第14課:動詞不定形の用法(1)
14−0.はじめに
☆第13課では、分詞接頭辞・単語合成について学びました。接頭辞や接尾辞、単語合成を用いて数少ない語根から様々な品詞や単語を作れることは、言葉の可能性を広げます。読書をするに当って、かなりの数の単語を、辞書を引かずに推測することができます。また、接頭辞と接尾辞を使って拡張された語彙で、学習して間もない時期から、優れた文体とは言えないまでも、自分の意図していることを表現することができます。百年以上前に発表されたエスペラントの小冊子には、千に満たない語根しか載せられていませんでした。もちろん今日では、百年に渡る実用の期間を経て専門用語を含めて語根の数は数万に達しています。
☆第14課では、動詞不定形<−i>の用法について学びます。
14−1.動詞不定形の用法
☆動詞の語尾<−as>・<−is>・<−os>が、それぞれ、現在形・過去形・未来形に対応することはすでに学習しました。<−i>で終る動詞の不定形(辞書に出ている形)にも次のような用法があります。
14−1−1.動詞を2つ以上重ねて使う場合
☆エスペラントでは、意味から考えて合理的な範囲で、動詞を2つ重ねて用いることができます。
例文−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(1) Multaj homoj povas paroli Esperanton.
(2) Ni devas lerni Esperanton.
(3) Vi rajtas mang^i la kukon.
(4) Ni komencis lerni Esperanton antau~ du monatoj.
(5) C^u vi kurag^as rajdi leonon?
(6) Li au~dacis paroli al la prezidento.
(7) Morgau~ mi iros fis^kapti kun miaj amikoj.
(8) Mi rekomendas komenci lerni Esperanton per koresponda kurso.
<単語>
multa(多くの) homo(人) povi〜(〜できる) paroli(話す)ni(私達は)
devi〜(〜ねばならぬ) lerni(学ぶ)vi(あなたは)rajti〜(〜してよい)
mang^i(食べる)kuko(菓子)komenci〜(〜始める) antau~(〜前)du(2)monato(月)
kurag^i(〜する勇気がある)rajdi(<動物などに>乗る) leono(ライオン)li(彼は)au~daci(敢えて〜する)
al(〜に)prezidento(大統領)morgau~(明日) mi(私は)iri(行く)fis^-kapti(魚取りをする)
rekomendi(勧める)per(〜で<手段>)koresponda kurso(通信講座)
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☆動詞を重ねる場合には、どちらの動詞が影響をおよぼす側で、どちらが影響を受ける側かを明らかにするために、影響を受ける側(後に置かれるもの)を不定形<-i>にします。
○ povas paroli 〜できる+話す =話せる
○ devas lerni 〜ねばならぬ+学ぶ=学ばなければならぬ
○ rajtas mang^i 〜してよい+食べる=食べてよい
☆後に置かれた動詞は(目的語などの)単語を従えることができます。
○ povas paroli Esperanton エスペラントを話せる
○ devas lerni Esperanton エスペラントを学ばねばならぬ
○ rajtas mang^i la kukon お菓子を食べてよい
(1) エスペラントを話せる人はたくさんいる。
(2) ぼくらはエスペラントを学ばなければならぬ。
(3) その菓子を食べてもいいよ。
☆参考☆ 上の(1)〜(3)の例文で<povi,devi,rajti>は、英語の助動詞<can,must,may>と似た役割と意味を持っています。英語が、助動詞の後にくる動詞を原形にすることを思い起して下さい。しかし、英語の<can,may,must,will>などのような助動詞という概念はエスペラントの文法にはありません。<povi,devi,rajti>などは、他の動詞と組合せて用いられますが、動詞の中に含めます。
☆参考☆ 後に来る不定形の動詞を、前の動詞の目的語と考えることもできます。
○ povas paroli 話すことが(を) できる
○ devas lerni 学ぶことが(を) しなければならない
☆エスペラントの動詞は、どれでも合理的な範囲で重ねて用いることができ ます。例えば(8)のように3つの動詞を重ねて用いることもできます。3 つ重ねて使う場合には影響を受ける後の2つを不定形<−i>にします。
○ komencis lerni 始めた+学ぶ = 学び始めた
○ kurag^as rajdi 勇気がある+乗る = 乗る勇気がある
○ au~dacis paroli 敢えて〜した+話す= 敢えて話しかけた
○ iros fis^kapti 行くつもり+魚を取る= 魚取りに行くつもり
○ rekomendas komenci lerni 勧める+始める+学ぶ=学び始めるよう勧める
(4) ぼくらは2ヵ月前にエスペラントをやり始めた。
(5) ライオンに乗る勇気があるか。
(6) やつは大胆にも大統領に話しかけた。
(7) 僕は明日、友達と魚取りに行くつもりだ。
(8) 通信講座でエスペラントを学び始めるようお勧めします。
☆参考☆ 日本語の助動詞は、動詞などの語尾に付いて、その言葉の意味を変えます。たとえば:
食べる+られる = 食べられる (可能を表わす形)
書く +せる = 書かせる (使役を表わす形)
☆日本語の場合は、後に助動詞をつけると動詞自身の形が変化することに注意して下さい。<食べるられる><書くせる>は間違いです。エスペラントと日本語との違いに注意して下さい。
<問題30>********************************************************
次のエスペラント文を日本語にして下さい。
1. Mi klopodas ellerni la Lingvon Internacian.
2. Mi provis funkciigi la mas^inon.
3. Ili dau~rigas propagandi Esperanton.
4. C^u vi s^atas legi librojn?
5. Mi volas partopreni en la Universala Kongreso de Esperanto.
<単語>
mi(私は)klopodi(勉める)el-lerni(修得する) Lingvo Inter-naci-a
(国際語、エスペラントのこと)provi(試す) funkci-ig-i(動かす)mas^ino(機械)ili(彼らは)
dau~r-ig-i(続ける)propagandi(宣伝する)vi(あなたは) s^ati(好む)legi(読む)libro(本)
voli(望む)parto-preni (参加する)en〜(〜に) Universala Kongreso de
Esperanto(世界エスペラント大会:毎年1回行な われるエスペランティストの世界大会)
<問題31>********************************************************
ヒントを参考に[ ]の単語を用いて、次の日本語をエスペラントにして下さい。
1.あなたは(vi)エスペラントが話せ(paroli)ますか。[povi]
2.私たちは(ni)毎日(c^iutage)エスペラントを学ば(lerni)なければならない。[devi]
3.あなたは家に帰って(iri hejmen)よろしい。[rajti]
4.私たちは外国に旅行(vojag^i eksterlanden)したい。[voli]
5.彼はタバコをすい(fumi)はじめた。[komenci] ********************************************************************
第14課:正答例
☆★☆ 正答例 第14課 ☆★☆
<問題30>********************************************************
1. 私は国際語の修得に勉めています。
2. 私はその機械を動かそうとしました。
3. 彼らはエスペラントの宣伝を続けています。
4. あなたは本を読むのが好きですか?
5. 私は世界エスペラント大会に出席したい。 など。
<問題31>********************************************************
1. C^u vi povas paroli Esperanton?
2. Ni devas lerni Esperanton c^iutage.
2. Ni devas c^iutage lerni Esperanton.
3. Vi rajtas iri hejmen.
4. Mi volas vojag^i eksterlanden.
5. Li komencis fumi. など。
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