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◆◇◆ アガサ・クリスティー ◆◇◆
短篇集(発表順に掲載)

ポアロ登場 POIROT INVESTIGATES (1923)小倉多加志訳 早川書房
 「<西部の星>盗難事件」をはじめ、ポアロが手がけた初期の事件14篇が収録された、女史の処女短編集です。ポアロとヘイスティングズのやりとりは、コナン・ドイルの影響が強く出てると思います。

おしどり探偵 PARTNERS IN CRIME (1929)橋本福夫訳 早川書房
 1922年「秘密機関」で初登場したトミーとタペンスの幼なじみ素人探偵が、若夫婦となって活躍する。平凡な暮らしを送っていた二人が、諜報局の仕事の一部分として、探偵事務所を経営することになるところから物語は始まる。短編集ではあるが、それぞれの物語につながりがあり、二人がいわゆる「探偵小説の古典」に出てくる名探偵の誰かのやり方を頭に浮かべながら、難解な事件や冒険に遭遇し解決していく。クリスティー女史の茶目気たっぷりの作品。

謎のクィン氏 THE MYSTERIOUS MR.QUIN (1930)石田英士訳 早川書房
 神秘の探偵クィン氏の活躍を描く11編を収録。現れてはいつのまにか消え去る謎の探偵クィン氏。その謎めいた超自然的存在が老人サタースウェイト氏の頭脳に霊感をもたらして、二人は数々の事件のなぞを解いていく。彼が登場する事件にはすべて恋愛がからんでいて、他のクリスティー作品にはない変わった雰囲気が楽しめます。

死人の鏡 MURDER IN THE MEWS (1931)小倉多加志訳 早川書房
 名探偵ポアロの事件簿4篇を収める短編集。自殺か他殺か…親友の謎の死についてポアロと張り合う若い女性「厩舎街の殺人」、重要な設計図が盗まれ意外な結末の「謎の盗難事件」、ポアロが向かった先で突然の依頼人の死、どうみても自殺だが動機がわからない。割れた鏡から密室の謎を解く表題作「死人の鏡」、ポアロの推理ではお馴染の“犯罪者に共通の自惚れ”がさらなる犯罪を招く「砂にかかれた三角形」、中篇ならではの傑作集です。

火曜クラブ THE THIRTEEN PROBLEMS (1932)中村妙子訳 早川書房
 ミス・マープルが登場する13編の連作短編集。作家である甥のレイモンド、前警視総監や画家などさまざまな職業の人々がミス・マープルの家に集まっていた。一人の客の提案で、各自が真相を知っている昔の迷宮入り事件を語り、その解決を推理しあうという6人の「火曜クラブ」が出来上がった。そして、誰もが解けなかった真相をミス・マープルが次々に当てていく。大変面白く、一気に読み終えてしまいました。

パーカー・パイン登場 PARKER RYNE INBESTIGATES (1932,1933)乾信一郎訳 早川書房
 パーカー・パイン氏はある官庁で三十五年のあいだ統計収集の仕事をし、退職後その経験を生かして身の上相談の事務所を開いた人物。探偵ではなく、すべての物事は統計から判断し“心の専門医”として次々と依頼を解決していく。典型的なイギリス紳士で、おおきな身体に禿頭、度の強い眼鏡をかけた風貌は、依頼人に一瞬にして信頼感を与えてしまう。彼の活躍する12篇の作品を収録。面白くて、一気に読んでしまいました。

死の猟犬 クリスティー短篇集7 THE HOUND OF DEATH (1933)小倉多加志訳 早川書房
 タイトルに誘われて選んだ作品。他に『赤信号』『第四の男』『ジプシー』『ランプ』『ラジオ』『検察側の証人』『青い壺の謎』『アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件』『翼の呼ぶ声』『最後の晩餐会』『S・O・S』の12作品が収録されている。心霊や怪奇現象がテーマの作品が多かった。

リスタデール卿の謎 THE LISTERDALE MYSTERY (1934)田村隆一訳 早川書房
 この短編12篇を収録する作品集には、“名探偵”は一人も登場しない。サスペンス、冒険、復讐そしてロマンス。ハッピーエンドな作品が多く、とても暖かい感じのする一冊でした。

黄色いアイリス クリスティ短篇集10 THE REGATTA MYSTERY (1939)中村妙子訳 早川書房
 上記表題作をはじめ『レガッタ・デーの事件』『バグダッドの大櫃の謎』『あなたの庭はどんな庭?』『ポリェンサ海岸の事件』『ミス・マープルの思い出話』『仄暗い鏡の中に』『船上の怪事件』『二度目のゴング』の全九篇からなる短編集。女史の短編には別の長編の原形ともいえる作品も多いです。

ヘラクレスの冒険 クリスティ短篇集1 THE LABOURS OF HERCULES (1947)高橋豊訳 早川書房
 ポアロを主人公としたオムニバス形式の短篇集。ポアロが、ギリシャ神話中の有名な「ヘラクレスの難事業」に因んだ12の難事件を解決していく。ギリシャ神話の内容を知ってから読んだほうが面白いかも。(神話の内容は、あとがきに掲載されていました(^^;;)

愛の探偵たち クリスティ短篇集9 THREE BLIND MICE (1950)小倉多加志訳 早川書房
 有名な戯曲「ねずみとり」の原作『三匹の盲ネズミ』をはじめ、ポアロもの2篇、ミス・マープル4篇、クィン氏1篇を含む短編8篇を収録した作品集。それぞれ有名な各探偵の特色が比べられて面白かった。

教会で死んだ男 クリスティ短篇集11 SANCTUARY (1951,1961)宇野輝雄訳 早川書房
 ポアロ物10篇、マープル物1篇、怪奇物1篇を収録する作品集。短篇ものは、ポアロよりマープルの方が私は面白く思います。


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Last modified 2004.8.28