ハリケーンの歴史


発進するハリケーン  ハリケーンは、ホーカー社の設計主任シドニー・カムによって生み出された傑作戦闘機です。

 複葉機から単葉機への更新を目的として設計された点は、スピットファイアと同じですが、スピットファイアが全く新しい設計思想に基づいて設計されたのに対し、ハリケーンはホーカー社のフューリー複葉戦闘機をベースに設計されました。
 というのも、経済的な理由から、シドニー・カムはホーカー社の既存の備品を用いて開発せざるを得なかったからです。
 イギリス空軍から次期戦闘機の仕様が発表された時点で、ハリケーンはほとんど設計を終えている段階でした。ハリケーンはイギリス空軍から出された仕様に適合するよう再設計された後、1936年に試作機が完成しています。
 バトル・オブ・ブリテンで活躍したスピットファイアやBf109は全金属製モノコックボディであったのに対し、ハリケーンは金属パイプを骨組みとして、そこに木材の梁を通して外形を形作っていました。

被弾したハリケーン  当時であっても前近代的な面は否めませんでしたが、逆にこの構造が被弾に対して大きな損害を受けにくいという特徴にもなっていました。
 また、修理もしやすい機体だったようで、実際、大破したハリケーンを部隊整備の手によって修理してしまった例が数多くあったようです。
 敵の爆撃隊迎撃に出撃した"ジンジャー"レイシー軍曹は、なんと87発も被弾しながら基地まで帰り着いたそうです。

 エンジンについては、ドイツ機に比べてかなり不利な状況にありました。ドイツの Bf109 に装備されたダイムラー=ベンツエンジンは直噴方式を採用していましたが、ハリケーン、スピットファイアMk.Iのロールス=ロイス・マーリンエンジンはキャブレター方式で、マイナスGで停止してしまう問題を抱えた上、燃料の混合気をパイロットが調整しなければなりませんでした。
 このため、イギリス空軍のパイロットは、急降下を行う前に、機体を半分だけロールさせる動作を余儀なくされていたようです。
 ちなみに、CFS では混合気の調整は自動で行う機能があるため、これを使えばイギリス空軍のパイロットのような苦労はせずに済みます。ただし、マイナスGで息をついてしまう点は同じなので、降下する際は実機と同様の手順が必要になります。

爆撃機を攻撃するハリケーン  プロペラについても前近代的で、固定ピッチ、あるいは2段階ピッチで、エンジン出力や速度に応じてピッチを変えることができないという問題を抱えていました。これも、バトル・オブ・ブリテンまでにはかなり改善されたようです。

 バトル・オブ・ブリテンでは、ハリケーンは敵爆撃隊の迎撃を主任務としていました。これは必ずしもハリケーンが隊戦闘機との戦いに向いていないと言うことではありません。
 事実、ハリケーンを愛機としていたエース、"ジンジャー"レイシーのような存在もいるのです。


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