第13回  FW論---日本の問題点---
 Jリーグの優勝争いもエスパルス、ジュビロが抜け出した。最終戦の静岡ダービーで決まりそうだ。今から楽しみである。(チケットが手に入ると良いのだが)
 それにしてもジュビロというチームは(エスパルスファンとしては)敵ながら強い。では何がジュビロの強さか・・・私なら『FWの力』と言いたい。日本一のストライカーに成長した「ゴン中山」、そして「高原」という2人に加え、ラドチェンコ、川口と点の取れるストライカーが多い。では、何故彼らが点を取れるのだろう。彼らが『うまい』、言い換えると『技術がある』かと言えば、高原を除いてはそうとはいえないと思う。(あくまで独断です)それでも点が取れる。そこの理由について考えてみたい。
 まず1つ目に、FWにパスを出すMFの問題があげられる。藤田、奥、服部の3人は一人で切り崩しシュートまでもっていける。そして、そのゴールに向かう姿勢を試合中続けている。それによってディフェンスは彼らに気を配らなくてはならず、そこでFWのマークがはずれる。彼らは攻撃的なパス(スルーパス、クロス)も得意であり、ディフェンスの集中がFWから離れたところでパスを出しているから、FWは難なく決められる。そういった流れは、ジュビロの試合の中では幾度となく見られる。
 しかし、良いMF(攻撃的なMF)がいるチームは、他にもある。では、何故ジュビロのFWは他より力があるように見えるのか。その答えに近いものを新聞で見つけたので書き出してみたい。

 ”「ボールを打ったら一塁に走る。日本人は、野球をやる時はオートマチックなプレーをするのに、サッカーになるとそれがまるでなくなってしまう」  ・・・中略・・・  冒頭の言葉は、今から3年前、ジュビロの主将だったドゥンガが言ったものである。攻撃をする上で、個人のイマジネーションが必要なのは間違いない。しかし、日本の場合は、全てをイマジネーションに頼ってしまっている。CS中継をやっているため、私はバルセロナの試合をよく見るのだが、たとえば右サイドをフィーゴが突破した場合はクライファートがニアに走り込む、といった具合に、明確な決まり事の存在を確認することができる。私は、ニアに走り込むという決まり事を持った上で、どういうタイミングで、いかなる角度で入っていくかを考えるのが、イマジネーションだと思うのだ。  ・・・中略・・・  これまで、日本のサッカーはあまりにも悪い意味で自由だった。ドゥンガの言う「オートマチック」を感じさせるチームはJリーグでも数えるほどしかなく、それはトルシエの日本代表についても当てはまった。守備の「オートマチック」はあっても、攻撃に関するものはなかった。”

 これは、とあるスポーツライターが書いたものだが、「ドゥンガ」のチームだけあって、ジュビロには今も『オートマチック』を感じる。そして、日本代表にはそれが感じられない。駒はあるはずである。あとはそれを動かす為のプログラミングをする人・・・解任もやむおえないような気もする。日本代表、そして日本サッカーのさらなる向上はここから始まる。いや始めるべきだと思う。

 (2000.5.4)