第16回  ハッサン2世国王杯を終えて
  「日本、ジャマイカにリベンジ!4−0で快勝」

 文章にするとなんだかすごいことをしたように思えるのだが、事実はかなり違う。今回のジャマイカは、W杯の時のジャマイカとは明らかに異なり、モチベーションが低く、目標はあくまで1ヶ月後から始まる2002年予選にあると言う姿勢が見え見えだった。メンバーも,アマチュアが中心だったと報道されていた。このチームに対し、「最終(追)試験」の日本とではやる前から結果は見えていた。そして、予想通りになった。

 こうやって書いてしまうと、全く見所がなかったようにも聞こえてしまうが、成果と課題は少しはあった。
 成果は、「頼れるFW」と「サイドプレーヤー」である。「頼れるFW」とは、スペインに行って、ましなシュートが打てるようになり、2得点をした前エースではない。(もちろん4点目を取ったベテラン「キング」でもない。)ポストプレーヤー西澤である。日本の攻撃は、FWに当ててMFが飛び込むという形が一番だとは思っていたが、彼がそれを可能にした。今までの選手は、ポストの位置に入れるがそれが専門ではないのが見え見えで、本当はスペースに飛び出したい選手ばかりだった。しかし彼は体格にも恵まれており、本格的にポストをこなすことができる。彼を入れることにより、日本の攻撃の選択肢が確実に増えるというアドバンテージは大きい。
 そして「サイドプレーヤー」三浦淳宏である。彼は縦に強い選手で、今までトルシエはこういった選手を選考してこなかった。しかし、それが逆にアクセントとなり、攻撃にリズムを作っている。今までのメンバー(伊東、望月、名波、中村あたり)との併用で、面白い攻撃になりそうである。後もう一人縦に強いプレーヤーがいると尚良い。市川(清水)山田(浦和)西(磐田)あたりが適任か。トルシエは、切り札『アレックス』まで考えているようだが・・・(期待半分)

 課題は・・・・・・この2試合「NAKATA」で戦ってきたことにある。2試合通じてやはりエースは中田だった。相手のマークも見方の信頼も中田だった。そこが危ない。
 98フランス予選、エース「KAZU」で戦ってきた日本は、彼へのキツイマークと彼自身の不調からピンチになった。それを救ったのが「NAKATA」だったが、このように新旧交代がうまくいくのは希である。このことを忘れてはいけないと思う。この2試合を見て、中村が代わりをつとめるにはまだ時間がかかる。小野はさらに伸びていない。名波では・・・

 今現在、日本選手の誰もが中田の成長についていけていない。このままではまた中田が孤立する。そんな気がする。だからといって「海外移籍」は早計である。日本代表クラス2〜30人が海外に行けばいいという問題ではない。個人個人にあった方法があるはずである。シュートがうまくなるのは海外でも日本でも同じだと思う。Jリーグをもっと大切にする姿勢が見たい。西澤、森島が今回それを見せてくれた。見せた上でさらに上を目指す(海外)移籍は歓迎である。急ぎすぎる結論だけはやめて欲しい。
 「NAKATA」抜きの日本代表が、早くもキリンカップで見れるようである。そこで『NAKATA抜き』の限界を知り、さらに上を目指して欲しい。
 
 それと反するようだが、トルシエには「勝ち」を要求したい。良い試合もいらない。2連勝こそが、彼の追試合格ラインだと思う。(オリンピック代表だというのは言い訳になりませんよ。)

 (2000.6.6)