ネットワーカーに贈るエスペラント語入門講座 第10課

第10課:文型・無主語文

10−0.はじめに

☆第9課では、エスペラントの再帰代名詞<si>と一般人称<oni>について学びました。

☆第10課では、エスペラントの基本的な文型と、主語を必要としない文について勉強します。

10−1.文型について

☆今までに、このような文のパターンを学びました。

例文−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(1) Mi kuras.        (主語+動詞)
(2) Mi estas esperantisto.(主語+動詞+補語)(Mi=esperantisto)

(3) Mi lernas interesan lingvon. (主語+動詞+目的語)(Mi≠interesa lingvo)

<単語>
mi(私は) kuri(走る) esperantisto(エスペランティスト) lerni(学ぶ) interesa(興味深い) lingvo(言葉)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(1) 私は走る。
(2) 私はエスペランティストだ。
(3) 私は興味深い言葉を勉強している。

☆エスペラントは、対格語尾や複数語尾によって、文の中での単語の配置が比較的自由です。ですから、たとえば上の例文(2)はつぎのようにも書く事ができます。

○ Esperantisto mi estas.
○ Esperantisto estas mi.
○ Estas mi esperantisto.

☆このような単語の配置は、文法的には全く問題ありません。本質的には同じ意味を表わしています。ただし、ニュアンスの違いに注意して下さい。文のどの部分を強調するかが変ってくるのです。例えばつぎのような日本文を考えて下さい。

○ 私が(ほかの何者でもない)エスペランティストです。
○ 私はエスペランティストですとも。
○ 私こそエスペランティストです。

☆日本語も、助詞を使って文中の単語の関係を示すので、単語の配列が比較的自由です。エスペラントと日本語の類似点に注目して下さい。

☆単語の配置を変えることで、微妙なニュアンスを表わすことができますが、エスペラントの最も基本的な文のパターンが:

主語 + 動詞 +(必要があれば 目的語、補語、修飾語)
(Mi)   (lernas)   (Esperanton.)

 であることを憶えておいて下さい。主語と動詞を一番前の方に置きます。

☆日本語の基本的な文のパターンは、大事なことを先頭と最後に半分づつ言います。つまり、主語を先頭に、そして動詞を最後に置きます:

主語 +(必要があれば 目的語、補語、修飾語)+ 動詞
(私は) (エスペラントを)           (学ぶ。)

10−2.無主語文

☆エスペラントには、主語を必要としない文があります。

10−2−1.動詞が主語を含んでいるもの

例文−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(4) Pluvas.
(5) C^u pluvos?
(6) Hierau~ ne pluvis.
(7) Neg^os.

<単語>
pluvi(雨が降る) c^u〜(〜ですか?) hierau~(昨日) neg^i(雪が降る)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
☆おもに天候を表わすエスペラントの動詞の中には:

pluvi(雨が降る) neg^i(雪が降る) hajli(ヒョウが降る) tondri(雷が鳴る) venti(風がふく)

 などのように、主語の意味を含んだものがあります。こういう動詞は、その意味に主語が含まれているので、主語なしで用います。

(4) 雨が降っている。
(5) 雨がふるかな。
(6) 昨日は雨がふらなかった。
(7) 雪が降りそうだ。

☆参考☆ 英語では、同じ事を表現するために

○ It is raining.

 のように形式的な主語<it>を用いることを思い出して、違いに注意して下さい。

10−2−2.副詞が文の中心になる場合

☆副詞だけでも文を作ることができます。

例文−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(8) Malbone.
(9) Estis varme.
(10) Morgau~ estos varme.

<単語>
malbone(悪く) varme(暑く) morgau~(明日)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(8) まずい。
☆(9)では、この文の時制が過去であることを示すために、副詞<varme>に<estis>が添えられています。

(9) 暑かった。

☆(10)では<morgau~>は副詞で、この文の主語にはなっていません。この文の時制が未来であることを示すために、副詞<varme>に<estos>が添えられています。

(10) 明日は暑くなりそうだ。

<問題23>********************************************************

 エスペラント作文 (この課題は今までの課で学んだ内容の復習です)
                   <( )はヒント>

1.あなたは Ken を愛してい(ami)ますか。
  はい(jes)、私は彼を愛 しています。

2.私は本(libro)(複数)を持ってい(havi)ます。
  それらはおもしろい(interesa)です。

3.彼は、自分の本を読みま(legi)した。
  私(ankau~)、自分の本を読みました。

4.その(la)ピアノ(piano)は彼のです。

5.私達は自分(たち)の(domo)に住んで(log^i)います。
  彼らも自分(たち)の家に住んでいます。

6.かれはエスペラントを学び始め(eklerni)たそうだ。 (Oni diras, ke〜ではじめて)

7.明日(morgau~)はヒョウがふる(hajli)でしょう。

第10課:正答例

         ☆★☆ 正答例 第10課 ☆★☆

<問題23>********************************************************

1. C^u vi amas Ken? (注1)
  Jes, mi amas lin.

2. Mi havas librojn.
  Ili estas interesaj.

3. Li legis sian libron.
  Ankau~ mi legis mian libron. (注2)

4. La piano estas lia.

5. Ni log^as en nia domo.
  Ankau~ ili log^as en sia domo.

6. Oni diras, ke li eklernis Esperanton.

7. Morgau~ hajlos.               など。
(注)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(注1)人の名前が目的格になる場合

☆次の例文のように、人名がエスペラントに同化している場合は対格語尾<-n>を付けます。その他の場合は、対格語尾をつけません。文の前後関係から、誤解をまねくことはありません。特に必要がある場合は、<'n>を付けると意味がはっきりします。

○名前がエスペラントに同化している場合。
  Mi amas Petron.
  Mi amas Karlon.

○普通は、次のような形で十分。
  Mi amas Keiko.
  Mi amas Ken.

○特に必要がある場合。ただし、<ken'n>のように、発音しにくいものは、会話の中ではもちいられない。
  Mi amas Keiko'n.
  Mi amas Ken'n.

(注2)
☆3と5の答えで、<ankau~>の位置は、次のようでもかまいませんが、少しずつニュアンスが変ります。文の前後関係(文脈)にもよりますが、打消の副詞<ne>同様に、一般に<ankau~>も次に置かれる単語にかかるのが普通です。

3. Mi ankau~ legis mian libron. (読みもした)
  Mi legis ankau~ mian libron. (自分の本も読んだ)
  Mi legis mian libron ankau~. (私はまた、自分の本を(も)読んだ)

5. Ili ankau~ log^as en sia domo.(住んでもいる)
  Ili log^as ankau~ en sia domo.(自分の家にも住んでいる)
  Ili log^as en sia domo ankau~.(彼らはまた、自分の家に住んでいる)

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