で刑事が犯人) パソコン刑事(ネットで犯人を追い求める刑事) チンピラ刑事(どっちなのかわからない刑事) 公務員刑事/リーマン刑事(普通の刑事) カリスマ店員刑事(よくわからんが視聴率はとれるか?) お色気刑事(Vシネマ) チビ刑事(小さい刑事) ロックンロール刑事(主演はすべてがロケンロールジョニー大倉) プロレス刑事(逮捕の瞬間は投げっぱなしジャーマン)・・・・・・いいだろう、これくらいにしておくか。
ものものしいタイトルがついたものもある。「信濃路に消えた・・・殺人事件」こんなタイトルの推理ドラマ多いなあ。それじゃあ視聴率が取れる究極のタイトルを考えてやろう。「スチュアーデスは見た!?みちのくOL3人旅 湯煙旅情 湯布院 グルメツアー連続殺人 秘湯に消えたカリスマOLの謎におばさん刑事が挑む!」くらいでどうだ。これでだいたい網羅しているだろう。
刑事ものは安直すぎる。「特捜・・・」がやっぱり一番だったなあ。
テレビドラマにはずぼずぼはまる。
ドラマの集中するゴールデンタイムは私は仕事中なので、もっぱらビデオで見ることとなる。だからはやりのものも昔のものも関係ない。私は最近「ずっとあなたが好きだった」にはまり、「エヴァンゲリオン」にはまり、「古畑任三郎」にはまり、「ロンバケ」にはまり、「王様のレストラン」にはまった。
現在「ER」にはまっている。プロデューサ、マイケル・クライトンが言っている「今までにないドラマを作りたかった。」全くその通り、こんなドラマは初めてだ。
「症状からみてドブタミンの点滴がいいでしょう。」「療養施設は点滴の患者を受け入れんぞ。」「ドブタミンでは心不全が再発する恐れがありますのでACソライザーを・・・。」「いい考えだ。」「じん障害が悪化します。」「アシオゾンデル」「全負荷を減らしてしまう。」「ジゴキシン」「腎臓で排泄できん。」「利尿剤」「心泊質量が落ちてしまう。」「おおきなジレンマだ・・・。」とこんな会話が連発する。私には薬の名前も症状もさっぱりわからんがやたら説得力がある。オペのシーンなど迫真で感動ものだ。ドクターって実はかっこよかったんだと思い直させられた作品である。
このドラマについて友人の看護婦さんに話した。思わぬ答えが帰ってきた。
「あ、そう、ところでそのかっこいいドクターがするオペの準備をするのは誰か知ってる?」
「・・・看護婦・・・かい?」
「へえ、わかってるじゃん。じゃあ、ドクターがやりちらかしたオペの後片付けをするのは誰か知ってる?」
「・・・看護婦・・・かな?」
「そうよ、そのとおり。それじゃあ一番偉いのは誰かなあ、誰だろうなあ?いつもさあ、病気が治って感謝されるのはドクターで、恨まれるのは看護婦なんだなあ、一番たいへんなのは誰かわかるかなあ?」
そりゃわかるけれど、準備やかたづけじゃドラマにならんじゃんか。でも看護婦さんもがんばってね。
チョベリバどうした、チョベリバ。
超MM(超まじむかつく)はどうなった?超MMC(超まじむかつくから殺す)は?チョベリグは使っているのか。MG5(まじ切れ5秒前)は?同じ中学出身だと「おな中」ってちゃんと言っているんだろうな。お前らが作り出した日本語だろう、責任持ってちゃんと使えよ。言葉まで使い捨てするなよ。
なに、もうださいって?よしわかった、それじゃあ今日から俺が使って残してやる。90年代のティーンの文化を責任持って大人の手で残してやろうじゃないか。・・・しかしどうやって使うのだ??ちょっとやってみるか。
「今日のライブはPAがチョベリバで1)チョベリブになっちまったぜ。おまけに司会の女も2)ガンブーで超3)ホワイトキック。お前はどう思う?」
「まじで司会はガンブーで超4)ビビリンゲボーボーでしたね、あんな女司会にするとは超MMで5)ジラレナイシン。でも司会が6)オニブスだっただけでボーカルはいけてたじゃあないですか。」
「まあな。けっこう7)いけめんだったな。あんな女に8)コクられてみたいね。」
「じゃあそろそろバックレますか。9)マクります?10)デニります?」
「11)チョバチョブで12)チョコンバだから今日は13)ソクサリするわ。14)ジャネバイ。」
解説:1)超ベリーブルー ゆううつであること。2)顔が不細工なこと。3)しらけること。「興ざめ」。4)びっくりすること。5)信じられないこと。6)オニ ひどい。(「オニバカ」→ひどいばか、「オニブス」→ひどいぶす)7)いけてる顔 8)告白される 9)マクドナルドへ行くこと。10)デニーズへ行くこと 11)超バッド・超ブルー。12)超コンディションバッド。 13)すぐ帰ること。 14)じゃあねばいばい。
どうだ、やればできるぞ。そう簡単に言葉を無き物にはしないぞ。どうだコギャル、おじさんたちはひつっこいのだ。
私はバーテンだが、バンドリーダーでもある。
バンドは楽しい。私は仕事の一部でもあるが、つらい仕事を忘れ音楽に没頭できる瞬間はなにものにも代え難い。
しかし苦しい時もある。バンドリーダーは意外に仕事が多いのだ。ライブを企画する度に会場と交渉し、ギャラを決め、少しでも多くのチケットを売り、練習し、メンバーをまとめるには労力もかかるし人間関係にけっこういらつくこともある。しかしライブは生き物だ。悩んだ末行ったライブが必ずしも納得いかないこともある。するといらつきはいっそう増してメンバーにあたったりすることもある。ああ、なんで俺はこんな煩わしいことをわざわざやっているのだろうと真剣に悩む。
そんな時、やる気のなさそうな俺の顔を見てとったのか、「もっと一生懸命やれよ。」なんてどこからともなく声が飛んでいるのが聞こえる。そりゃそうだ。しかしやりきれないのだ。どいつもこいつも俺のことなんかわかっちゃくれねえ。ええい、しこたま酒飲んで眠ってしまえ・・・私はいつもこんな悩みを抱えているのだ。
俺はいったい何をしているのだ?こんなことを続けていてなんか意味があるのか?
そんな愚痴をある日同期の友人にこぼした。友人は意外な返事をした。
「おめでとう。」
「え・・・。」
「お前、課長になったんだよ、出世したな。どこで何していようが俺達にいよいよそういう歳がやってきたってことだな。これからは上から下から外野からあれこれつっつかれて大変だろうけど、しっかりやれよ・・・。」
サラリーマンをやめて3年半、私は課長に昇進できるとは夢にも思っていなかった。34・・・か、まあ順当というところか。
ものごころついた時から私は巨人ファンだった。
栄光のV9時代、長嶋が3番を打ち、王は毎年必ずホームラン王だった。巨人は川上監督のもとV9爆進中で、少年野球の入門書には長嶋からの一言が書かれており、私達はそれを胸に秘め毎日一生懸命草野球に励んでいた。私は愛知県のT市に住んでいたが、友達はみんな巨人ファンで別に普通だった。背番号3か1にあこがれ、今日はバッターかピッチャーか、それしかなかった。外野に飛んでいったボールは仲間に入りたいガキ連中か、私の妹が取りに行った。
昭和47年だったか48年だったか、中日が優勝した。名古屋はひっくりかえったような大騒ぎだった。しかし私達には関係なかった。そんなもん、一度ばかり勝ったって強かない、なんたって巨人はV9なのだ。巨人は絶対に一番だった。だいたい私の中で野球は、「巨人対敵」なのだ。ほんとのことを言えば、中日なんていうのは優勝するまでほとんど知らなかった。なぜならカッコイイ選手がいなかったからだ。単なる「敵」だった。ONこそが私の野球のすべてだった。
小学4年の時、私はT市からN郡H町という田舎町に転校することになった。
そこはT市に住んでいた私にとって、なにからなにまで田舎だった。町中で機織りの音ががちゃがちゃ聞こえ、人々の尾張弁はかなりきつい。ボスは金持ちの息子で、そいつの言うことを聞かないと誰も話をしてくれなくなる。そんなことに田舎臭さを感じていたが最もまいったのは・・・・・・友人が中日ファンだったことだ。
高木守道だ木俣だ、井上だマーチンだ谷沢だ・・・だれだそりゃ。なにごちゃごちゃいってんだ。いったい何もんだそいつら、田舎もんか?ピッチャー松本だ星野仙だ、知らねえよそんなやつら。彼らの話題はわけわかんない中日のスター達だった。これがまたサイン会によく町を訪れた。私はそんなサイン会にわざわざ行きたくなかった。私の親友はこれがまたマイナーな、青山なんていう投手のサインをもらって喜んでいた。私はどう答えていいのかわからなかったが、ここは郷に入れば郷に従えだ、だまっているのが得策だと考え、巨人ファンであることを声高に名乗ることを控えた。
地元には「少年ドラゴンズ」という組織があり、町内の大人がもちまわりで監督をするリトル・リーグみたいなものだった。野球好きの少年はみんなこれに属していた。私も入会して友人と野球がしたかったがどうしても嫌悪感があった。ドラゴンズのユニフォームを着ることだけはいやだった。田舎臭いのだ。そんなもん、着れるか、あほくさ。高木だ木俣だの話なんかしたかないぜ。だいたい木俣の一本足なんて王のまねじゃんか。私は少年ドラゴンズには入会しなかった。敵のユニフォームなんか着れるか!どぶくせえんだよ。
わたしは、巨人ファンなのだ。血がそうなのだから、仕方がない。
そして、今でもそうだ。その生っ粋の巨人ファンが今の巨人について言わせてもらう、いいね。
清原は西武の人間だろう。江藤は広島の人間だ。マルチネス?いつから巨人は外人が必要になったんだ。外人なんてのは巨人に勝てない弱小チームが姑息に雇うものなのだ。V9時代に外人がいたか?二岡だ清水だ高橋だ上原だなんてまだひよっこだろう。V9時代のラインナップを思い出すがいい、1番柴田、2番土井、3番長嶋、4番王、5番末次・・・みんな生え抜きのベテランばかりだ。これが巨人の野球なんだ。日本一のチームとしての自信と誇りを持った生え抜きの男達が真剣勝負に挑むのが巨人の野球だ。だからこそ盗塁王柴田が走り、バントの名手土井が送り、長嶋が吠え王が打ち、塀際の魔術師高田が守り、はちまきカーブの堀内を日本一のキャッチャー森がリードできたんだぜ。誇りに満ちたプレーはマスコミに騒がれずとも伝説のなるのだ。いつから巨人は若手と外人と、他チームの借り物に頼らねばならなくなったのだ?今の巨人のいったいどこを少年達は好きになれというのだ?長嶋、「戦力を整える」なんて会社の社長みたいなことこと言っているなよ。若手を育ててくれよ。もういいかげん、あきあきしているんだ・・・。
それでも私は巨人ファンだ。仕方がない。松井、今のおれにはお前がすべてだ。
プロレスがショーであると、私はずいぶん前から認めていた。
小学生のころ、私はおばさんとよくプロレスを見た。おばさんはブッチャーが好きだった。ブッチャーは試合の度に血を流していた。血を流すと必ずブッチャーは怒った。「さあ、ブッチャー怒りました、怒りました!」アナウンサーは毎回こう叫んでいた。おばさんはこの台詞を待っていたみたいで、この状況になると私を呼んだ、「みっちゃん、ブッチャー怒ったよ、怒ったよ。」怒って血を流しながら地獄突きを繰り返すブッチャーを見ながら私は思っていた。「こんなに毎回流血していたら死んじまうじゃねえか。こりゃインチキだ。」けっこう早い時期から、私はさめていたのだ。
高校に進学すると、プロレスブームが訪れた。タイガーマスクが舞い、長州がさそりを極め、スタン・ハンセンがアンドレとがっぷり4つの試合に望んでいたころ、一人のレスラーがヨーロッパタイトルを引っさげて新日マットに凱旋した。それまでバックから繰り出すのが常識だったスープレックスを、男はなんとがっぷり4つの姿勢から繰り出すことができた。フロント・スープレックス、私はこの時初めてこの技を目の当たりにして、以来7色のスープレックスを繰り出すこの男から目を離すことができなくなった。スパークリング・フラッシュ、前田日明である。
しかしこの男は、スープレックスを交えた華麗な試合運びが信条のただのプロレスラーでは終らなかった。プロレスそのものに限界を感じ、佐山タイガー、高田信彦らと共に新団体UWFを結成、やらせなし、スポーツとしての格闘技を確立すべく新日本を脱退した。私はこのUWFという団体が何をやっているのか、どうしても知りたかった。プロレス雑誌をかたっぱしからよみあさり、キックと関節技に重きをおいたそのファイトを想像することができた。しかし、グラウンドの応酬が多い彼らのファイトは評論家を含め評判も良くなく、地味で面白くないというレッテルを貼られつつあった。
その前田率いるUWFが、ある日新日マットに帰ってきた。
その時、見たのだ。夢にまで見た彼らのファイトだった。私は度肝を抜かれた。地味だなんて、とんでもなかった。
新日の中堅である木村健吾は前田にズタボロにされた。なんせ、蹴るのだ。それも、プロレス流のストンピングやニー・アタックみたいなやわな蹴りかたではなかった。ブルース・リーばりの空手の蹴りが木村のローといわずミドルといわずきまりまくり、木村は本当に痛そうに逃げまくった。こんな風に痛そうに逃げるシーンは今までのプロレスでは見られないものだった。前田は容赦なく木村をコーナーに追いつめ、そして更に蹴った。そしてコーナーに崩れ落ちる木村を前田はリング中央へ引きずり出し、腋固めを極めた。腋固め?これはとんでもなく地味な技だった。うつぶせの相手の腋を逆関節にとるだけの技だったが、木村はこれであっけなくギブアップした。これがUWFの恐るべきサブ・ミッションだった。この、練習生が最初に覚えるような地味な技を前田はフィニッシュ・ホールドに仕上げたのだ。戦慄が走った。木村は「人間サンドバック」などという汚名をきせられたが、まさしくそのとおりだった。それ以降、木村を含め、前田に対するすべての選手の顔は苦渋に満ちていたようにみえる。ありゃ、痛いもん。
そこに、やらせは無かった。前田日明はブッチャー以来の私のプロレス観を根底から覆した。これが、格闘技なのだ。
その後前田はアンドレとけんかし、長州の顔面を蹴って問題となり、新日を再び追放される。なんのことはない、前田が一人強すぎたのだ。
カレリン戦で彼が引退するまで、私の心の中の最強は前田だった。現在の全日を見ればわかるように、自己増殖を繰り替えしてマンネリに陥りやすいプロレス興業のどってっぱらに風穴を空け、多団体がしのぎを削るその基礎をつくったのも、あるいはなんでもあり、アルティメット系の格闘技がこれだけ定着するその土壌を日本につくったのも、私は前田だと思っている。アブドラ・ザ・ブッチャーを本当に倒したのは、この男だった。