継続講座受講案内
1.ネットワーカーに贈るエスペラント語継続講座について
☆ この講座は、1990年4月から7月にかけてエスペラントSIG「LERNEJO」で行なわれた講習会のテキストと記録を編集して、常設のエスペラント講座として公開するものです。
☆ 入門講座から引続き、第27課から始まり、第39課で終わります。この継続講座は、受講登録などの手続は必要ありません。
☆ この教材は、入門講座の教材と共に、転載や、ハードコピーによる配付が次の条件のもとで自由です。
(1)出典(PCVANエスペラントSIG)を表示する。
(2)下記の沼津エスペラント会宛に通知する。
2.この通信講座の目標
(1) 相関詞、分詞構文、関係詞、文型など高度な文法事項を理解する
(2) 辞書を用いて、論理的で複雑な文章を読解し、書くことができる
ことを目標とします。この講座を修了すれば、エスペラント文法の全体を概観し理解したことになります。修了後さらに訓練を積めば、エスペラントを自分のものとして自由に読んだり書いたり話したりできるようになります。
3.学習の進め方
☆ この講座は、随時受講することができます。改めて登録の必要はありませんが、受講開始に当って、エスペラントSIG「フォーラム」の「LERNEJO」に、その旨書込んでいただければ、たいへん幸甚に存じます。エスペラントについて、あなたのご感想などもお聞かせ下さい。
☆ また、講座の内容などについて、ご質問やご感想がありましたら、「LERNEJO」に次ぎの形式で書込んで下さい。迅速にお答えします。
質問:第○課:(○○について)/あなたのお名前
感想:第○課:(○○について)/あなたのお名前
( )の部分は省略して頂いても結構です。
☆ この講座の教材についてご質問があれば、エスペラントSIGフォーラム・LERNEJO上でお答えしますが、電話・郵便での問合せにも応じます。下記宛にご連絡下さい。専従者がいますから、日中の問合せにも応じられます。
◎沼津エスペラント会;410沼津市岡一色 501;
◎電話 0559-22-3783(FAX兼用)
第27課[1/2]:相関詞(1)
27−0.はじめに
☆<kio? kiu? kia?...>などの疑問詞についてはすでに学びましたが、これらの疑問詞は、この課で挙げるエスペラントの相関詞の一部をなしています。この課では、エスペラントの相関詞の、物事や場所・時間・方法を指示する働きを中心に勉強します。
☆次に相関詞の形と意味の表をあげます。一度に暗記する必要はありません。この表全体の規則的な構成を理解して下さい。具体的なエスペラントの文章に出てくる度に憶えていくほうが効果的です。
☆この課は、次の2つの部分に別れています。
第27課[1/2]:相関詞(1)
第27課[2/2]:相関詞(1)
27−1.相関詞のしくみ
物・事
(一般) |
人・物
(個別) |
性質
様子 |
所有 | 場所 | 方法 | 理由 | 時 | 数量 |
-o | -u | -a | -es | -e | -el | -al | -am | -om |
<ki-> 疑問・関係 | ||||||||
kio | kiu | kia | kies | kie | kiel | kial | kiam | kiom |
<ti-> 指示 | ||||||||
tio | tiu | tia | ties | tie | tiel | tial | tiam | tiom |
<i-> 不定 | ||||||||
io | iu | ia | ies | ie | iel | iel | iam | iom |
<c^i> 普遍 | ||||||||
c^io | c^iu | c^ia | c^ies | c^ie | c^iel | c^iel | c^iam | c^iom |
<neni-> 否定 | ||||||||
nenio | neniu | nenia | nenies | nenie | neniel | neniel | neniam | neniom |
☆上の表にまとめた相関詞には次のような働きがあります。
○ 疑問詞としての働き <なに?、だれ?どれ?…>
○ 物事や場所・時間・方法を指示する働き
<これ、あれ…>
<この〜、あの〜、どの〜…>
<このように、そういうわけで、その時、そこで…>
○ 関係代名詞 <〜する(ところの)…>
☆疑問詞としての用法は、入門講座で学習しました。関係詞としての用法については後で学びます。この課では、相関詞の、物事や場所・時間・方法を指示する働きを中心に学習します。
☆上の表から、エスペラントの相関詞が語頭<ki-, ti-, i-, c^i-, neni->と語尾<-o,
-u, -a, -es, -e, -el, -al, -am, -om>の部分からなり、意味が整然と整理さていることがわかります。
☆語頭:
<ki-> 疑問と関係詞
<ti-> 指示
<i-> 不定
<c^i-> 普遍(全て)
<neni-> 否定
☆語尾:
<-o> 一般の物や事柄
<-u> 個別の人や物
<-a> 性質
<-es> 所有
<-e> 場所
<-el> 方法・様子
<-al> 理由
<-am> 時間や時期
<-om> 数量
☆上の語頭と語尾を組合せることによって、さまざまな働きを持たせること ができます。
○ ki (疑問)+ o (物・こと) = kio 何?
○ ki (疑問)+ u (人) = kiu だれ?
○ ti (指示)+ e (場所) = tie そこに
○ ti (指示)+ el (方法) = tiel ていることがわかり
☆語頭:
<ki-> 疑問と関係詞
<ti-> 指示
<i-> 不定
<c^i-> 普遍(全て)
<neni-> 否定
☆語尾:
<-o> 一般の物や事柄
<-u> 個別の人や物
<-a> 性質
<-es> 所有
<-e> 場所
<-el> 方法・様子
<-al> 理由
<-am> 時間や時期
<-om> 数量
☆上の語頭と語尾を組合せることによって、さまざまな働きを持たせること ができます。
○ ki (疑問)+ o (物・こと) = kio 何?
○ ki (疑問)+ u (人) = kiu だれ?
○ ti (指示)+ e (場所) = tie そこに
○ ti (指示)+ el (方法) = tiel そのように
○ i (不定)+ am (時) = iam いつか
○ c^i (普遍)+ o (物・こと) = c^io あらゆる物(
☆ただし、<c^ial><nenial>など、意味から考えて、使用頻度が低い組合せもあります。 ☆上の表の縦に1段ずつ例文をあげます。
27−2. kio, tio, io, c^io, nenio
☆<kio, tio, io, c^io, nenio>は、ひと固まりの<物・事柄>を受けたり指示したりします。実体の漠然としたものや、明らかでないものを示しま
す。
kio | tio | io | c^io | nenio |
何? | それ;あれ;
その事(もの) |
何か | 万事 | 何(事)も
〜ない |
[例文]−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(1) Kio estas tio? G^i estas hundo.
(2) Kio estas sur la tablo? C^u tio estas io mang^ebla?
(3) Mi donacas al vi c^ion. C^ar mi bezonas nenion.
(4) Nenio interesa trovig^as en tiu c^i filmo.
(5) Oni diras, ke Akiko edzinig^is. C^u vi scias tion?
<単語>
kio(何?) tio(あれは) hundo(犬) esti(〜がある) sur(〜の上に)tablo(テーブル)mang^-ebl-a(食べられる)
donaci(あげる)c^io(何でも)c^ar(なぜなら) bezoni(必要とする) nenio(何も〜ない)interesa(面白い)
trovig^i(〜がある) en〜(〜の中に) tiu〜(その〜) filmo(映画)oni(人は)diri(言う)
Akiko(人名:晶子) edzinig^i(妻になる>結婚する) vi(あなたは)scii(知っている)tio
c^i(このこと)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
☆上の表の相関詞はみな名詞語尾<-o>で終っていることに注意して下さい。これらは、文の中では名詞の働きを持っています。
☆<kio, tio, io, c^io, nenio>は、ひと固まりの<物・事柄>を受けたり指示したりします。実体の漠然としたものや、明らかでないものを示しますから、意味から考えて、複数語尾<-j>はなじみませんが、必要に応じて対格語尾<-n>をとります。
○ kio? → kion? 何(が)? → 何を?
○ tio → tion それ(が) → それを
○ io → ion 何か(が) → 何かを
○ c^io → c^ion すべて(が) → すべてを
○ nenio → nenion なにも〜ない → 何ものをも〜ない
× kioj, tioj, ioj, c^ioj, nenioj
× kiojn, tiojn, iojn, c^iojn, neniojn
☆<io>(何か)<c^io>(すべて)<nenio>(何も〜ない)は形容詞を後につけます。その方が言葉の「すわり」がよいのです。
○ io (←) bela 何か(←)美しいもの(が)
○ ion (←) belan 何か(←)美しいものを
○ c^io (←) bela 全て (←)美しいもの(が)
○ c^ion (←) belan 全て(←)美しいものを
☆<nenio>(何も〜ない)はこの単語自体が否定の意味を含んでいます。
○ nenio (←) bela 美しい(→)何ものも…ない
○ nenion (←) belan 美しい(→)何ものをも…ない
(1) あれは何だ? あれは犬さ。
(2) テーブルの上に何があるんだ。何か食べられるものか。
(3) みんな君にあげるよ。僕は何もいらないから。
(4) この映画には、何も面白いことがない。
(5) 晶子さんが結婚したそうだ。そのことを知っていたかね。
第27課[2/2]:相関詞(1)
<問題61>********************************************************
つぎのエスペラント文を日本語にして下さい。また、日本文をエスペラントにして下さい。
1. Kion vi volas mang^i?
2. Donu al mi ion dolc^an.
3. Kio estas tio? G^i estas japana kuko.
4. Mi volas scii c^ion pri vi.
5. La ministro konfesis al ni nenion veran.
6. 僕(mi)は、甘いものなら何でも好きだ(ami)。でも(sed)、今(nun) 食べたく(voli mang^i)ない。
<単語>
vi(あなたは) voli〜(〜したい) mang^i(食べる) doni(与える) al〜(〜に)
mi(私) dolc^a(甘い) g^i(それは) japana(日本の)kuko(お菓子) scii(知っている)
pri〜(〜について)ministro(大臣) konfesi(打明ける) ni(私たち) vera(真実の)
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27−3. kiu, tiu, iu, c^iu, neniu
☆<kiu, tiu, iu, c^iu, neniu>は、<人・物>を個別に受けたり指示する相関詞です。
kiu | tiu | iu | c^iu | neniu |
誰?
どれ? |
その人
その物 |
誰か
ある人 |
みな
めいめい |
誰も(何も)
…ない |
☆[ kiu, tiu, iu, c^iu, neniu +名詞]の場合
kiu + | tiu + | iu + | c^iu + | neniu + |
どの〜? | その〜 | ある〜 | あらゆる〜 | どの〜も
…ない |
[例文]−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(6) Kiu li estas? Li estas s-ro Yamamoto.
(7) Kiujn vi amas? Mi amas miajn gepatrojn.
(8) Taro donacis al mi librojn. Tiuj libroj estas interesaj.
(9) C^u iuj volas legi tiujn librojn?
(10) C^u iu estas en la c^ambro? Mi trovas neniun. Neniu estas en la c^ambro.
(11) C^iu havas sian propran ideon.
<単語>
kiu(誰?)li(彼は)s-ro〜(〜さん<sinjoro>:敬称) kiujn(誰を?)vi(あなたは)ami(愛する)mi(私は)
ge-patro-j(両親)donaci(進呈する)al〜(〜に) libro(本)tiuj〜(その〜)interesa(面白い)
iu(誰か)voli〜(〜したい)legi(読む)tiu (その) en〜(〜の中に)c^ambro(部屋)trovi(見出す)
neniu(誰も〜ない)esti(いる)c^iu(めいめいが) havi(持つ)sia(自分の)
propra(独自の)ideo(考え)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
☆<kiu, tiu, iu, c^iu, neniu>は、それぞれ、文の中での働きによって、また、意味から考えて必要であれば、複数語尾<-j>や対格語尾<-n>をとります。
☆<neniu>は否定の意味を含んでいます。意味は<誰も〜ない、どの〜も…ない>です。
○ kiu? → kiun? 誰;どれ(が)? → 誰(どれ
○ kiuj? → kiujn? 誰たち(が)? → 誰たちを?
○ tiu → tiun その人(が) → その人を
○ tiuj → tiujn その人達(が) → その人達を
○ iu → iun 誰か(が) → 誰かを
○ iuj → iujn 誰かたち(が) → 誰かたちを
○ c^iu → c^iun めいめい(が) → めいめいを
○ c^iuj → c^iujn みんな(が) → みんなを
○ neniu → neniun 誰も〜ない → 誰をも〜ない
☆<kiu, tiu, iu, c^iu, neniu>は、つぎに名詞を従えて、<どの〜;その〜;ある〜;あらゆる〜;どの〜も…ない>という意味になることもあります。それぞれ、文の中での働きによって、また、意味から考えて必要であれば、複数語尾<-j>や対格語尾<-n>をとります。
○ kiu libro? → kiun libron? どの本(が)?→どの本を?
○ kiuj libroj? → kiujn librojn?
○ tiu libro → tiun libron その本(が)→その本を
○ tiuj libroj → tiujn librojn それらの本(が)→それらの本を
○ iu libro → iun libron どれかの本(が)→どれかの本を
○ iuj libroj → iujn librojn
○ c^iu libro → c^iun libron それぞれの本(が)→それぞれの本を
○ c^iuj libroj → c^iujn librojn あらゆる本(が)→あらゆる本を
○ neniu libro → neniun libron どの本も〜ない→どの本をも〜ない
(6) あの方はどなたですか。 彼は山本さんです。
(7) 誰が好きなんだい。両親さ。
(8) 太郎が僕に本をくれた。その本は面白かった。
(9) 誰かその本が読みたい人はいますか。
(10) 部屋の中に誰かいるのか。誰も見えない。誰も部屋にいない。
(11) 誰でも自分なりの考えがあるものさ。
<問題62>********************************************************
つぎのエスペラント文を日本語にして下さい。また、日本文をエスペラントにして下さい。
1. Kiu kurag^as rajdi leonon?
2. Tiuj krajonoj estas longaj.
3. C^u iuj el vi volas havi korespondanton ekster Japanio?
4. Nia instruisto donis ekzamen-folion al c^iu el ni.
5. Neniun mi intencis malhelpi.
6. 私たち(ni)のめいめいが車(au~to)を持って(havi)いる。 しかし(sed)、私たちの誰も、家(domo)を持っていない。
<単語>
kurag^i〜(〜する勇気がある)rajdi(乗る)leono(ライオン) krajono(鉛筆)longa(長い)el〜(〜のうちの)vi(あなたがた)
voli〜(〜したい)havi(持つ) korespond-ant-o(文通相手) ekster〜(〜の外に)Japan-i-o(日本)nia(私たちの)
instru-ist-o(教師)doni(与える)ekzamen-folio(試験用紙) al〜(〜に)intenci〜(〜しようとする)mal-helpi(妨害する)
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第27課:正答例
☆★☆ 正答例 第27課 ☆★☆
<問題61>********************************************************
1.あなたは何が食べたいのですか?
2.私に何か甘いものをください。
3.それは何ですか。 和菓子です。
4.僕は君の全てが知りたい。
5.大臣は私達に真相を何も打ち明けなかった。
6.Mi amas c^ion dolc^an, sed nun nenion mi volas mang^i. など。
<問題62>********************************************************
1.誰が敢えて獅子にまたがろうとするか。
2.それらの鉛筆は長い。
3.皆さんの中で、外国人と文通したい人がいますか。
4.私達の教師は私たちめいめいに試験用紙を配った。
5.私は誰も邪魔するつもりはありませんでした。
6.C^iu el ni havas au~ton, sed neniu el ni havas domon.
など。********************************************************************