第30課[1/2]:分詞(2)
30−0.はじめに
☆第29課では、分詞名詞、分詞形容詞、分詞副詞の用法を学びました。それぞれ、動作の意味を含んだ名詞、形容詞、副詞の役割を持っていました。
☆分詞形容詞は、<esti>と組合せて複雑な時制や、受身の表現を作ることができます。
☆この課は、次の2つに別れています。
第30課[1/2]:分詞(2)
第30課[2/2]:分詞(2)
30−1.混成時
☆<estiなどの動詞+動詞語根+分詞接尾辞(-ant-, -int-, -ont-)+形容詞語尾(-a)>で、時間の関係が複雑な文を表現する事ができます。
☆<estas+動詞語根+(-anta, -inta, -onta)> 現在を基準とした<進行、完了、予定>
<現在…>
○ Mi estas skribanta leteron. (手紙を書いている)
○ Mi estas skribinta leteron. (手紙を書いてしまった)
○ Mi estas skribonta leteron. (手紙を書こうとしている)
☆<estis+動詞語根+(-anta, -inta, -onta)> 過去を基準とした<進行、完了、予定>
<過去のある時に…>
○ Mi estis skribanta leteron. (手紙を書いていた)
○ Mi estis skribinta leteron. (手紙を書いてしまっていた)
○ Mi estis skribonta leteron. (手紙を書こうとしていた)
☆<estos+動詞語根+(-anta, -inta, -onta)> 未来を基準とした<進行、完了、予定>
<将来のある時に…>
○ Mi estos skribanta leteron. (手紙を書いているだろう)
○ Mi estos skribinta leteron. (手紙を書いてしまっているだろう)
○ Mi estos skribonta leteron. (手紙を書こうとしているだろう)
☆<estus+動詞語根+(-anta, -inta, -onta)>で、仮定法の時制を詳しく表現する事ができます。
○ Se Taro estus skribanta leteron, ... (万一、太郎が手紙を書いているとするならば...)
○ Se Taro estus skribinta leteron, ... (万一、太郎が手紙を書いてしまったとするならば...)
○ Se Taro estus skribonta leteron, ... (万一、太郎が手紙を書こうとするならば...)
☆<esti>との組合せで、様々な表現が可能です。しかし、分詞を用いた混成時の表現は、厳密さを要求されるときなど、特殊な場合以外は用いられません。表現としては重苦しいのです。例えば:
Mi estas skribanta leteron. ならば、
Mi (nun) skribas leteron. (現在形) で、
Mi estas skribinta leteron.
ならば、 Mi (jam) skribis leteron.(過去形) で、
Mi estas skribonta leteron.
Mi (tuj) skribos leteron. (未来形) で十分です。
<単語>
nun(今) jam(すでに、もう) tuj(すぐに、ただちに)
<問題75>********************************************************
次のエスペラント文を日本語にして下さい。
1. Mi estas ekvojag^onta al Kioto.
2. Miaj pli junaj fratoj estas pakintaj mian valizon.
3. Post kelkaj horoj, mia vagonaro estos veturanta preter la stacio Nagoya.
4. Se la Dua Mondo-milito ne estus okazinta, mia patro ankorau~ vivus.
<単語>
ek-vojag^i(<旅行に>出発する)al〜(〜へ) Kioto(京都) pli juna(より若い)frato(兄弟)paki(つめる)
valizo(旅行かばん)post〜(〜後)kelkaj〜(幾つかの〜) horo(時間)vagon-ar-o(列車)
veturi(<乗物が>走る) preter〜(〜のわきを)stacio(駅) Nagoya(名古屋)
se〜(もし〜なら)la Dua Mondo-milito(第2次世界大戦) okazi(起こる)patro(父親)ankorau~(まだ)vivi(生きている)
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第30課[2/2]:分詞(2)
30−2.受身表現
☆<estiなどの動詞+動詞語根+受身の分詞接尾辞(-at-, -it-, -ot-)+形容詞語尾(-a)>で、受身の表現(〜される)ができます。
☆<estas+動詞語根+(-ata, -ita, -ota)> 現在を基準とした受身の<進行、完了、予定>
<現在…>
○ Letero estas skribata de Taro. (太郎に書かれている)
○ Letero estas skribita de Taro. (太郎に書かれてしまった)
○ Letero estas skribota de Taro. (太郎に書かれようとしている)
☆<estis+動詞語根+(-ata, -ita, -ota)> 過去を基準とした受身の<進行、完了、予定>
<過去のある時に…>
○ Letero estis skribata de Taro. (太郎に書かれていた)
○ Letero estis skribita de Taro. (太郎に書かれてしまっていた)
○ Letero estis skribota de Taro. (太郎に書かれようとしていた)
☆<estos+動詞語根+(-ata, -ita, -ota)> 未来を基準とした受身の<進行、完了、予定>
<未来のある時に…>
○ Letero estos skribata de Taro. (太郎に書かれていることだろう)
○ Letero estos skribita de Taro. (太郎に書かれてしまっているだろう)
○ Letero estos skribota de Taro. (太郎に書かれようとしているだろう)
☆<estus+動詞語根+(-ata, -ita, -ota)>で、受身の仮定法を表現する ことができます。
○ Se la letero estus skribata de Taro, ...(万一その手紙が太郎に書かれているとするなら...)
○ Se la letero estus skribita de Taro, ...(万一その手紙が太郎に書かれてしまったとするなら...)
○ Se la letero estus skribota de Taro, ...(万一その手紙が太郎に書かれようとしているなら...)
☆混成時と同様に、受身についても<esti>との組合せで様々な表現が可能です。しかし、これも、表現としては重苦しい印象があります。
☆前置詞<de>は受身表現で使われる場合、動作の行為者<〜によって>を表わします。<de>には、<〜の…;〜から>など、この他にもいくつかの意味があるので注意して下さい。
[例文]−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
○ Tiu c^i letero estis skribita de Taro.(受身の行為者)
○ Mi havas leteron de Taro. (所有・所属)
○ Taro venis de Tokio. (出発点)
<単語>
tiu c^i〜(この〜)letero(手紙)skribi(書く) de(〜によって)havi(持っている)
…de〜(〜の…)veni(来る)de〜(〜から) Tokio(東京)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
○ この手紙は太郎に(よって)書かれた。
○ 僕は太郎の手紙を持っている。
○ 太郎は東京から来た。
☆たとえば、「ビンが割れた」という事実に対して、つぎのような3通りの 表現ができます。
[例文]−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
○ La botelo estas rompita. (受身表現)
○ Oni rompis la botelon. (一般人称の<oni>を用いる)
○ La botelo rompig^is. (他動詞を自動詞化する)
<単語>
botelo(ビン) rompi(壊す) oni(<一般人称>) romp-ig^-i(壊れる)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
☆エスペラントでも民族語と同じように、1つの事柄にたいして、いくつかの表現の方法があります。さまざまな表現の形を用いることで、文を変化に富んだものにできます。
<問題76>********************************************************
違いに注意して、次のエスペラント文を日本語にして下さい。直訳でかまいません。
1. Taro amas Keiko'n.
Keiko estas amata de Taro.
2. Mi j^etis la pilkon.
La pilko estas j^etita de mi
3. La problemo estas solvita.
Oni solvis la problemon.
La problemo solvig^is.
4. Se la Dua Mondo-milito ne estus okazigita, mia patro ankorau~ vivus.
<単語>
ami(愛する)de〜(〜によって)j^eti(投げる) pilko(ボール)problemo(問題)solvi(解く)
oni(人は<一般人称>)se〜(もし〜なら) la Dua Mondo-milito(第2次世界大戦)okazi(起こる)
patro(父親) ankorau~(まだ)vivi(生きている)
<問題77>********************************************************
次の日本文を、受身の形を使ってエスペラント文にして下さい。(問題の日本文は訳しやすいように、日本語としては不自然な形にしてあります)
1.エスペラントは 世界中で 話されている。 (en la tuta mondo; paroli)
2.この物語は、漱石によって 書かれましたか。 (tiu c^i rakonto; verki)
3. はい、それは 彼によって 書かれました。 (g^i; li)
4.エスペラントの本は、この書店(の中)で売られていません。 (libroj en Esperanto; libro-vendejo; vendi)
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☆分詞のまとめ
☆分詞名詞
<能動的>
○ …anto …する者 <進行中>
○ …into …した者 <完了>
○ …onto …しようとする者 <未然>
<受身的>
○ …ato …される者 <進行中>
○ …ito …された者 <完了>
○ …oto …されようとする者 <未然>
☆分詞形容詞
<能動的>
○ …anta〜 …している〜 <進行中>
○ …inta〜 …した〜 <完了>
○ …onta〜 …しようとする〜 <未然>
<受身的>
○ …ata〜 …されている〜 <進行中>
○ …ita〜 …された〜 <完了>
○ …ota〜 …されようとする〜 <未然>
☆分詞副詞
<能動的>
○ …ante …しながら <進行中>
○ …inte …して <完了>
○ …onte …しようとして <未然>
<受身的>
○ …ate …されながら <進行中>
○ …ite …されて <完了>
○ …ote …されようとして <未然>
☆混成時
○ est(-as,-is,-os,-us) …anta
○ est(-as,-is,-os,-us) …inta
○ est(-as,-is,-os,-us) …onta
☆受身表現
○ est(-as,-is,-os,-us) …ata
○ est(-as,-is,-os,-us) …ita
○ est(-as,-is,-os,-us) …ota
第30課:正答例
☆★☆ 正答例 第30課 ☆★☆
<問題75>********************************************************
1.私は京都へ出発しようとしています。
2.私の弟達が私の旅行鞄を詰めてしまいました。
3.数時間後には私の列車は名古屋駅を通過するでしょう。
4.もし第二次世界大戦が起こらなかったとしたら、私の父はまだ生きていることでしょう。
など。
<問題76>********************************************************
1. Esperanto estas parolata en la tuta mondo.
2. C^u tiu c^i rakonto estis verkita de Soseki?
3. Jes, g^i estis verkita de li.
4. Libroj en Esperanto ne estas vendataj en tiu c^i librovendejo. など。
<問題77>********************************************************
1.太郎は恵子を愛しています。
恵子は太郎によって愛されています。
2.私はボールを投げました。
ボールが私によって投げられました。
3.その問題は解かれました。
人はその問題を解きました。
その問題が解けました。
4.もし第二次世界大戦が起こされなかったとしたら、私の父はまだ生きていることでしょう。
など。