最終予選も始まり、日本は2連勝。98%、いやそれ以上の確率で、シドニーでの勇姿が見られるであろう。これで、あの監督の首も安泰である。まぁ1ファンとしても、さらに上のレベルでの試合が見られるのは、うれしい限りである。 しかし、このままでいいのか?と言う疑問はかなり強い。今日のタイ戦を見て、私なりに気づいた点を挙げたい。
まず1番気になったのが各個人の能力、すなわち個人技の高さである。「何が心配だ。これが日本の良いところではないのか」と思いがちだが、良いところというのは得てして『諸刃の剣』になりがちである。今日の1失点もまさにそのように見えた。リードして楽になった気持ちの綾もあるが、本山のあの場面は、ふつうはヘディングでクリアーである(ように見えた)。中田のトラップミスも同じである。そこだけでなく、足技におぼれている場面がよく見られた。『セーフティーファースト』の意識は、いかなる時も持っておかないとそれが致命傷になりかねない。
攻撃面においても同じ問題がある。球離れが遅いことである。中村俊輔は某テレビ番組で『ファンタジスタ』最有力と言われていた。確かに彼は日本で1番の『ファンタジスタ』であろう。その彼が中盤真ん中に入ると、確かに同じポジションの小野伸二や中田英寿とは異なる攻撃スタイルになる。いい所も多いのだが、それ以上に攻撃のスピ−ドが遅くなる感がある。ダイレクトプレーが少ないのだ。中村のダイレクトプレーは、ワンツーなどの自分が絡んだプレーしかない(とも言い切れないが・・・)。第3の動きを助けるパスというのが2人に比べて少ないのだ。これは相手が強くなるにつれて大きな差になってくる。現代サッカーのインプレー中の得点は、個人のドリブルかダイレクトパスによるディフェンスの分断から生まれるのがほとんどである。そういった点からも、中村のダイレクトプレーに期待したい。彼なら出来るはずだから・・・
最後に日本サッカー界の問題でもあるFWである。今日のタイ戦の平瀬は良かった。福田、高原という2トップの前半は裏へ裏へと言う気持ちがお互いに強すぎてボールがつながる場面が少なすぎた。(チーム戦術だったかもしれない)そこへ、ゴールに背を向けてポストの出来る平瀬が入りうまくいった感がある。(これもトルシエのねらい?)1点目のヘディングでのゴールは、高さをアピールした点でも大きい。
がしかし日本人のFWは、ボールを持って勝負をしない嫌いがある。今日の得点も1タッチで決めたものだけだった。ボールをもらい前を向いた時点で、日本人FWはパスを選択肢の多くに入れている。こういう場面で、特に南米のプレイヤーはドリブルで抜こうとする。GKまで抜く気でいる。こういったギャンブル(リスクを伴う攻撃)を、日本人FWは極力避けようとしているように見える。これでは点は取れない。能力は南米のFWと遜色はないはずである。普段からそういうことをせず、戦術にこだわるサッカーばかりしているのが原因だと思う。誰もが小中学生の時はパスなど考えず、自分で抜いて、自分でシュートを打ち、自分で決める。こんなサッカーをしていたはずである。日本人FWは、もう一度昔を思い出してほしい。
まだまだ問題点はある(監督問題については、また別の機会で)が、一つはっきりしているのが、『解決できない問題はない』ということである。きっと何とかなる。1ファンとしては、そう信じ続けたいと思う。
(1999.10.18)
|