14日目

 

雨音で目が覚めたのは7時頃。

予報通りだねぇ。

かと思うと雨が止み、晴れ間がのぞき、あがったかと思い外を見れば

また雨が降り出す。

どうも今日は天候が文字通りの不安定みたいだね。

ただ雨が少し治まった時に空を見てみたらどうも一日中ダーダー

降り続けるような空じゃない。

そこで予報を改めて確認してみると、午後の方が降水確率は

低いという予報。

ま、今日はコインランドリー行って温泉に行こうと思っているだけ

だから焦ることはない。

午後からどころか夕方からで充分おっけー。

テントを叩く雨音と梢を揺らす風音。

たまにウグイス(だと思う鳥)なんかが鳴いたりして、そんな中

R&Bの曲を流して、テントの中ひっくり返って屋久島で購入した

いい本を読んだりタバコくゆらせたり何もしないでいたり。

ロングツーリングの最中だというのにこんな風に時間を遣える

だなんて、なんて贅沢なんだろうね。

いや、ロングツーリングならでは、かな。

期間が短いとこういう日を作るのは難しいからね。

そんな感じで午前中をのんびり過ごし、11時頃。

雨が上がりしばらく降らなさそうな空具合。

そこでまずは洗濯にゴー。

その間はコンビニで立ち読みしてたんだけど、その間に再び雨。

洗濯が完了して乾燥機にかけてる間に、さらに激しい雨。

あーあ。

なんていう風には思っていなかったり。

こん時はね、雨を楽しんでいたんだよ、むしろ。

雨に濡れるのって結構好きだったりするんだw

ま、同じ事を学生の頃から言っていて、ちと変人気味な扱いを

受けていたりしたんだけどw

どう思われようと好きなものは好きなんだよ、と少し頑なに思っていた

あのころをちっと思い出してね、このとき。

あっちへふらふら、こっちへふらふら。

気の向くままバイクで走り、ふと思いついてまたまた草千里へ。

霧が出ていて結構怖い思いをしながらも無事に到着。

そこに待っていた景色は。

はっきり言って霧が濃いせいでほとんど見えないw

でも、それもまたいいもんなんだよ、うん。

多分こういう景色を見ていい、と言う人は少ないかも知れないけどね。

色んな顔が見れたという意味においても、景色そのもの自体も

良かったよ、凄く。

そんな景色をしばしぼーっと眺めた後で、空腹になったので北麓の

メシ屋へ。

F・E・Hで実は食べてみなと薦められていた、熊本名物らしい

”たご汁”付きの山賊定食を喰らうべく、ね。

なんとな〜く名前のイメージ的に肉とか出てくるのかなって思って

いたんだけど、実際は質素な和食。

まぜご飯に漬け物、山芋のとろろ。

それにたご汁。

どんなのかっつーと。

う〜〜ん、なんって言ったらいいんだろうね。

ちょっと言葉は悪いかも知れないけど、ほうとうの出来損ない

みたいな小麦粉か何かを練ったのが入っているみそ汁ってのが

私に出来る表現です。

器はどんぶりなのでデカイんですがね。

雨に濡れて寒かった体には暖かくて助かったんですが、悪いけど

正直好みの味じゃあ無かったです。

ちなみにメシ喰ってる間にますます雨足は強まりあららって感じ。

メシ喰ったの変な時間だし(15時過ぎ)今晩はメシを作らずに

酒だけ呑んで寝るか。

そんな訳でつまみと酒と水だけ買ってテントへ戻る。

雨は未だに降り続いていたので中が濡れないように苦労して

入ったんだけど。

さほど間もなく雨、あがる。

……なんか弄ばれてないかい?

だが、待て。

これはひょっとしなくてもチャンスではないか?

あまりの雨量と霧の濃さで諦めた温泉に行く、正に絶好に機会では。

そこで空をみて確かめると、昼少し前と同じように1.2時間程は

保ちそうな空模様。

そこで急いで温泉セット(笑)とレインウェアを持ってキャンプ場を出発

……したところで気がついた。

雨上がりに晴れ間が出ている。

これは……と、ある予感に導かれて草千里へ向かう。

そもそも近くにある温泉に行くだけのつもりだったから上着を

着ないで出かけたから少し寒い。

だが、その程度の事で予感に突き動かされるこのオレをとめる事など

できはしない!!

妙にテンションが高いまま走り、さほど間もなく草千里へ着。

その予感とは草千里では無く、すぐ側の展望台のほうで巡り会った。

雨上がりの盆地に光が差し。

自分の目線と同じくらいの高さと少し下にある小さなちぎれ雲。

その雲が切れ目から差す陽光に輝いていた。

これは芸術だ……

残念ながらそのときカメラを持っていなかったので、拙い言葉でしか

伝えられないけど。

でも、そもそもオレは誰かに伝えたくて旅をしているのではない。

(このHPはまた別だけど)

一眼レフ抱えて写真撮ることも目的の一つではあるけれど、それが

全てでは断じてない。

自分の五感全てで何かを感じ取るためだ。

だから。

再び頂上付近の雲行きが怪しくなってきたため、タバコ一本を吸う

程度の時間だったけど。

存分に目に焼き付けてきた。

これがあるから野宿はやめられない。

もしYHに入っていたら、YH内の風呂に入って終わりだっただろう。

実はメシ喰ってた頃は今日キャンプするのはタダの愚行と思える位の

大雨と濃霧で。

「濃霧のなかでキャンプするとテントの中がじっとりと濡れてしまう

かもなぁ……今日はYHにでも行こうか」

とも思っていた。

でも

「まぁ、それもまた一興か。

実際にそうなるのか試してみるのも、面白そうじゃない」

なんぞと思い、キャンプを続行したのだ。

野宿すれば大変な事もある。

雨が降ればもちろんだけど、晴れても暑くて寝れないといったことも

実は結構ある。

野生動物にも気をつけねばならないし、実際カラスに食い物を

奪われたこともある。

虫がたくさんいることが事もあるし、メシは質素だ。

(無論外で食べるとまた格別の味がするのは事実だが、客観的に

見れば質素だろう)

トイレは汚い所のほうがほとんどだ。

風呂に入ってから時間をかけないとキャンプ場につかない事の

ほうが多いので、夏場は流したはずの汗をまたかくことになる。

それでも。

自然の中で寝起きする。

言葉にすればただこれだけのことだが、そこには必ず素晴らしい

体験がある。

少なくともオレにはあった。

それは、間違いがない……

と、少し話がずれてしまったね。

ともかく、天気がやばそうだったので山を下りて、阿蘇駅の側にある

「夢の湯」へ。

他に人もおらず、広い湯船を独り占め♪

露天風呂も独り占め。

と、気分良く露天に入っていると雨がぱらつきだした。

やーっぱ降り出したか。

本格的に降る前に戻らないと……と思ったんだけど、体を拭いている

間に本降りだ。

あ〜あ。

ところが休憩室で汗が引くのを待っていると雨があがる。

おやおや(笑)

こういうチャンスは生かすためにある。

すぐにテントに戻ったダス。

後は呑んで寝ただけw

22時頃かな?

多分そんなもんのはずで、今日はお休み〜。

本日までの総走行距離 約1883q

追記 「屋久島で購入したいい本」とは「屋久島に家を建てる」という

    タイトルの本で、元々この時宿屋で出逢った仲間から教えて

    もらった。

    テントで生活しながら廃材で家を手作りで建てていく様子を

    本にしたもの。

    材料・道具費約42万円で建てたというんだから凄い。

    でも決してHow toものなんかではない。

    非常に面白く、また活力も得られるのでこれを読んで興味を

    持った人は是非一読を勧めます。

 

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