ネットワーカーに贈るエスペラント語入門講座 第9課

第9課(1):再帰代名詞

9−0.はじめに

☆第8課では、人称代名詞と所有代名詞を学びました。エスペラントの人称代名詞が、英語などのような単語自身が変形してしまうのではなく、むしろ格助詞をつけて表現する日本語に似ていました。

☆第9課では、耳慣れない用語ですが、再帰代名詞と一般人称を学びます。この課は、つぎの2つの部分に分れています。

☆この講座についてのご感想があれば、<LERNEJO>に書込んで下さい。

第9課(1):再帰代名詞
第9課(2):一般人称

9−1.再帰代名詞<si, sia, sin>

☆再帰代名詞は日本語の<自分の〜:自分を:自分に>に当る単語です。

9−1−1.一人称・二人称の再帰代名詞

例文−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(1) Mi amas min.
(2) Ni amas niajn gepatrojn.
(3) C^u vi amas vin mem?
(4) C^u vi amas viajn proprajn gepatrojn?

<単語>
mi(私は) ami(愛する) min(私を→自分を) ni(私達は)niaj(私達の→自分たちの)gepatroj(両親) C^u〜(〜ですか?)vi(あなたは) vin mem(あなた自身を→自分自身を) via propra(あなた自身の→自分自身の)
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☆1人称・2人称<mi; vi; ni>が主語に当る時は、再帰代名詞としての特別な形は必要ありません。それぞれ、<mia, min; via, vin; nia, nin>で す。

○ mi → mia, mian, miaj, miajn
○ vi → via, vian, vin, viajn
○ ni → nia, nian, nin, niajn

(1) 僕は自分を愛する。
(2) 私達は自分達の(私たちの)両親を愛する。

☆<mem,propra>は、それぞれ<〜自身、〜自身の>と、意味を強める単語です。<mem>は、副詞です。<propra>は語尾から解る通り形容詞です。

(3) 君は自分自身を愛するか。
(4) 君は自分自身の両親を愛するか。

9−1−2.三人称の再帰代名詞<si>

例文−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(5) Li batis s^in.
(6) Li batis sin.

(7) Tomoko ekiris al Hokkaido kun s^ia filo.
(8) Tomoko ekiris al Hokkaido kun sia filo.

(9) S^i lau~dis sian propran agon.

(10) S^i diris al si mem ion.

(11) Taro vestis sin per jako.

(12) Taro kaj lia frato log^as kune.

<単語>
li(彼は) bati(たたく) s^in(彼女を) sin (自分を)Tomoko(友子) ekiri(出発する) al〜(〜へ) kun〜(〜と共に)s^ia(彼女の) sia(自分の) filo(息子)s^i(彼女は) lau~di(誉める) sia propra(自分自身の) ago(行ない) vesti…per〜(…に〜を着せる) jako(上着) diri al si(自分に言う→独り言を言う) io(何か) lia(彼の) frato(兄弟) log^i(住む) kune(一緒に)
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☆主語が3人称<li,s^i,g^i,ili>のときには再帰代名詞<si,sia,sin>を使います。字上符<^>がつかない点に注意して下さい。

☆(5)と(6)の意味の違いに注意して下さい。字上符<^>がついた<s^i,s^ia,s^in>とつかない<si,sia,sin>の意味は、まったく違います。

○ li → s^in 彼は → 彼女を
○ li → sin 彼は → 自分を

(5) 彼は彼女をなぐった。
(6) 彼は自分を打った。

☆(7)では、友子は誰か別人の息子と北海道へ発ったのにたいして、(8)では、友子は自分の息子と出発したのです。

○ Tomoko s^ia 友子は  (別人の)彼女の
○ Tomoko sia 友子は  自分の

(7) 友子は彼女の息子と北海道へ出発した。(友子≠彼女)
(8) 友子は自分の息子と北海道へ出発した。

☆<mem,propra>は、それぞれ<〜自身、〜自身の…>と、意味を強める単語です。

(9) 彼女は自分自身の行ないを誉めた。
(10) 彼女は何か独り言を言った。(彼女は自分自身に何か言った)

☆再帰代名詞<sin>を用いることで、<vesti>(着せる)などの他動詞(主語の動作や影響が他に及ぶ動詞;開ける,閉める,飛ばす など)を自動詞(主語の動作や影響が他に及ばない動詞;開く,閉まる,飛ぶ など)のように働かせることができます。

○ vesti   着せる        (他動詞)
○ vesti sin 着る(←自分に着せる)(自動詞として働く)

(11) 太郎は上着を着た。(太郎は自分に上着を着せた)

☆再帰代名詞は、文の主語と対になって用いられるものなので、それ自身が文の主語になることはありません。したがって(12)の文で、<太郎とその弟は>はという主語の部分に、再帰代名詞<si>を使うことはできません。

× Taro kaj sia frato log^as kune.

(12) 太郎と彼の弟は一緒に住んでいる。

☆しかし、(12)の例文では太郎(Taro)とこの彼(li)が同一人物であるかどうかは、文の前後関係からしかわかりません。<太郎とその弟>と意味を明確にするには、冠詞を用いて次のように表現します。

Taro kaj la frato log^as kune.

☆★☆ 再帰代名詞のまとめ☆★☆

一人称・二人称のとき

○ mi → mia, mian, min, miaj, miajn
○ vi → via, vian, vin, viaj, viajn
○ ni → nia, nian, nin, niaj, niajn

三人称のとき

○ Taro (li)       → sia, sian, sin, siaj, siajn
○ Keiko (s^i)      → sia, sian, sin, siaj, siajn
○ Taro kaj Keiko (ili) → sia, sian, sin, siaj, siajn

<問題20>********************************************************

 つぎの組のエスペラント文を、違いに注意して日本語にして下さい。

1. Li log^as en lia domo. (Li≠lia)
  Li log^as en s^ia domo. (Li≠s^ia)
  Li log^as en sia domo. (Li=sia)
  Li log^as en mia domo. (Li≠mia)

2. Ili renkontis iliajn amikojn. (Ili≠iliaj)
  Ili renkontis siajn amikojn. (Ili=siaj)
  Ili renkontis s^iajn amikojn. (Ili≠s^iaj)

<単語>
li(彼は) log^i(住む)en〜(〜の中に) domo(家) ili(彼らは)renkonti(出会う) amiko(友人)

<問題21>********************************************************

 エスペラント作文

1.私は、自分の本を 彼女にあたえた。

2.彼女は、自分の本を 私にくれた。

<単語のヒント>
私は<mi> 〜に <al〜> 彼女に<al s^i>、私に<al m 彼女は<s^i> 本<libro> 与えた、くれた<donaci> ********************************************************************

第9課(2):一般人称

9−2.一般人称<oni>

☆<oni>は、特定できない一般人称を表わします。

例文−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(13) Oni parolas la japanan lingvon en Japanio.
(14) Oni diras, ke li malsanig^is.

<単語>
oni(<一般的に>人は) paroli(話す) la japana lingvo(日本語)en〜(〜で) Japanio(日本<国名>) diri(言う) ke〜(〜ということを)li(彼は)malsanig^i(病気になる)
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☆<oni>は、日本語の<(一般的に)人は…;世間が…;〜だそうだ>に当ります。

(13) 日本では日本語が話されている。
  (直訳:日本では、人は日本語を話している)
(14) 彼は病気になったそうだ。
  (直訳:彼が病気になったと、人は言っている)

☆参考☆ 英語の<we, they>なども一般人称を表わすことがあります。エスペラントとの類似点に注目して下さい。

<問題22>********************************************************

 一般人称に注意して日本語にして下さい。

1. Oni parolas Esperanton en internaciaj kunvenoj.

2. Oni kredas, ke li estas instruisto.

<単語>
paroli(話す) en〜(〜で) internacia kunveno(国際会議) kredi(信じる)ke〜(〜ということを) li(彼は) instruisto(教師)
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第9課:正答例

         ☆★☆ 正答例 第9課 ☆★☆

<問題20>
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1.
  (1) 彼はその人の家に住んでいます。
  (2) 彼は彼女の家に住んでいます。
  (3) 彼は自分の家に住んでいます。
  (4) 彼は私の家に住んでいます。    など。

2.
  (1) 彼らはあの人達の友達に出会った。
  (2) 彼らは自分達の友達に出会った。
  (3) 彼らは彼女の友達に出会った。  など。

<問題21>********************************************************

1. Mi donacis mian libron al s^i.
  Mi donacis al s^i mian libron. など。

2. S^i donacis sian libron al mi.
  S^i donacis al mi sian libron. など。

<問題22>********************************************************

1.国際会議ではエスペラントが話されている。
2.みんな彼が教師だと信じている。          など。

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