ネットワーカーに贈るエスペラント語入門講座 第15課

第15課(1):動詞不定形の用法(2)

15−0.はじめに

☆第14課では、動詞の不定形<−i>の用法の一部、動詞を重ねて使う場合について、学びました。第15課でも動詞の不定形の用法を学びます。動詞の不定形には、動詞を重ねて用いる他に、前置詞の目的語になったり、文の主語や補語となる働きがあります。また、前に置かれた名詞を修飾する用法があります。

☆第15課はつぎの3つの部分に分れています。

第15課(1):動詞不定形の用法(2)
       (前置詞の目的語として)
第15課(2):動詞不定形の用法(3)
       (文の主語や補語として・前にある名詞を修飾して)
第15課(3):動詞不定形の用法のまとめ

15−1.前置詞の目的語になる場合

☆動詞不定形が、前置詞<por: sen: krom: anstatau~>の後に置かれる場合について説明します。

例文−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(1) Mi lernas Esperanton por havi leter-amikojn.

(2) Li ekiris al Hokkaido, sen diri adiau~on al mi.

(3) C^u vi ne havas laboron krom mang^i kaj trinki?

(4) Anstatau~ lerni Esperanton, li ludis gitaron.

(5) Tiu c^i ests mas^ino (←) por sekigi grenojn.

(6) Mi donacos al vi kasedon (←) por lerni Esperanton.

<単語>
mi(私は)lerni(学ぶ) por 〜i(〜するために) leter-amiko(文通相手) li(彼は)ekiri(出発する) al(〜へ、〜に) sen 〜i(〜することなしに)adiau~o(別れ) vi(あなたは) havi(持つ) laboro(仕事) krom 〜i(〜する他に) mang^i(食べる) 〜kaj…(〜と…) trinki(飲む)anstatau~ 〜i(〜する代りに) ludi(弾く) gitaro(ギター)tiu c^i〜(この〜) mas^ino(機械) por〜(〜するための)sek-ig-i(乾かす) greno(穀物) donaci(進呈する) kasedo(カセット)
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☆(1)〜(4)は、動詞不定形<havi, diri, mang^i, trinki, lerni>が、前置詞<por〜:〜のために><sen〜:〜なしで><krom〜:〜他に><anstatau~〜:〜かわりに>の後で名詞のように使われます。

○   havi  持つ(こと)
por havi  持つ(ことの)ために

○   diri  言うこと
sen diri  言うことなしで

○    mang^i kaj trinki  食べたり飲んだりする(こと)
krom mang^i kaj trinki  食べたり飲んだりする(こと)以外に

○       lerni  学ぶ(こと)
anstatau~ lerni  学ぶ(ことの)代りに

☆動詞不定形<−i>は、名詞のように使われていても、動詞の性格が消えないので、後に単語を従えることができます。

○ por havi leter-amikojn   文通相手を持つために
○ sen diri adiau~on al mi   私に別れを告げずに
○ anstatau~ lerni Esperanton エスペラントを学ぶ代りに

(1) 文通相手を得るためにエスペラントをやってます。
(2) 彼は別れも告げずに北海道へ発った。
(3) 飲んだり食ったりする他に、何かやることはないのか。
(4) エスペラントを勉強する代りに、彼はギターを弾いた。

☆上の(1)〜(4)の例で、前置詞<por, sen, krom, anstatau~>で始まる句(単語の群れ)が、文中で副詞句(動詞などを修飾する単語の群れ)として動詞を修飾(詳しく説明)していることに注意して下さい。

○ lernas(←) por havi leter-amikojn.  

 文通相手を得るために(→)勉強しています

○ ekiris(←)sen diri adiau~on al mi.  

 別れも告げずに(→)発った

anstatau~ lerni Esperanton(→)ludis  

 エスペラントを勉強する代りに(→)弾いた

☆(5)(6)では、前置詞<por>と動詞不定形で始まる句(単語の群れ)が、前の名詞<mas^ino; kasedo>を修飾(詳しく説明)しています。

○ mas^ino (←) por sekigi grenojn

 穀物を乾燥させるための(→)機械

○ kasedo (←) por lerni Esperanton

 エスペラントを学ぶための(→)カセット

☆それぞれ<〜ための…>と、前の名詞に掛かる形容詞句(形容詞の働きをする単語の群れ)になっていることに注意して下さい。

(5) これは穀物を乾燥させる機械です。
(6) あなたに、エスペラントを勉強するためのカセットをあげる。

☆<前置詞(por)+動詞不定形>の表現が、形容詞句になるか副詞句になるかは、文の前後関係や意味によります。第7課の前置詞の項目で学んだことを思い出して下さい。

例文−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

○ Leteroj estas sur la tablo.        (副詞句)

La leteroj(←)sur la tablo estas miaj. (形容詞句)

<単語>
letero(手紙) esti(〜がある) sur〜(〜の上に) tablo(テーブル) esti(〜である) mia(私の)
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○ 手紙がテーブルの上にある。
○ テーブルの上の手紙は僕のだ。


第15課(2):動詞不定形の用法(3)

15−2.文の主語や補語になる場合

☆動詞不定形が文の主語<〜することは>や補語<〜すること>になることがあります。

例文−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(7) Lerni estas interese.

(8) Paroli Esperanton estas facile.

(9) Instrui Esperanton al infanoj estas interesa afero.

(10) Mia laboro estas instrui Esperanton al infanoj.

<単語> lerni(学ぶ) interese(おもしろく) paroli(話す) facile(易しく)instrui(教える) al〜(〜へ、〜に) infano(子供) afero(事柄) laboro(仕事)
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☆(7)〜(9)では、動詞の不定形が名詞の働き(〜すること)をしています。そして、文の中で主語<〜は;〜が>の役割をになっています。(10)の例文では、補語の役割をはたしています。

○ lerni  学ぶこと(は)
○ paroli 話すこと(は)
○ instrui 教えること(は)

☆動詞の不定形が名詞の働きをしていますが、動詞の性格を失わないので、後に単語(目的語など)を従えることができます。

○ paroli Esperanton        エスペラントを話すこと(は)
○ instrui Esperanton al infanoj 子供にエスペラントを教えること

(7) 勉強するのはおもしろい。
(8) エスペラントを話すのは簡単だ。
(9) 子供にエスペラントを教えるのはおもしろいことだ。
(10) 僕の仕事は、子供にエスペラントを教えることだ。

☆また、(7)と(8)の例の文末に注意して下さい。文末の単語が<interese><facile>のように副詞になっています。これは、この単語がそれぞれ<lerni><paroli>という動詞を修飾 するからです。

(7) Lerni estas interese.

(8) Paroli Esperanton estas facile.

☆もし、(7)の文を次のように書き換えると:

Lernado estas interesa. (勉強は楽しい)

<interesa>となります。理由は、<interesa>が<lernado><学習>という名詞を修飾するからです。

<問題32>********************************************************

 下線部に注意して次のエスペラント文を日本語にして下さい。

1. La diableto venis por helpi la fraton.

2. C^u Ivan venis al la kampo por fini la laboron?

3. Korespondi kun eksterlandaj geamikoj estas interese.

4. C^u partopreni en la Universala Kongreso de Esperanto estas por vi la unua sperto?

<単語>
diabl-et-o(小悪魔) veni(来る) helpi(手伝う) frato(兄弟)Ivan(イワン) veni(来る) al〜(〜へ)kampo(畑) fini(終える) laboro(仕事)korespondi(文通する) kun〜(〜と) ekster-landa(外国の)ge-amiko-j(友達)interese(おもしろい) parto-preni(参加する)Universala Kongreso de Esperanto(世界エスペ ラント大会)por vi(あなたにとって) la unua(初めての) sperto(経験)

<問題33>********************************************************

 エスペラント作文

1.人間(homoj)は、食べる(mang^i)ためにだけ(nur)生きている(vivi)のではない。

2.ギター(gitaro)を弾く(ludi)のは楽しい(g^oje)。

3.私の趣味(hobio)はギターを弾くことです。

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15−3.前に置かれた名詞を修飾する場合

☆動詞不定形には、<por>などの前置詞を用いずに、前に置かれる名詞を修飾する働きがあります。

例文−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(11) C^u la hundo havas kapablon (←) kompreni vian parolon?

(12) Ni sentas la bezonon (←) paroli en Esperanto.

(13) Mi havas deziron (←) partopreni en la Univerisala Kongreso.

<単語>
hundo(犬)kapablo(能力) kompreni(理解する) via(あなたの)parolo(話)ni(私達は) senti(感じる) bezono(必要性)en〜(〜で) mi(私は)deziro(望み)parto-preni(参加する) en〜(〜に)Universala Kongreso(世界大会)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
☆(11)〜(13)の例では、動詞の不定形が前にある名詞を修飾(詳しく説明)しています。<kapablo, bezono, deziro...>のような抽象的な名詞は、<por>などの前置詞を使わなくとも動詞不定形<−i>で始まる形容詞句で修飾することができます。もちろん、意味が適切であれば、<por>などの前置詞を用いてもかまいません。

○ kapabl  (←)kompreni  理解する(ための)(→)能力
○ bezono  (←)paroli   話す(ための)  (→)必要性
○ deziro  (←)partopreni 参加する(という)(→)望み

☆動詞の不定形が、形容詞的に使われていますが、動詞の性格を失っていないので、後に目的語などの単語を従えることができます。

○ kapablo (←)kompreni vian parolon
 あなたの話を理解する(という)能力

○ bezono (←)paroli en Esperanto
 エスペラントで話をする(という)必要性

○ deziro (←)partopreni en Universala Kongreso
 世界エスペラント大会に参加する(という)望み

(11)その犬は、あなたの言うことがわかるのですか。
(12)私達はエスペラントを話す必要性を感じる。
(13)私は、世界大会に参加したい。

☆エスペラントの場合、一般に単独の形容詞は、その形容詞が修飾する名詞の前に置きます。口調を調えるなど、特別に必要がある場合には、後に置く こともできます。

○ bela   (→)knabino 美しい (→)少女
○ alta   (→)monto 高い   (→)山
○ mirinda (→)kapablo 驚くべき(→)能力

☆単語が組になって(形容詞句)名詞を修飾する場合は、その名詞の後に置きます。

○ knabino (←) kun longa hararo    長い髪の(→)少女

○ monto  (←) kun blanka neg^o    雪をいただいた(→)山

○ kapablo (←) kompreni vian parolon  君の言うことがわかるという(→)能力

☆単独の形容詞と形容詞句(形容詞の働きをする単語の群れ)を、両方同時に使って、表現を緻密にすることができます。

bela   (→) knabino (←) kun longa hararo

alta   (→) monto  (←) kun blanka neg^o

mirinda (→) kapablo (←) kompreni vian parolon

☆日本語では、名詞を修飾する言葉は、単独であっても、組になっていても、必ず修飾する名詞の前に置くことに注意して下さい。

長い髪の   美しい   少女
雪をいただいた   高い   山
君の言うことがわかるという   驚くべき   能力



第15課(3):動詞不定形の用法のまとめ

☆★☆ 動詞不定形のまとめ ☆★☆

○動詞を重ねて使う場合

    ○ Mi komencis lerni Esperanton.
    ○ Mi bezonas lerni Esperanton.

○名詞句をつくる場合(〜すること)

    ○ Mia hobio estas lerni Esperanton.
    ○ Lerni Esperanton estas interese.

○前置詞<por, sen, krom, anstatau~>と共に、形容詞句(〜するための)や副詞句(〜するために)をつくる場合

    ○ Mi ne povas mang^i fis^on sen kuiri.
    ○ Mi ac^etis vortaron por lerni Esperanton.

○抽象的な意味をもつ名詞の後に置いて、形容詞句をつくる場合(〜するた  めの;〜すべき)

    ○ Mi havas intencon (←)eklerni Esperanton koresponde.
    ○ Vi havas s^ancon (←)lerni Esperanton.

<単語>
mi(私は) komenci〜(〜始める) bezoni(必要とする) lerni(学ぶ) hobio(趣味)interese(おもしろく) povi〜(〜できる) mang^i(食べる) fis^o(魚) sen〜(〜なしで)kuiri(調理する) ac^eti(買う) vort-ar-o(辞書)kasedo(カセット) intenco(意図) ek-lerni(学び始める)koresponde(通信で)vi(あなたは) havi(持つ)s^anco(チャンス)

○ 私はエスペラントを学び始めた。
○ 私にはエスペラントを学ぶ必要がある。
○ 私の趣味はエスペラントを学習することだ。
○ エスペラントを学ぶのはおもしろい。
○ 私は、調理せずには魚を食べることができない。
○ 僕はエスペラントを学ぶために辞書を買った。(僕はエスペラントを学ぶための辞書を買った)
○ 僕は、通信でエスペラントを学び始めようと思う。
○ 君にはエスペラントを学ぶチャンスがある。

<問題34>********************************************************

 下線の部分に注意して、次のエスペラント文を日本語にして下さい。

1. Ni havas devon (←)disvastigi Esperanton.

2. Mia plano (←)vojag^i tra Eu~ropo baldau~ efektivig^os.

3. Mia deziro (←)havi korespondanton en C^inio realig^is.

<単語>
ni(私達は)havi(持つ)devo(義務) dis-vast-ig-i(広める)mia(私の)plano(計画) vojag^i(旅行する)tra〜(〜を通過して)Eu~ropo(ヨーロッパ) baldau~(間もなく)efektiv-ig^-i(実現する)deziro(望み) korespond-ant-o(文通相手)en(〜に) C^inio(中国) real-ig-i(実現する)

<問題35>********************************************************

 エスペラント作文

1.この(tiu c^i)機械(mas^ino)は、エスペラントを翻訳する(traduki)能力(kapablo)を持っている。

2.私の母は、通信講座(koresponda kurso)(per) エスペラントを学ぼ(lerni)うとしている。
  (Mia patrino havas intencon... で始めて)

3.世界エスペラント大会(la Universala Kongreso de Esperanto)に参加するという 私の(revo)は
  今年(en tiu c^i jaro)  実現する(realig^i)だろう。 ~~~~~~~~ ********************************************************************

第15課:正答例

         ☆★☆ 正答例 第15課 ☆★☆

<問題32>********************************************************

1.その小悪魔はその兄弟を助けるためにやって来た。

2.イワンは仕事を終えるために畑に来ましたか。

3.外国の友達と文通することはおもしろい。

4.世界エスペラント大会に参加するのはあなたにとって初めての経験ですか。

                   など。

<問題33>********************************************************

1. Homoj vivas ne nur por mang^i. 1. Homoj ne vivas nur por mang^i.

2. Ludi gitaron estas g^oje.

3. Mia hobio estas ludi gitaron.        など。

<問題34>********************************************************

1.私達にはエスペラントを広める義務がある。

2.私のヨーロッパ旅行の計画はまもなく実現するだろう。

3.とうとう中国人の文通相手ができた。

<問題35>********************************************************

1. Tiu c^i mas^ino havas kapablon traduki Esperanton.

2. Mia patrino havas intencon lerni Esperanton per koresponda kurso.

3. Mia revo partopreni en la Universala Kongreso de Esperanto realig^os en tiu c^i jaro.

3. Mia revo partopreni la Universalan Kongreson de Esperanto realig^os en tiu c^i jaro.

                    など。 ********************************************************************


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