雪がまだちらついている夜
一つの電話が李家にかかってきた。
「・・・・はい、分かりました母上・・・・」
受話器をおいた小狼はベランダに出て、
ただ黙って夜空を見つめながら
「・・・・明日、か・・・・・・・・」
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今日はクリスマス・イブ。もちろんさくらと小狼は2人で
出かける約束をしていた。9時に待ち合わせ場所の「CASCADE」
へ行き、そこから色々な所へ行く予定だった・・・・・が、
それは小狼の一言で消えてしまった。
「さくら・・・・おれ・・・・今日の夕方、一度香港に戻らなければ
ならないんだ・・・」
「!?」
さくらの頭は真っ白になっていた。
(今、いまなんて言ったの・・・・・。香港に戻るって・・・・・・やだっ!)
「なんでっ!!どうして帰っちゃうのっ!?」
周りの人は、急に大きな声を出したさくらに驚いて振り向いている。
だが小狼は、そんな様子も気にせずつづける。
「・・・・母上が、今日クリスマス・イブの夜にパーティーをひらくらしいんだ。
李家の親戚を集めて。だから、そこでおれを紹介するらしくて・・・・でも
今回は用がすんだらすぐに帰ってくる。だから・・・・・」
(待っててくれるか?)
と、言おうとした小狼だったが、その前にさくらの瞳から涙がこぼれ落ちた。
「・・・・あ・・・あれ?何でわたし泣いてるんだろう・・・や、やだっ・・・・・」
一生懸命、気持ちを伝えようとするさくら
「・・・私の事は心配しないで行ってきて、ね! ・・・・・わたし・・・・・
ちゃんと小狼君のこと信じて待ってるから・・・・。」
「さくら・・・・・ありがとう・・・・・・・」
小狼とさくらはそのまま別れ、小狼はその日の夕方、すぐに香港へ戻ってしまった。
〈約束1.〉