季節の中で
+++春+++
日だまりの中で
風のにおいをかぎながら
そっと目を閉じる
軽快に走ってきた足音が
気遣うようにやさしくなって
俺の耳元で止まった
「眠っているの?小狼君・・・」
とまどいがちにかけられた声に答えず
俺はさらりと顔にかかった
柔らかな髪の感触を受け止める
瞬きもせずに俺を見つめているだろう翡翠色の瞳---
息づかいが探るように近くなる
「見つけた」
「えっ 何を?」
手を伸ばしてつかまえる
俺の天使を
+++夏+++