・・・・・・・  ・・・・・・・  ぶみのちっちゃい観劇劇場  ・・・・・・・  ・・・・・・・

雪組博多座公演
ミュージカル・プレイ 凱旋門 ‐エリッヒ・マリア・レマルクの小説による‐
脚本 柴田侑宏 演出・振付 謝珠栄

レビュー・ロマネスク パッサージュ−硝子の空の記憶−
作・演出 荻田浩一

2001年8月

***その2***


白熱してしまった第一幕 生まれ変わった日の−凱旋門−
その1からの続きです

第二幕 あなたの夢ばかりみていたの−パッサージュ−  3たび甦った『パッサージュ』。役代わりや舞台装置の都合などで、大幅に変更があり、その替わり方がとても大きくて、そこまで変えなくてもいいのでは?と賛否両論。『パッサージュU』だ、という御意見には納得。 けれど、作品の持つ、あの独特の雰囲気は決して失われていないのがすごい。さすが荻田先生。尊敬してます。
 他のシーンに比べれば、オープニングはあまり変わっていない、ということになるかも。舞台設備の違いで、パターンがかわったくらい。天使と少女のコンビは、いづるん(天勢)とまりあ(千咲)。お子ちゃまコンビですごくかわいかった! いづるん天使は無邪気で愛らしく、まりあ少女は初々しく歌声がまろやか。
 華やかなオープニングの後は、シビさん(矢代)の♪パリの屋根の下。それに合わせて、トップコンビがゆったりと幕前でダンス。 うれしい新場面でした。ぐんちゃん(月影)を幕後に残し、一人、イシちゃん(轟)が曲を歌い、次景へ。
 カフェも大きく変わりました。コウちゃん(汐風)が、あこがれの彼女を思い、でも思いは告げられず・・・という、全体にパステルカラーの広がるシーン。 あこがれの彼女のちほちゃん(愛田)とその恋人ちー坊(天希)のダンスも軽やか。ダンスの後のちー坊の手振りがやや大げさで、グラバーさんを思い出したりして(by猛き)。 はまこちゃん(未来)筆頭のギャルソンのコーラスも美しく、場面を華やげます。花屋のらぎちゃん(柊)も明るく元気。次場面のサーカスの宣伝をして歩く、まりあ少女といづるん道化(堕天使も昼間は道化なの?!)にも笑えるし。 コウちゃん自身が、明るく失恋するので、あっさりとした恋物語になっていました。そして、アンニュイなパリジェンヌぐんちゃんが登場。もうひとつの恋物語の始まり。 コウちゃんからもらった花に昔を思い出すぐんちゃん。楽しく踊る少年(橘)と少女(夢園)は、ぐんちゃんと舞台奥から登場する成瀬さんの幼い日の思い出なのでしょう。 ぐんちゃんも、とてものびのびと歌っていて、成瀬さんも歌が増えてうれしいな。成瀬さんは今はジゴロになっていて次景へ・・・
 夜の玻璃はあまりかわらず。迷えるぶんちゃん(絵麻緒)が惹かれる少女はまりあ。絡む堕天使がいづるん。いづるんの堕天使は、本公演に比べて、怪しさといやらしさが数倍アップしていて、ぶんちゃんと絡んでいると、ドキドキしました。 地獄の王イシちゃんと少女まりあが踊ると、それはそれはまた危ないし。とにかくメンバー総出演でのシーンでした。
 そして中詰。曲が全部かわってしまった!曲はかわったけど、振りは同じだったり、紛らわしい・・・でも、トップコンビのタンゴのシーンが増えていて、大ゼリの上で踊る二人はかっこいいし、盆もまわっちゃうし。ありがとう〜荻田先生!
 続いて幕前でシビさんの歌♪硝子の空の記憶。まさにインターミッションという感じ。おしゃれに、軽やかに、歌声に酔わせてくれました。
 ダンスシーン・硝子の空の記憶も、メンバー総出でした。だからカップルがいろいろ変わっているのよね。白い光チームは、選抜メンバーらしく、とてもきれいでした。何度観ても、どのメンバーでも、洗練されて素敵なシーンです。
 暗く切ないシーンの後の、成瀬さんの登場は、やっぱり気持ちいい!客席から手拍子があって、ノリノリ。成瀬さん自身、雪組子としての最後の公演ですが、ふっきれたような明るさが、逆に哀しくなります。 本舞台の幕が開くと、極楽鳥はピンクのドレスのぐんちゃん。ダルマが観たかった・・・なんて(笑)。成瀬さんにエスコートされて舞台中央に。ロケットの曲に歌詞がついてました。その歌詞がまた、退団発表したぐんちゃんにダブり、泣ける〜こんなところで泣かされるとは思ってもいませんでした。
 フィナーレに向けて、どんどん場面は展開します。コウちゃんの歌で、ケイさん(萬)とまゆみさん(五峰)が踊ります。ケイさんの白エンビのダンスが観れただけで、博多に来たかいがあったというものです。ぶんちゃんの切ないタンゴに酔いしれて、そしてラストで幕が開くと、大階段が!!!!! 今更大階段を見て、感動するのも変なのですが、まさか、博多座で大階段に会えるとは思ってもいなかったので、驚きと感謝で、胸がいっぱい。そして、その大階段の真ん中に立つ、ブルーのドレスのぐんちゃんの美しさに、完全撃沈。リフトはなかったけれど(ワタルさんに(湖月)特許あり?)あの青いドレスの裾のひろがりは、忘れられません。 場面展開と、迫力ある舞台に、歌声までもエスカレートしていき、はまこちゃんの歌で盛り上がり、こうなったら轟さんはどうなっちゃうの?と思うシーンですが、 やはりボリュームアップ、迫力アップで、博多にも君臨してました。ぐんちゃんと見詰め合う眼差しに、以前にも増して熱いものがあり、このコンビの別れも近いのだと思うと、あぁ涙。(泣いてばっかじゃん)
 デュエットダンスに絡まるように始まるエトワールの歌いだし。そのエトワールはゆめみちゃん(麻樹)。 また新しいディーバの誕生。私の観た3日間の間にも、どんどん成長していて、これからが楽しみです。 エトワールの後の曲にもびっくり。パレードは『凱旋門』になりました。♪巴里祭をもってくるなんて、なんという計らい…また涙。(ホント、泣いてばっか)ノスタルジックな『パッサージュ』の中にあって、この♪巴里祭でのパレードは、雪組を観続けた私たちの、硝子の空の記憶、でもあるのですね。

終演後 あなたを愛しすぎておかしくなっているのよ  本当に、おかしくなってるとしか言い様がありません。なにせ、博多まで行ってしまったのだから。(本人は巴里に行った気分?) 常々、「セットなら何処までも」と言っていた私ですが、この博多行きがまさにそのとおり。 ケロちゃん(汐美)一人の博多(2000年)は、結局行きませんでした。しかし、今回はぐんちゃんに、ぶんちゃんがセットでもれなくついて来た。だから私もついて行った。 二人が組むのは、はっきり言って『パッサージュ』のオープニングのみ。『凱旋門』のシェエラザードの3週間もやってよ!と思うけれど、それは無理(当たり前だ)。 せめて『パッサージュ』で、どこか(絡む)場面が増えてたらいいのになぁと思ったけれど、ナシ。中詰も、(ぶんちゃんが)引っ込んだ!(ぐんちゃんが)出てきた!といった感じだし。 でもいいの。二人が同じ板の上に立っているだけで、私は幸せ。ぶんちゃんが出てくれてよかった。そうでなかったら、博多行きを予定しなかったと思うから。 7月末の退団発表の後からでは、博多行きは、準備も手配も、無理だったから。 ありがとうぷんちゃん。そして、ありがとう運命の神様。最後にめがけて、二人を一緒の板に立たせてくれて。

閉演後 遥か見果てぬ旅路に  そして、すべてが思い出になってしまった。卒業していったぐんちゃん。ぐんちゃんとのコンビを最後に、トップオブトップとして専科に行かれた轟さん。 雪組の組子となり、轟さんの後を受けて雪組のトップスターになったぶんちゃん。
 時はどんどん歩んでいく。けど、私の宝塚ファン人生の中で、一番暑い、一番熱い夏になった。これから先、こんな夏は二度と来ないと思う。 博多の空の巴里の町。あんなに遠くて、あんなに泣いた。でもこんなに幸せな思い出になった。

2001.8.23
そして2002.4.10

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