19日目

 

参考地図

この日目を覚ましたのは5:30。

でも起きだしたのは6時。

起き抜けのボーっとした状態、大好きw

いつものように軽くご飯を食べ、出発したのは8時頃。

まず目指したのは都城市。

一番近くにある大きそうな市で、そこまでの道も平坦っぽいからね。

ブレーキが使えないせいで結構怖かったけど、無事9:30頃に都城市に着。

大きめの通りを走りながら捜し物。

大丈夫だろうとは思っていたけど、一応バイク屋に見てもらおうと思って。

首尾良く比較的早い時間にもかかわらず既に開店しているバイク屋を発見。

しかもその先に郵便局も発見。

そこでまずはもう使わない荷物を発送。

少しでもバイクにかかる負担を減らしたかったんだよw

実家に向けて発送してから、少し引き返してバイク屋へ行き、事情を話して

見てもらうと……

これが大正解。

焼き付きは覚悟っていうか一目瞭然だったから分かっていたけど、なんと

このままだとピストンが焼き付いて、いっきなりリアタイヤがロックしてしまう

可能性があったとの事。

あっぶねええええええええええ。

見てもらって良かったよ(汗)

そこでブレーキ本体を外してもらい、あとはこのままで帰ることに。

フロントブレーキさえ無事ならなんとかなるからね。

(この辺バイクの事とかある程度詳しい人じゃないと分からないけどごめんね)

心配そうに見送ってくれたバイク屋の店員さんに感謝しつつ、本人ある意味

もう開き直ってマス。

もー、これでリアは怖いことはない。

でも日南海岸に行くのはさすがにやめw

コーナー多いのにリアブレーキが使えないのは痛すぎるからね。

そこで宮崎に直行。

そしたらこれまた大正解。

普段は19:30頃出航なんだけど、今夜は台風の為出航が17時に

繰り上げられてた。

ラッキー。

っつーか、そーなんだよ。

また台風だよ。

これで今回3度目だよ。

「帰りも同じの乗って帰るつもりなんですけど、また揺れそうでやだなぁ」

って初日にフェリーの中で話してた事が現実になったよ。

文句あっか!!(涙)

ちっくしょー。

まぁ、いい。

続きね。

宮崎についたのは実はお昼少し過ぎくらい。

乗船券発売開始時間までまだ3時間くらい。

でもどこにもいかない。

いや、行けない。

途中実はレッドバロンによってパーツが余ってないか聞いてみたけど、

にべもなく

「うちのグループで買ったバイクじゃないから修理はしない」

と言われて、ブチ切れつつも手だては何も無くなっていたからね。

予報では明日は大阪のほうは雨みたいなんだけどなぁ。

(…何が言いたいかね、うん?)

台風そのものじゃないから、ま、なんとか頑張って帰るか。

ってな訳でそのままターミナルの待合室で時間を待つ待つ待つ。

んで、16時頃無事乗船で、17:15に出航……なんだけど。

普段してる「出港時には甲板に出て港を眺める」という自分ルールは今回

適用せず。

というより出来ず。

だって台風の影響で甲板立ち入り禁止なんだもんよ(涙)

今まで結構悪天候の時にフェリーに乗ってきたけど(つーかこの航路では

荒天しか経験ないけど)こんなん初めてだよ。

実際波がたけーたけー。

船酔いを避けるために横になって目をつぶっていても、自分がかなり

傾いているのが分かる状態。

もー、グラングラン揺れてやんの。

窓の外では水平線が窓枠一杯に上下する。

……っておいおい。

廊下に出てふと船首をみれば、舳先だって負けじと上下にハッスル中。

……勘弁してつかーさい(涙)

そんな訳でず〜〜っっと横になり、合間をぬってメシ&風呂。

メシは結構美味しかったんだけど、酔ったらやばいんで少な目に頂く。

せっかくのバイキングなのに(涙)

リバースしたら意味ないんだからしゃーないんだけどね(笑)

そんな状態が一晩中続き、寝付くのに苦労した……訳ではなく。

実は普段この宮崎−大阪間の航路は四国の南外側を通るんだけど、

今回はこの悪天候で出航時間の繰り上げあ〜〜んど航路変更があって、

瀬戸内海を航行。

その瀬戸内海に入ったのは20:30頃。

するととたんに穏やかな波に。

そしたら甲板にでるしかないでしょ。

ま、正確には我慢しきれなくてさー(笑)

酒とタバコを片手に曲を聴きに行ったんだけどね(笑)

そうしたら本当に月が綺麗で。

昨日分にも書いたけど、満月(か、限りなく近い状態)が、ね。

出港時とは一変して穏やかな波。

その海面に美しく映える月影。

夜の海は距離が分からないから怖い。

そういわれる位、果てもなく穏やかに広がる海原。

出港時が荒天だったせいで、みな早くに寝たのか誰もいない甲板の上。

この海の上にたった一人でいるようで。

ふと見上げれば真円を描く月。

海に目をやれば手が届きそうで、でも決して届かない月影。

寂しげで。

でも柔らかな月の光に包まれて。

今回の旅で初めていつもツーリングの夜に聴いているとある曲を聴く。

タバコくゆらせて、片手にはビール。

そして今回の旅を想う。

出逢えた人たち。

初めて目にする風景。

走った道々。

楽しい事があった。

嬉しいこともあった。

そして

悔しいこともあった。

苦しいことだってあった。

そんないつもと同じ

だけど二度とはない旅路。

そんな今回の旅ももうじきひとまずの終わりを告げる。

でも旅は終わらない。

ベースキャンプに戻るだけ。

ただそれだけ。

隣には誰もいない。

でも寂しくはない。

こうして。

自分が自分として。

いま、ここに、いる。

それで。

それだけで。

いや、そうであるからこそ幸せ。

誰もいなくていい。

独りでいい。

そんな事じゃなくてね。

作曲者の狂気を叩き付けて形になったように感じるこの曲を。

普段気持ちがざわめかずには聴けないこの曲を。

不思議と穏やかな気持ちで聴けた。

満ちた月が笑っているようだった。

月も、星も、何も語らない。

ただ、そこにあるだけ。

月の光、星の灯火。

それをどう見るかは見る者次第。

今宵。

オレには笑いかけてくれているように見えた。

そんな時間を甲板で過ごし、次第に夜が更け船内に戻り。

今度は別の穏やかな曲を聴きながら眠りにつく。

あぁ、オレはこうしてここにいれて幸せだなぁって。

明日リアブレーキが壊れた状態で長距離走らなきゃいけないんだけど、

それすらどうでもよくて。

たいしたことなくて。

でもどれだけ大変かって事も分かっていて。

だから気をつけて。

頑張って走ればいいんだって。

そう思った。

このまま船が沈没しちゃってさ。

死んじゃう事になっても満足だなって。

でも、もっとこの気持ちを味わいたいからまだまだ生きたいね。

うん。

また明日もよろしくな、相棒……

(就寝時間 22時過ぎ  本日までの総走行距離約3140キロ)

追記:死、というものに対して不真面目だと。

   不謹慎だ、と。

   そう思われた方がもしいたら素直に謝罪します。

   でも訂正はしません。

   あの時、そう思ったのは嘘ではないので……

 

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