アメリカの旅 (1) 1999/10/7
おじさんち二人と・・・(セントラルパークにて)
”Don’t talk about yourself.”(自分について語るな。)
デトロイトから車で1時間半、国道を北上したところにフリントという街がある。緑の芝生と星条旗がかかげられた清楚な住宅が立ち並ぶその様はそれだけで豊かな国アメリカを感じさせるに充分であったが、その街外れにたたずむ賑やかなBARの、片隅にかけられていたプレートの文句がこれであった。”Don’t talk about yourself.”2週間ちょっとのアメリカの旅の中で、一番心打たれた台詞がこれだった。
「自分について語るな。」そうなのだ。自分について語ることは全くばかげたことだ。なるほど今日訪れたこのBARでは私は知り合いもいないし、寂しい思いをするかもしれない。しかしそれがいったいなんだというのだ。アメリカは人種のるつぼだ。ホワイトはいるブラックはいる、アジア系もヨーロッパ系もいる。そんなやつらがぶつかりあって激しく生きている中で、英語が苦手な観光好きの日本人であることをくどくど説明したってそれがいったいなにになるのだろう。自分について語らないこと、それがこの国アメリカのアイデンティティーそのものであるような気がする。うちの店にもこのプレート掲げようかなあ。
ま、ハードボイルドの私にとってアメリカは居心地のよいところなのだ。冷たい人間関係の中に垣間見る人間の温かさ。これぞハードボイルドの極みよ。さて、おじさんち二人としでかした3人旅、ちっとづつ紹介していきたいと思います。だらだら書いてもしょうがないから、面白かったところだけ、ね。どうぞよろしく。
アメリカの旅(2) 1999/10/13
バッテリパークでストリートミュージシャンと・・・。
今回の3人旅は結果的には、ニューヨークからデトロイトに入り、フリントという田舎でゆっくりして最後はニューオリンズでジャズとストリップ三昧という旅となった。結果的と書いたのはまあなんということか、我々がニューヨークに滞在中にこれがまた今世紀最大とも言われるハリケーン「フロイド」が東海岸を襲い、サウスカロライナに未曾有の被害をもたらした上ニューヨークを直撃したため、我々のフライトスケジュールは混乱をきたし、予定を変更せざるを得なかったということだ。これだから旅は面白い。ホテルでCNNの天気予報を食い入るようにみつめる一方、チャンネルをかえると野茂がソーサーに60号を打たれていた。アメリカは広いなあ。ハリケーンの夜しょうがないから我々はホテルで酒を飲みながらナイターで盛り上がった。
3人旅というのは初めてだった。Iさんは私の尊敬するサックスプレーヤーで、Kさんはベースプレーヤーだ。IさんもKさんも私よりちょうど25歳程年は上だ。価値観も何もかも違うはずだがジャズが死ぬほど好きという点で一致していたため意見の食い違いは全く無かった。そもそも今回の旅はIさんが「ニューヨークへ行きてえなあ。」といったところにわたしが「しょうがねえなあ、行きますか。」と反応したためいきなり話が成立し、そこにKさんが加わったという形だった。Iさんが「行きてえなあ。」ともらした時これはいちど海外へ出る時だという予感がした。国内でできてしまったしがらみを一度ぶったぎってやろう。それがすべてだった。
おじさんちは面白いのだ。ニューヨークのファーストフードで話は盛り上がるわ盛り上がるわ。
「これ、なんだ?」
「これ、ナン(インドパン)だよ、ナン。」
「ナン?ナンか。ところで、これなんだって、なんだ?」
「What is this?」
「なああんだ。なんだこれ、まずいな。なんだよ、まったく・・・あ、ナンか。」
くだらねえことをNYの真ん中で話し合って、我々はばか笑いしていたのであった。
ビレッジ・ボイスという新聞があった。
J・Fケネディー空港からマンハッタンへ向かうタクシーの中で、ドライバーが教えてくれた。「なんだ、ジャズを聞きにきたのかい、それならビレッジ・ボイスという新聞があるよ。町角にある箱の中においてある。ただだよ。ニューヨーク中のライブ情報が載っている。それを見てライブに出かけるといい。」と言ってわざわざ新聞のBOXの前で停車してくれた。私は新聞を手にとって確認すると、ブルーノートからスイートベイシル、イリジウムやビレッジバンガードまですべてのライブ情報を手に入れることができた。こりゃ便利だ。幸先のいいスタートだった。
ところがこの新聞、面白いのはそんなライブ情報なんかではなかった。
ビレッジ・ボイスのような無料の新聞は掲載広告料で成り立つことがほとんどで、この新聞も例外ではなかった。そこには約20ページに渡ってNYの風俗情報が掲載されていた。美女の写真が載り、説明がある。RIZA・・・INCALL ONLY.1−800−543−XXX OLIENTAL LADY IN CALL/OUTCALL 1−800−456−XXXX という具合に次から次へと女が顔写真付きで紹介されている。私は食い入るようにその写真に見入り、かわいい女の子を探しながら、その意味を考えた。これはホテトルなんだろうか。ここへ電話すると、この女がホテルまでやってきて、パフパフして、金払うと帰って行くというシステムなんだろうか・・・。わからないのはINCALL OUTCALLという言葉だ。これはなんなのだ・・・。とりあえず私はこのシステムについて知りたかったので、さかんに Iさんに女を買ってみないか勧めてみたが、Iさん好みの脂ののりきった黒人女性がいないということで体よく断られてしまった。相場的にはいったいいくらぐらいなのだろう。一発やって話の種にしてみるかとも思ったが、ぼったくられるのもこわかったしそんなに金を持ってきたわけでもなかった。よし、今度NYに来たらこっそり試してみよう・・・と密かに心に誓った。
ビレッジ・ボイスの面白いのはそれだけではなかった。次ページからは交際申込の情報が溢れんばかりに掲載されていた。「34歳のホワイト、ブロンドヘアで、スレンダーでセクシーな女ですけど、年上のお金持ち男性を探しています・・・。」「20のハンサムな男でマンハッタンに住んでいますが、キュートでプリティーなベイビーを探しているよ・・・。」なんてまともなものから「40歳の紳士だが私の調教を待っている雌奴隷を探している・・・。」「25歳のハンサムでセクシーボディの男ですがいっしょに映画をみたり食事をしたりできる年下の男性を探しています。詳しくは・・・。」など非常にあやしいものまでがごちゃごちゃになって掲載されていた。私はこの中から、ジャパニーズの男性を探しているプリティーレディーです、なんていうのがないか一生懸命に探したがどこにも載っていなかった。しかしおもしれーなこれ。よし、今度NYに来たらこっそり試してみよう・・・と密かに心に誓った。
ビレッジ・ボイスにまつわる体験談、お持ちの方は教えてちょうだい。
NYハーレムは125丁目のライブバー(showmans)にて。
ハーレムは初めてだった。しかしそこにジャズがあり、酒があれば世界中どこへいこうとこっちのものだ。隣りに座った女の名前はリサといった。魅力的なブラックの女性だった。
「こんな夜遅くに女ひとりでバーにいて大丈夫なのかい。ここはハーレムだぜ、危ないなあ、送っていこうか?」
「あら、心配してくれているの。大丈夫よ、私のうちはこの近くなの、歩いて帰れるわ。あなた、初めてお会いしたと思うけれど、どこに住んでいるの、この近くなの?」
「残念ながらダウンタウンに宿をとっているよ。この近くだったらよかったのだけれども、今日だけは。」
「ニューヨークは長いの?私は三年目、このところの物価高には本当に困っているわ。」
「まったくだね・・・。」
「お名前を教えていただけないかしら。」
「MITSUKAGE HAYASHIだ・・・かけてもいい、君には覚えられないね。人々は私のことをCOOLと呼んでいるよ。」
「ねえ、COOL、どんな仕事をしているのかしら?興味があるわ。」
「男の仕事について、むやみに聞いちゃいけないよ、リサ。ただ、今演奏中の曲のタイトルは”There will never be another you”で、君が今飲んでいるスコッチは”The Glenlivet”で、ついでに言わせてもらえば数あるスコッチの中でもその名前の前に” The” をつけることを許されているのはこの”The Glenlivet”しか存在しないことも知っているよ。そういうタイプの人間であることは覚えておいてもらいたいね。」
「How nice!ずいぶんとよく知っているのね、驚いたわ。」
「私達の世界では常識だよ。さあ、夜も遅いし、送っていこうか。」
「Right.そうね、行きましょう・・・。」
・・・・・・
へへ、いい街だね、まったく。
アメリカの旅(5) 1999/10/23 1・2・3・4はこちら
NYバッテリーパークにて。遠くに自由の女神が見える。
NYの最新事情をお届けしよう。これから行こうとしている方は是非参考にして欲しい。
一番考慮して欲しいのは、ホテル事情が非常に悪化していることだ。ホテル代は急速に高騰しており、しかも予約がとれない。もう頭にきたので名指しで書いてしまうが、韓国人街の中にあるホテル「ウオルコット」は5年前私がNYに訪れた時、1泊2ベッド67ドルで宿泊でき、まあリーズナブルだったので重宝していたのであるが、今回訪れるとそこは127ドルに高騰していた。5年間にホテル代はほぼ倍額にはねあがっている。
しかもホテルは簡単に予約がとれない。安ホテルから高級ホテルまで、どこもかしこもいっぱいである。まあ大都会だし、ホテルはいっぱいあるから向こうへいってから予約をとればいいや、と軽く考えているとちょっとしたパニックに陥ることになるかもしれない。時期があるのかもしれないが、翌日のホテルの予約をとろうとしてもそれはほとんど不可能である。私は30件ちかいホテルに電話をして、予約をとることができなかった。全くひどいホテル事情だ。このやろう電話だから体よく断っているんじゃねえかと思い、直接ホテルへ出向いて行ったが本当に満室だった。「地球の歩き方」はあまり読みたくはない本だがちらっと見てみると「ホテルの予約は少なくとも1ヶ月前には済ませておこう。」などと書かれている。それほどこの町は観光客でごったがえしているということだ。
しかし、パニックには陥らないでほしい。私はホテル確保の奥義をこの旅で発見した。この方法ならバッチリだ。伝授したい。
NYのホテルのチェック・アウトタイムはそのほとんどが12:00である。そこに目をつける。
翌日の宿をとろうと前日にホテル確保をしようとすると失敗する。宿泊当日になるまでほおっておくのだ。そして、宿泊当日、ホテルがチェック・アウトで一番ばたばたするAM11:00ごろをみはからって電話を開始する。これで決まりだ。なぜかわからんが一発で予約がとれる。おそらく当日キャンセルがかなり発生しているか、そうでなければ頭の弱いフロントが間違えて予約をいれているのだろう。まあしったことじゃない。間違いなくOKだ。私はこの方法で3日間成功し、ハリケーン「フロイド」で突然延泊が決まってしまった時も、ホテル満室のためにおこるまわりの混乱状況にもまったく慌てることはなかった。要するに当日の朝11:00に電話をすれば予約はとれる。これが奥義だ。
おそらくNYは現在未曾有の好景気で、それにともなって観光客の数が倍増しているのだろう。NYが比較的安全な街になったのは結構だがこのホテルの値段がばか高いことは本当にいただけない。ちっと遠い街になってしまったように思う。
アメリカの旅(6) 99/10/25 1・2・3・4・5はこちら
ハーレムはバー「ショウマンズ」にて。中央が I さん。普通じゃん。
その日、SAX吹きの I さんはご機嫌斜めだった。予定していたジャム・セッションに参加できなかったからだ。
「テキーラを一杯」
I さんはテキーラ好きだ。飲み方も本物で、ライムをかじって塩をなめ、ストレートで一気に飲み干す。テキーラを飲み干すペースにはずみがつくとだれも I さん止めることはできない。それはこのバーがハーレムにあって、周りはみんなブラックであっても同じことであった。
「テキーラもう一杯、もらうわ。」
今日はセント・ピータース・チャーチというところでセッションをする予定だった。ところが事情により集合時間に遅れてしまい、我々は参加することができなかった。そこで 時間をもてあました私達と I さんはSAXをもったまま、私達とここハーレムのジャズバー、ショウマンズに再び訪れることとなったのだ。ショウマンズではブラック達がガンガン演奏していた。演奏はプロのものであった。ブラック達のジャズを聞きながら、SAXを持った I さんは徐々に舞台に惹かれていく。
「ごめん、もう一杯テキーラ、もらうわ。ちょっと酔ったよ、俺。」
ミュージシャンには悲しい習性がある。それは人が演奏しているのを聞いていると自分もやりたくなるというものだ。Iさんとて例外ではない。I さんの顔はいくら飲んでも赤くならない。酔っているのかどうなのかはた見にはまったくわからないのがちょっと曲者だ。ブラック達の演奏曲はスタンダードナンバーが中心だった。これならわかる。いつだって準備OKだ。しかしここはハーレムで、備え付けはオルガンで、ピアノは置いていなかった。私は参加できない。I さんは身をのりだして演奏に聞き入る。もう時間の問題だろう。
「もう一杯だけ、テキーラ、ちょうだい。」
すでに4杯目だった。しかし I さんは一気に飲み干すとサックスを持ってステージにむかった。じょうだんじゃねえぞこのやろう、黒いっからってうめえってもんじゃねえだろう。ジャパニーズジャズを聞かせてやるぞこのやろう・・・ I さんはハーレムだからといって臆することはなかった。ぶつぶついいながらステージにむかう。私はバンドリーダーにセッションの申し出をするとあっけなくOKだった。I さんはステージにあがった。「枯葉」だ。I さんのサックスから音が聞こえると、それは文句無く誰よりも美しい音色だった。他のミュージシャンも、観客も、皆彼のプレーに注目する。それはジャパニーズに対する好奇の目でもなんでもなく、単なる一ミュージシャンに対してむけられたもので、プレー後の拍手は誰よりも大きかった。
セッション終了後、出演ミュージシャンがかたまって集合写真を撮った。I さんは真ん中にいる。しかし、それが本当に普通だった。
アメリカの旅(7) 99/11/9 1・2・3・4・5・6はこちら
これは何なのだ?
N・Yには観光名所が数多いが、その中でもだんとつの人気なのがこのメトロポリタン美術館だろう。
何万点あるのかという美術品のなかには名画から遺跡、そして彫刻にいたるまであらゆるものがあり、毎日何千人という人々が訪れ感動を与えている。しかし・・・事件はその中でおこってしまった。このアメリカの旅の中で最悪で、もっともおかしかった出来事だ。しかし・・・文章でどこまで伝わるかな?
Kさんが「ピカソを見たい。やっぱピカソだよ。やっぱ。」と言い出した。ピカソなら20世紀のコーナーにあるだろうと予想をつけ、人ごみをかき分けたどりついた20世紀コーナーはとても広かった。
20世紀コーナーにも数多くの作品が展示されていた。しかし中世、近代のものに比べ、現代美術はよくわからないのだ。例えば写真のオブジェ、いったいなんだと思います?私には何が良くてどこが良くてこの美術がメトロポリタンに展示されているのかさっぱりわからない。しかしみんな、一心不乱に作品を見つめ、話し声一つしないので、私達もそれにならい作品を見つめていた。I さんが言い出した。その作品は台形のキャンバスに青い線が一本ひいてあるものだった。タイトルは ”non title” これが作品?
「なあ、例えばさあ、おれが台形のキャンバスに、青い線を一本ひいたら、メトロポリタンに置いてくれるのかなあ。」
その通り。私にも納得いかないのだ。こんなのを作品と言っていいのかなあ。I さんの疑問が次々に湧き出てきた。「たとえばさあ、これと、廃品処理場のごみの山とどう違うの?」「これさあ・・・ただ真っ赤に塗っただけじゃん・・・。」「なんじゃこれ?」おじさんの疑問は素朴でストレートだった。頭の上に吹き出しで??マークが出ているようでおかしかった。しかし・・・
突然 Kさんが顔を真っ赤にして、うつむきかげんにつぶやいた。「だめだ、ここは俺達がいるところじゃねえ。出よう!」
「どしたの?」
「だってよう、おかしくねえかい、このガラクタ・・・ガラクタだぜ、これ・・・あかん、もうだめだ。吹き出しちまう。出ようぜ。」
そうだよこりゃガラクタだぜ。こんなもん見てなにがおもしれえんだよ。と思い直した瞬間まわりでまじめに見入っている人々が可笑しくてしょうがなくなってしまった。おまえらわかんのかい、これ。アホ・・・ガラクタじゃん。メトロポリタンにガラクタがあってまじめに見ている人がいる、というのが本当に可笑しくてわれわれは腹をかかえて笑い出した。そしてKさんが言った。
「でるぞー。」
わざわざ声を押し殺して、言った一言がこれまた静かな館内に響き渡ってしまい、これまた可笑しくてもうだめだった。いかん、我慢できない。我々は走って20世紀コーナーから脱出しようと急いだ。しかしこのコーナーとても広いのだ。行けども行けども脱出できない。見ればガラクタを必至に見入っている人達がいる。涙をながしながら笑い転げる自分をおさめることができない。美術館で大笑いしている自分がまた可笑しかった。Kさんは笑い転げて走りながら、なおもぶつぶつつぶやいている。「人をこバカにしやがって・・・。」こバカの「こ」がおかしくって思い切り腹がよじれた。ああもうだめだ、と思ったら出口にたどりついた。出口の側にあった中世の宗教画を見て自分をおさめた。ふうふう・・・。
結局、ピカソにはたどりつけなかった。ねえこの話、面白さ伝わった?
秋口に河原でバーベQをした。バーテンダーの集まりだった。
基本的に、バーテンダーに体育会系はいない。総じて色白で、太陽の下が似合わない者たちだ。それが今日は思いっきりバーベQ大会だ。どうなることかと思いきや、手際の良さは完璧だった。料理も酒もなんともうまい。まあ、プロの集まりだ、飲食に関することならおてのものだった。ひさしぶりのおてんとうさまのもと、酒かっくらいながらフリスビーをするのは思いのほか楽しいものだった。
隣りのテントは小学生とその親だった。
バーテンの誰かが声をかけたのだろう、小学生達が7、8人こちらへやってきた。フットサル(ミニサッカー)をやろうということだった。おもしれえじゃねえか。私はカズのドリブルのものまねが得意なのでいっちょ披露でもしてやろうか、と思いちょっと興奮した。試合が始まるとすぐに私のところにボールがまわってきた。よっし・・・。
ボールがきたらどうするか・・・・・・昔から決まっていた・・・・・・一直線にゴールを狙う。そしてシュートだ。
私は少しカズを意識した感じでボールに足をスライドさせつつ、得意になってドリブルした。私は全力だった。そういえば全力疾走というのはここ何年ほどしていなかっただろう。ともかく、イケた。小学生のガキどもを一人飛ばし、一人かわす。そしてシュートだ、と思った瞬間ガキがチャージしてきて私のボールは大きくそれてしまった。まあ、客観的にみると、私のドリブルした距離はほんのわずかで、ゴールまでにはまだ相当の距離があった。しかし、ボールをもつと目立ちたくなる気持ちは今も昔も変っていなかった。変わったのはその後だった。私はただ一回の全力疾走で完全にへたばってしまった。足が既に動かない。もうドリブルをする気力はなくなっていた。私はそのままゴールの前にずっと立ち尽くしてキーパーの役をすることにした。
一二本玉を止めたが、何本か小学生にゴールを許した。それはいいのだが、腹が立ったのはそのプレーの仕方だった。こいつら・・・パスしやがる。小学生のサッカーにパスはないだろう、おい。私の小学校のサッカーなんて、ボールにありのようにむらがるただの玉蹴りだった。そしてボールをもったやつがひたすらゴールにむかって突き進む。それが小学生のサッカーだろうこのやろう。こいつらゴール前でボールをまわし、私の目をぐるぐるまわしてから思いっきりシュートしてきやがる。ワンツーなんかもしてきやがる。生意気なやつらだしかしどこでこんなこと覚えたんだ・・・。
あ、そうか。ここは静岡か。
こいつら学校や放課後に玉蹴りやってんだな、そして大人が指導なんかしちゃっているんだな、親も自分の息子がサッカー選手になることを夢見ちゃったりしているんだな・・・と考えると納得することができた。味方が小学生から一点ゲットした。するとガキどもが声を掛け合っている。「楽しくやろうぜ!」「おう!」ばかやろうなにが楽しくやろうだキャプテン翼の見過ぎだろうそれ、大人の怖さ教えてやるとどなったら教えられたのはこちらの方だった。立て続けにゴールを許し試合に負けてしまった。おそるべし小学生。負かしてベソかかしてやっていい経験だったねぐらいいってやろうと思ったのになんてことだ。
「もう一試合お願いしまあす!」ガキどもはどこまでも謙虚で素直だった。私はばかばかしくなって地面に大の字になった。はあ・・・気持ちいいなあ。起き上がろうとしたら手足が動かなかった。まったく運動不足だ。明日から体動かそう、明日から・・・。
原爆は許されざる犯罪だ。
アウシュビッツのガス室でいくら殺したって一度に100人程度だろう。広島・長崎の原爆は一度で何十万人という人間を焼き殺した。これは、歴史上最も悲惨な犯罪である。殺ったのはアメリカだ。忘れてはいけない。世界平和を唱えるのも結構、しかし殺ったのは彼らである。
ここに、原爆について書かれたHPがある。
心して、是非熟読していただきたい。
原爆とはなにか、この世紀末に問い、21世紀に人類としての正しい答えを出そうじゃないか。 ここをクリック
クリスマスも終わったし、ちょっとキリスト教について考えてみるかな。
チャペルウエディングが流行という。日曜の礼拝もない小さな教会が流行にのってあちこちに出現しているのはまったく妙な気がする。何度かチャペルウエディングに出席したこともある。たしかに雰囲気あっていい。しかしキリスト教で結婚とは人と人との契約ではない。神と人との契約なのだ。繰り返すが神と人なのだ、重さが違うぜ。
神父:「あなたは富める時も、貧しき時も、豊な時も、厳しい時も、新婦○○と共に力を合わせて困難を乗り越え、生きていくこ とを誓いますか。」
新郎:「はい、誓います。」
おい、そんな簡単に誓っちゃっていいのかよ。これは神父とではなく神との契約なんだぜ。それに神父も甘いぜ、いいかこういう風に突っ込むのだ。
神父:「あなたは富める時も、貧しき時も、豊な時も、厳しい時も、新婦○○と共に力を合わせて困難を乗り越え、生きていくことを誓いますか。」
新郎:「はい、誓います。」
神父:「・・・ほう。それじゃあんた聞くけどね、出張で奥さんには絶対ばれない状況で、飲み屋で飲んでいたらたまたま隣りに藤原紀香ばりのべっぴんがあらわれて 『酔っちゃったわ、私。』なんて言われてすりよられても、『・・・ホテル行こうか・・・』なんてことはお前絶対に言わないと誓うんだな。」
新郎:「・・・はい、誓います・・・。」
神父:「なんだ、歯切れがわるくなったじゃないか。それじゃあ聞くがその女が 『・・・いいのよ、今夜だけの関係でいいの。わたしね彼にふられたばっかりで、今とても寂しいの。でも誰にでもこんなことを言っているわけではないのよ。あなただから・・・。だから今日はお願い、一晩だけ付き合ってくれないかしら。ホテルへ行って赤ワインでも飲みましょうよ。お・ね・が・い。』なんて言われても、やったぜラッキーこの女口固そうだし、だいたいいっしょにいるだけでいいわと言う女に限ってH好きなんだよなバカラッキー。よしいっしょにいるだけだぜくらい言っておいて後は流れに任すか・・・なんて考えてホテルに行こうかなんてことは絶対に、絶対にないと私ではなく神に、GODに誓うというんだなおまいさん。
新郎:「・・・・・・。」
神父:「・・・ほらみろ。どうだね新婦さん。この男こんなもんだぜ。あんたはこんな男とほんとうにいっしょになるというのかね。ああ神様も泣いておられる、情けないことよのう・・・。」
おっと、ちょっと書きすぎた。
芸の種類 | ジャズ | 落語 | プロレス | ぼんち |
始まり | イントロ | 枕 | 入場、コール | どうも〜 |
筋 | テーマ | 話 | 試合 | 誰が橋幸男やねん |
見せ場 | アドリブ・フレーズ | 語り口 | 技 | いたこのいたろ〜そうなんですよ |
終わり | エンディング | 落ち | フィニッシュ・ホールド | そなあほな |
そう、優れたエンターテイメントは本質的にみな同じなのだ。
夜の店を考える 2000/1/13回も表をもとに、夜の店について考えてみよう。
カテゴリー/地域 | 日本(NATIONAL) | 世界(INTERNATIONAL) |
バー(BAR) | ショット・バーに代表されるカウンターのある落ち着いた飲み屋 | バー(カウンター)のある飲食店 |
サロン(SALON) | 高級なオネエチャンパブ | 大広間・上流社会の総称 |
キャバレー(CABALET) | 軽いエッチあり、ぱふぱふあり、所によってはショウありのいけない飲み屋 | 出し物を見ながら酒を飲む飲食店すべて |
パブ(PUB) | エッチもタッチも抜きでオネエチャンと話せる飲み屋 | 酒を出す店の総称 |
ナイトクラブ(NIGHT CLUB) | 高級なオネエチャンパブ(サロンと同意) | ディスコ |
たとえば、DOT COOLは生のジャズライブを聞きながら酒を飲む飲食店であるので、世界的な基準で考えるとキャバレーとなる。キャバレドットクール、うーんシュールでいいじゃないか。まあしかし、世界と日本ではそのカテコライズの相当の違いがある。もちろんお国によってもカテゴライズは異なるので上記が必ずしも正しいとはいえないが、日本的カテゴライズには一つ大きな特徴がある。
オネエチャン系の店に限って、豊富な呼称があるということだ。なぜこうなったのだろう。
店に入ると、隣りにきれいなオネエチャンが座ってくれ、酒を飲んで話をしてもりあがってもいいけどエッチもタッチもだめ、時間がくるとはい、それまでという典型的な日本の接客スタイルが世界的には存在し難いのだ。だから非常にカテゴライズし難い。よって適当に名乗ることとなる。パブ○○のように。世界的みれば夜の女は金次第でなんでもさせるものなのだろう。
日本のホステスは本当にたいへんだ。つかず離れず、微妙な線で男をいなす。至難の技だぜ。しかしそうばかりも言っていられない。さあ今日も身を切りすぎないように気をつけて、みなさんナイトワーキングにはげみましょう、不況だし。
VSG (ヴァーチャル・セックス・ゲーム) 2000/1/18
ゲームクリエーターにも友人がいる。
彼らが口をそろえて言うことは、「ブラウン管の中でのゲームは、既に限界に達しようとしている。」ということだ。モニターを見ながらのゲームはもうやり尽くしてしまっており、より斬新な刺激を得るためには新たなインフラが必要だという。
次世代のゲームは、ゴーグルを使用するのが主流になると言われている。ゴーグルといっても単に画面を大きくしたり、3D効果をねらったりするものではない。首にセンサを取り付け、360度向いた方向の風景がスムーズにスクロールし投影される仕掛けであり、これにより人は完全にバーチャルな世界の中に没入できる。網膜直接投影式というのも考案されているそうで、これだと遠近の視点の調節もリアルに可能ということだ。さらに手足にセンサをつけることにより、映し出された世界の中を自由に歩き回ることができるようになるという。
この仕掛けが完璧に動作すれば、スーパーマリオなら自分自信がマリオになることができるだろう。目の上に浮いているコインに手を伸ばせばコインがとれ、クリボーをぶん殴れば飛んでいく。バーチャファイターなら自分自身がアキラとなり、頭の上を飛び越すカゲに対してとどめの一撃を加えることも可能となる。ドラクエだったら勇者ロトは自分の足で大陸を歩き回り、仮想の街で旅の疲れをとりつつ獣たちを退治することができるだろう。すべては小さなモニターから開放されることにより可能となるのだ。
しかし、本当に面白いのは・・・いけない発想だが・・・しかし・・・SEXだ。
仮にヴァーチャル・セックス・ゲーム(VSG)と名づけられるこのゲームは従来のエロゲーに比べて遥かにリアルだ。装備はゴーグル、ヘッドセット(ヘッドフォン+マイク)、手足にセンサの標準装備に加えて、胸と局部にセンサ兼バイブレーターを装備する。女は好みによりチョイスできる。”ノリカ” くらいを選択するとポリゴンで構成された藤原紀香が画面に現れる。シーマンで実証されたとおり、音声認識は現在かなり進化しており、会話程度なら充分楽しむことが可能だ。
「脱げよ。」
「いやだわ。」 股間に手をやってみる。
「やめてよ、セクハラだわ。」
「なんだよ、濡れてるじゃねえか、こうしてやる。」胸を掴みつつ、抱きかかえて押し倒す。実際には枕でも抱いていればいいのだ。
「あ・・・もうだめ、どうにでもして・・・」
いやいや、チープなストーリーだが紀香が目の前にいれば興奮するぜ、これ。ポイントポイントでバイブレータが稼動したりすれば威力倍増、スゲーぞこれ。しかしもっとすごいはこれがインターネット上で展開され、ネット上で人と人が本当に会話をしながらバーチャル・セックスを簡単に楽しむことができるということだ。出会い系なんかと違ってそれ自体が目的なのだから、ネットおかまだろうとなんだろうと関係ない。男になりたい女、女になりたい男がばんばんネット上でやりまくる。もうネット上は大無法地帯だ。実際よりもこっちの方がよくなってしまうやつも出てくるだろう。全く危険な世界、しかしこういう時代はもう本当に、すぐ側までやって来ているのだ。