第15回  善戦!ハッサン2世国王杯
 トルシエの去就のかかった」がクローズアップされがちだが、「アウェーで、世界チャンピオンとの試合、それも国際大会」という、日本代表の強化にはまたとない機会となるはずの『ハッサン2世国王杯』が行われた。

 結果は惜しくもPK負けだったが、フランスW杯後,日本のA代表のベストマッチだったと思う。フランスが、ヨーロッパ選手権直前調整中だったということを差し引いても、十分に健闘したと言えよう。こちらのミスさえなければ勝てた試合だったと思う。しかし裏を返せば、こちらのミスをしたたかについたフランスは強く、相手のミスをついた攻撃ができなかった日本はまだまだ・・・とも言える。世界に近づくためには自分たちのミスを減らし、相手のミスをつく。フランスからそんな本当の強さというものを教わった気がする。

 この試合での一番の収穫は「セレッソ大阪」コンビの2トップだったと言える。これは試合を見た人全てがそう感じたと思う。得点シーンはもちろんだが、2人のコンビネーション、2人と中盤とのコンビネーションから数多くのチャンスを作った内容は今までの代表からは考えられなかったことで、もうこれで2002年まで決定!と言いたくなるほどだった。。特に森島は、日本には今までいなかった1.5列目の仕事を完璧にこなしていたと言えよう。こんなにうまかった?と言いたくなるような出来だった。課題を挙げるとすれば、2人ともに言えることだが、調子の波が大きいので、コンスタントに力を発揮できるようになることであろう。逆に他のFW陣は、そこに付け入る隙があるように思う。今度は「久保竜彦」が見たい。

 もう一つの見所『フラット3』は、フラットとまではいかなかったが、ラインコントロールが良くできていて、さらに1対1も頑張っており、及第点があげられる内容だったと思う。ただ2失点目のプレーは、松田の「若さ」が出てしまった。あそこは1点リードしているのだから、もっとセーフティーにやって欲しかった。また、何度も上がっていく積極性は買うが、フランスはそこをしたたかにねらっていたことにも気付いて欲しかった。このところメンバーが良く替わる『フラット3』だが、誰がやっても遜色ないところまで来たと思う。ほぼ完成したと言っていいと思う。

 そして「トルシエの去就」である。今回の健闘はトルシエの力というより「セレッソ2トップ」の力という感じがした。そういう意味からも、去就に関しては今回だけでは決められないと思う。ただ、中村と三浦淳宏の交代は監督の好采配であり、スタメンの起用などからも、今回は本気で最高のメンバーを組んでいたと思う。「やればできるじゃないか」と言う感想を持った人も多かったと思う。彼の評価を見直す必要はある。

 水曜日(正確には日本時間の木曜日)は、ジャマイカとの「リベンジ」である。スタメンがどうなるのかが楽しみである。ぜひ「久保竜彦」を使って欲しい。そして「KAZU」と「ゴン」(城も?)の花道になることを期待する。彼らの能力云々ではない。2002年に向けて明確な方向性が見たい。

 そして何より「勝ち」が欲しい。これは日本のサッカーファン全員の願いだと思う。

 (2000.6.6)