怪しい日記 西暦2004年1月
1月31日
 ある日、ぼくは「アップルストア銀座」を訪れた。
 最近、iBookのイブキちゃんが変な日本語変換をするのである。
 「おねがいします」が「尾根該視益」になってしまうとか。
 「ました」が「真視田」になってしまうとか。
 「ありがとうございました」「わかりました」など、「……ました」という言葉を使う機会はとても多い。そのたびに打ち直すなど、やってられない。
 この問題を解決するためにアップルストアへ来た。
 来るのは2度目だが、ここは実にパソコン屋らしからぬところである。
 いわゆるオタ野郎はぼく以外誰もいない。
 家族連れやカップル、お爺さんお婆さんなどが多い。

 ここの2Fには「ジーニアスバー」というものがあって、Macの専門家「ジーニアス」が、Macに関する相談質問を受け付けてくれる。料金は無料だ。
 それはいいが30分ほど待たされた。混んでるよー。その間店内をうろついていた。
 やっぱりここはパソコン屋の雰囲気じゃない。博物館みたいだ。
 ペンネームC「うわー、金の延べ棒みたいなのがあるー」
 店員「それは外付けハードディスクです」
 ペンネームC「ほほう」
 中古コーナーがあるともっと楽しめそうだ。まあそれは新宿のソフマップとかにあるわけだが。
 いろいろ見たり店員とだべったり、インターネット体験コーナーでiMacいじってるうちに30分が過ぎた。
 
 ペンネームC「すいません、実はこのiBookの日本語変換がヘンテコリン(死語)になっちゃったんですよー」
 ジーニアス「ヘンテコリン?」
 ペンネームC「ほら、『ました』と入力すると……」
 ジーニアス「なるほど。これはたぶん『ことえり』の学習辞書が変な風に学習してるんです」
 ペンネームC「ちょっとちょっと、あなたジーニアスでしょ。天才でしょ。もっと天才っぽい喋り方をして下さいよ」
 ジーニアス「天才っぽい喋り方ってどんなのですか?」
 ペンネームC「『フッ、私の分析によると89.2パーセントの確率でウンタラカンタラ』とかそんな感じ」
 ジーニアス「アニメの見過ぎです」
 ペンネームC「ほっといて下さい」

 彼の言う通り、辞書の学習ファイルを捨てて再起動かけたら直りました。
 ありがとうジーニアス。
1月28日
 ふと思い立って「ぬぞぷり」でぐぐったら上から三番目がこのサイトでした。
 何かを間違えてしまった気がする。

 記者「受賞歴詐称疑惑について伺いたいのですが」
 ペンネームC「私は電撃hp短編賞を受賞したという確信と認識をもって活動して参りましたが、説明責任を果たすためのこのたびの調査により、受賞したという確信を持って選考員の方と話してきたところ、19単位が不足していたため(意味不明)受賞に至っていなかった、という事実が明らかになりました」
 記者「いえ、受賞どころか一次選考で落ちてるんですが」 
 ペンネームC「(聞いてない)しかし、私の創作にかける信念はまったく変わっておりません! これからも作家活動を続けさせていただきたいと思います」
 記者「ぜんぜん作家じゃないんですが」
 ペンネームC「(聞いてない)しかし、けじめとして、ここで私はみなさんに三つの約束をいたします。まず一つ、電撃レーベルから離党させていただく」
 記者「いえ、あなたは電撃の作家でもなんでもないワナビなんですが」
 ペンネームC「(やはり聞いてない)二つ目、原稿料を返上し、無報酬で書かせていただく」
 記者「もともと出ませんよ!」
 ペンネームC「(人の話を聞いてない)三つ目に、仕事が休みの間に再び投稿し、一次でも二次でも突破する。以上三つをもってけじめとさせていただきます」
 記者「もう勝手にして下さいよ」
 ペンネームC「支持がいただけました! ありがとうございます! ありがとうございます!(泣く)」
1月27日

 本の感想。

 上田早夕里「火星ダーク・バラード」角川春樹事務所
 これはSFであり、ハードボイルドであり、小松左京賞をとった作品であり、
 そして愛と決意の物語だ。
 望まない超能力に苦しみ、愛されたくてもがいていた少女が、自ら愛することを決意する物語だ。
 理解され得ない愛を胸に抱く男たちが、罪をおかしてでもその愛を貫こうとする物語だ。
 次から次へとやってくるピンチ、心が傷だらけの感情移入しやすいキャラたち、折れそうだが折れない主人公の心、どんどん物語はテ加速して、ついには一気に転がり落ちる!
 1800円もするので、買うのは少しためらった。しかし買ったことに後悔はない。読んでいる間、心が熱かった。
 新人離れした筆力としかいいようがない。
 小松左京賞って、応募数はすくないけどレベルは高いのだなあと感嘆する。

 このサイトからうちへリンクされていたので、張り返します。
 すみっこにある空間
 「ヘポイ」さんによるライトノベルの感想サイトです。優しいレビューがたくさん。富士見ミステリ文庫の謎過ぎる編集方針へのツッコミもあり。
1月24日
 ある日のできごと。
 ぼくは鼻の穴にハサミを突っ込んで鼻毛を切っていた。
 バイク便やってると排気ガス吸いまくりで、環境に適応するため鼻毛が伸び、放っておくとはみ出してバカボンパパ状態になってしまうのである。
 シャッ……シャリッ……
 順調に切ってゆく。
 しかし悲劇は起こった!
 鼻がムズムズし、クシャミが!
「バクショッ!」
 勢い良く頭が振られ! 
 ぬぞぷり(人智を超えた擬音)
 ぐおおお! 刺さった! ハサミが! 粘膜を! 固くて鋭いものが粘膜を内側からえぐって! 軟骨までッ! 
 汚されちゃった……あたし汚されちゃったよ(誰?)

 痛かったです。

 またある日の出来事。
 東急ハンズ町田店で買い物していたペンC。その耳にこんな会話が飛び込んできた。

 男「なあ、バレンタインのチョコくれよ」
 女「いやよ」
 男「どうして? お前俺のこと好きだろ?」
 女「バレンタインのチョコはね、片思いしてる女の子が好きな相手に告白するためにあるの。それ以外に使うのは邪道なの。すでにつきあってるなら必要ないの」
 男「そういうもんだっけ?」
 女「そうよ。年賀状が虚礼廃止とかいってるけどまずバレインタインを廃止してほしいわ

 いいこというなあ!
 ぼくは声の主を探した。
 すぐそばにいた。女の子はふっくらした顔立ちの眼鏡っ娘。男はどんな感じだかおぼえてない。
 すばらしい! がんばれ眼鏡っ娘! 応援するぞ眼鏡っ娘!
 ぼくは熱い視線を送った。眼鏡っ娘ガンバレ電波、照射ッ!
 するとぼくの視線を感じたらしく、

 女「なにあの人? ずっとこっち見てる……気持ち悪い」
 男「早く行こうぜ」

 違う意味で痛かったです。
1月21日
 ある日の会話
 
 ペンネームC「カラミティナイト3巻出ましたね」
 某「出たね。てっきり1月245日あたりに出るものとばかり」
 ペンネームC「間が開いてもいいんです、出れば。これで星界の続きとかも出てくれればいいんですが、3年待たされてますからねえ。待ってる方もかなりだれてきました」
 某「3年なんて甘い。おれ『タイタニア』の続きが出るの待ってるよ」
 ペンネームC「ぼく、『ソルジャー・クイーン』の続き待ってますよ」
 某「いやあ、だめだろ(笑)。アストラル界に旅立ってるだろ」
 ペンネームC「ソルジャークイーンの中に、『救世主が2000年後に復活するといっても、神の時間感覚は人間と違うので、数年の誤差はあるだろう』という台詞があるんですが……今にして思うと意味深すぎます(笑)」 
 某「それより、『人外魔境コブの秘密』の続きはいつ出るんだろうな?」
 ペンネームC「出ませんよ! 15年は待ち過ぎですよ!」

 話題その2

 kagamiさんと議論をするつもりだったが、できなかった。
 ぼくは自分の主張を正確に伝えることできなかった。かみあわないまま会話を打ち切られた。
 議論とは、互いの主張を双方が理解し、把握した上で行われるものだ。
 そこまでやってはじめてスタートだ。
 だから意見を伝えられなかったということは、勝ち負け以前の、離陸に失敗して爆発みたいなもんだ。
 ぼくはもっと論点を整理して書くべきだったし、挑発するような口調もやめるべきだった。
 スタートより前の段階で喧嘩してどうする。愚行だ。
 しかしもう遅い。
1月18日
 ある日の会話

 某「IBMってもとはタイプライターとかタイムレコーダーの会社で、モトローラはもと家電屋さんだってね」
 ペンネームC「えっ、モトローラはもとローラー屋さんでしょ? ずっとそう思ってた」
 某「思うな! なんでアメリカの会社が日本語でダジャレやるんだよ!」
 ペンネームC「それもそうだな」
 某「まあ、あんたのiBookにはモトローラのチップ積んでないから関係ないか……」
 ペンネームC「きみのはG4だから積んでるね」
 某「旧型と違ってね」
 ペンネームC「旧型っていうな! 旧型iBookというのは貝みたいなやつを指すのであって、G3搭載型白iBookは旧型ではない!」
 某「CPUの世代が違うんだから旧型だよ! ハードディスクも遅いし!」
 ペンネームC「くっ! イブキちゃんかわいいからいいもんね!」
 某「いやペットじゃないんだから」

 いろいろあって金がなくなった。とくにアパートの契約更新が痛かった。
 意を決し、DOS/V機を売り払った。
 仮にもペン4マシンが買い取り価格3万5000円か……
 しかし、今のぼくには必要な金だったのだ。
 これでぼくのパソコンはiBookだけになってしまいました。
 どちらを売るか?
 iBookの方が高い値がつく。5万はかたい。
 DOS/V機がなくなったらエロゲーできないぞー。もうすぐFATEが出るんだぞー。いいのかー。

 という考えも頭をよぎったが、すぐ消えた。
 喫茶店で小説を書ける、ということの方が大事だ。
 さあ、イブキちゃんと一緒に書きまくるぞ。

 矢車通りへのリンクを復活させました。創作小説のサイトです。
1月17日
 ついに自衛隊がイラクへ。
 彼らが生きて還ることを願う。
 そして、彼らが日本人とアラブ文明圏の仲を決定的に裂いてしまいませんようにと願う。
 軍は(憲法になんて書いてあっても外国から見れば軍隊だ)戦闘集団であると同時に国家の代表であり外交の重要な要素。
 自衛隊が向こうでいかに任務をこなし、イラクの人たちとどう接するかで日本全体のイメージががらっと変わる。
 数十年かけて築き上げてきた友好関係を失うのは痛い。
 
 ってまあ、それはさておき。
 「ガンズ・ハート」で検索してうちに来た方、こんにちわ。
 ガンズハートは文章が乱雑ですが、キャラがいきいきしており、話自体は期待できそうですよね。
 あ、でもイラストレーターには抗議したい。眼鏡っ娘の眼鏡をちゃんと描け。

 「ウィザーズ・ブレイン4 世界樹の街」で検索してうちに来た方へ。
 もちろんウィザーズブレインも大変良い出来です。
 これで刊行速度を2倍に再定義すれば何も言うことはないのですが。
 
 刊行速度と言えば、高瀬彼方「カラミティナイト」3巻出ましたね。
 高瀬時空がついに崩壊!
 智美たんが頬を赤らめてー!! 
 しかし待たされ過ぎてストーリー忘れてる……2年だもんなー。

 「出版社への投稿」で検索してうちへ来た方へ。
 「天才! 松戸才子まーち」を現在ソノラマに持ち込み中です。
 評価はまだ出てません。
 
 「少年 少女 エッチ」で検索してうちに来た方へ。
 エッチじゃなくてごめんなさい。
 そんな検索でうちがひっかかるとは思ってもみませんでした。

 「彼女 腹部 衝撃 苦悶」で検索してうちへ来た方へ。
 あ、あなたは何をお求めで!?
 っていうかそれで検索すると総統暦111年が出てくるという事実に衝撃を受けてます。
1月12日
 今日もまた喫茶店でiBookのイブキちゃんを広げてバッテリーがなくなるまで原稿書き。
 「北天に誓いて エゾ共和国建国記」は現在45枚。
 第一章は土方たちが軍艦を乗っ取るだけの話なのにまだ終わらない。むう。
 五月までに完成させたい。させるぞ。
 
 今日、本屋で立ち読みして驚愕の事実を知る。
 「ジョジョの奇妙な冒険」の初代主人公ジョナサン・ジョースターは、ファミレスのジョナサンから名前を取ったらしい!
 ぼくは逆にジョジョから店名をとったのだとばかり。(思うな)
 中までジョジョ風だったら嫌だな。

 店に入るや否や謎の擬音、「スタート!」
 店員は異様なポーズを取り、「ゴゴゴゴゴゴゴ」と背後に巨大な描き文字が。
 客は5分待たされると「このビチグソがァー!」とキレる。
 くしゃみをするときは必ず「ハブショッ!」という音を出さないといけない。「ハクション!」などとやらかそうものなら再起不能(リタイヤ)にされる。
 さくらんぼが出たら、「レロレロレロレロレロ(中略)レロレロ」しなければいけない。

 行きたくないそんな店。

 本の感想。

 三枝零一「ウィザーズ・ブレイン4 世界樹の街 下」電撃文庫
 まず、あとがきを読んで感動。
 「(前略)『うさんくさい円錐形でぎゅんぎゅん回ってどんな岩でも一撃で砕けたりする』のが本物のドリルです
 さすが!
 ぼくもカプコンの「サイバーボッツ」でドリルロボを愛用していたから、とても共感。
 本編もとてもスリリングかつ心にしみる。
 また、全部読み返したくなってきた。
 全編にわたり、これでもかというくらい映像的なのもいい。
 映像的ではあっても、「映像化したほうがいい」わけではなく、あくまで文章ならではの世界なんだが。
 ほんとに映像化すると、おそらく魔法の面白さが伝わらない。
 
 鷹見一幸「ガンズ・ハート 硝煙の誇り」電撃文庫 
 19世紀半ばくらいの技術がある世界。それっきり進歩が止まってる世界。
 厳しい身分制度があって、生まれの悪い奴は良い奴に決して勝てない世界。
 そんな世界で、それでも懸命に生きる、すこし喧嘩好きだが筋の通った男たち。
 彼らは思想故に行動しているわけではないが、それでも世界を変えてゆく……
 そんな話。
 ちょうど最近、幕末の戦闘について調べているので、作中のクラシックな銃描写が楽しくてしょうがなかった。
 黒色火薬銃の銃声が「パッカーン!」だってのは本当か……? 実際撃って確認したんなら本当だな。
 おお、この話ってもともとの構想では幕府軍の話だったのか。あぶなくネタかぶるところだった。
 文章がやはり粗い。
 たとえば155ぺージに、
 「この都市の特色は、エズオルと戦うために作られた石と木で作られた城壁の存在だろう。」
 などと書いてある。いや日本語として間違ってるわけじゃないし意味も通じるが……とにかく乱雑な文である。(もともとは「ヘナチョコ文」と表記されていたのですが、作家・新木伸さんの助言により訂正しました)
 でも主人公やヒロインの生き生きとした動きが、文章の違和感をふきとばしてくれる。
 ぼくは小説を書く上での重点を間違えてるのかもしれないな、と思わせてくれる一冊。
 この人の小説はメシとかそういう生活感覚に溢れた、徹底的に下から書いてゆく小説だなと思った。
1月10日 
 ある日のできごと。
 
 ぼくは渋谷の道玄坂を歩いていた。
 するとお姉さんが明るく声をかけてきた。
 お姉さん「すいません、絵に興味はありませんか?」
 ペンネームC「絵? 絵は好きですが」
 そしてお姉さんにつれられてギャラリーへ。
 そこには、イルカだの地中海の町並みだのを描いた写実的な絵が並んでいた。リトグラフらしい。
 お姉さん「この絵を描いた方はクリスチャン・ラッセンといって……(中略)油絵なんかと違って陽の光を当てても傷まないんですよ、だから個人が所有するのにすごく向いてるんです。絵のある生活って素敵だと思いませんか? 今ならこの絵がたったの50万円で……
 ペンネームC「興味がないので帰ります」
 お姉さん「え? もう少し見て行ってください。どの絵が一番気に入りましたか?」
 ペンネームC「どれもダメですね。全く訴えてくるものがない。絵とはこういうものです
 ぼくはリュックから、渡瀬草一郎「パラサイトムーン4」(電撃文庫)を取り出し、表紙をかざした。
 お姉さん「はあ……そういう漫画のような絵を好まれているんですか……」
 ペンネームC「漫画? とんでもない、これは『萌え絵』です。日本が世界に誇る文化の結晶です。わからないなら説明しましょう。萌え絵にはまず属性というものがあってですね……」
 お姉さん「いえ、そういう絵も悪くはないんですが、でもその絵を部屋において毎日眺めたいと思いますか? 本物の絵画は人生そのものを豊かにしてくれるんですよ」
 ペンネームC「(聞いてない)一番萌えるのは、なんといっても榊博士です。榊博士というのはこの女性で……ああ、なぜ博士なのかというとですね、それは迷宮神群というものがあって、迷宮神群とは何かと申しますと、別の世界から……(40行ほど略)」
 お姉さん「いえ、あの、でもですね、クリスチャン・ラッセンの絵はとても人気があって……」
 ペンネームC「そこでフローラたんの異能が発現し! 聞いてますか!?」
 お姉さん「いえ、もう結構ですから! 結構ですから!」

 こうしてペンCは、版画商法エウリアンの魔手から逃れることができたのである。
 ありがとう電撃文庫、ありがとう渡瀬草一郎、ありがとう榊博士!
1月2日
 今日は田舎(静岡)に帰った。
 新幹線でピュッと行って2時間くらい滞在して帰ってくるという、やたら慌ただしい旅になった。
 行き帰りの電車の中で、「北天に誓いて エゾ共和国建国記」を書きはじめる。
 まずは快調な滑り出し……と言いたいところだが……
 このままうまく行くかどうか。
 
 今日読んだ本。

 森薫&村上リコ「エマ ヴィクトリアンガイド」エンターブレイン
 19世紀の英国を舞台に、メイドさんと上流青年の恋を描いた漫画「エマ」。
 「エマ」の副読本がこの本。
 19世紀の英国についてイラストつきで詳細な解説をしている。
 もちろん、解説の中心はメイド。
 これを読んで知ったことは多い。
 メイドは午前と午後では服を取り替えたとか。
 メイドもコルセットをはめていたとか。
 (あんなもんはめて暖炉の掃除など肉体労働をするのはさぞ辛かろう)
 眼鏡は4ポンド(下働きメイドの年収の3割!!)もする高級品だったとか。
 他にも、読書や写真の習慣がどの程度広まっていたのか、食べ物の値段はどの程度か、各階級の人々は何を食べ何を飲んでいたのか……そういったことが読んでいるうちにするする頭に入ってくる。たった1冊の本に社会が描き出されているのだ。
 全てのメイドスキー必読。
 生きた歴史を学びたい人も必読。
 うちにトップ画像もメイドさんだが、おそらく彼女はパーラーメイド(給仕を行う)だろう。
 
 思い知らされたのが、階級差の大きさだ。
 幕末日本には、「西洋を模範として自由で平等な国を作ろう」みたいなことを考えた人が大勢いる。
 榎本もそうだし、坂本竜馬もそうだし、仙台藩の玉虫左太夫もそうだ。
 しかし、西洋は自由でもなければ平等でもなかったぞ。
 これでも日本よりはましに見えたのか。
 アメリカなら、貴族はたしかにいなかった。
 しかし黒人がいて、先住民がいた。白人は彼らをしいたげて恥じなかった。
 西洋社会をたたえた日本人たちはその事実を知らなかったのか、知っていたならどう自分を納得させたのか、知りたいところだ。
 このへんは重要なポイントだ。
1月1日
 みなさん、新年あけましておめでとうございます。
 今年もペンCとLOOP王国をよろしくおねがいします。

 
 ぼくはこの本を読みながら年を越した。

 桜坂洋「よくわかる現代魔法」集英社スーパーダッシュ文庫

 総合的にいって、とても面白かった。
 主人公、こよみちゃんは「あの、あの」で「ずるぺたーん!」なドジっ子。「魔法使いTai!」の主人公とかぶってならない。
 そのキャラで、しかも最後までそのまんまで、シリアスシーンになったとたん別人になったりせずに、古橋秀之か士郎正宗かというシリアスな筋に斬り込んで、成長物としてまとめあげた、完成度の高い作品。
 「おおー!」と思いながら読んだ。
 美鎖先生の眼鏡っぷりもよかったし。きっと作者は眼鏡っ娘を深く愛してるぞ。
 実はかなり文章もうまいのではないか、と思う。
 ライトノベルとはこうやって書くものだ、というお手本のような作品。

 しかし帯に書いてある「アキバ系魔法使い登場!」というコピーは誤解を招く。
 背中からエロゲーのポスター出してる魔法使いかと思った。(そんなの誰が読むか)
 こんな感じ。

 よくわかる変態魔法
 魔法使いは筋肉繊維を使うことにより(どう使うのかはご想像にお任せします)「シード(精子)」を生み出す。それを放つことで物理法則を歪め、様々な現象を引き起こすことができるのである。
 かつて魔法使いは肉体の力のみでシードを放っていたが、現代ではコンピュータ(の画面に映ってる萌え画像)を利用することも多くなっている。
 「剣と化せ我がシード!」(何をやったのかはご想像にお任せします)

 新年早々これか

 今日は年賀メールを出しまくり、そして「北天に誓いて エゾ共和国建国記」のプロットを練る。
 するとかなりライトノベル的といおうか、アイヌ少女とのラブが入ってきたり、なんというか、最初考えていた「チームワークで国づくり」からかけ離れていくのでびっくり。やはり業が深いなペンC。
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