Books Story
1月光ゲーム 2ボーダーライン 3きみにしか聞こえない 4亡国のイージス
5トキオ 6暗いところで待ち合わせ 7ハサミ男 8Twelve Y.O.
9クラインの壷 10疫病神 11蒼穹の昴 12黄金を抱いて翔べ
13海馬 14三国志(1) 15三国志(2) 16三国志(3)
17三国志(4) 18三国志(5) 19三国志(6) 20三国志(7)


Books Old Story


月光ゲーム('02.07.25)★★★★☆
 タイトル:「月光ゲーム」
 サブタイトル:「Yの悲劇’88」
 著者:「有栖川 有栖」

 夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々
 江神部長や有栖川有栖らの一行を、予想だにしない事態が待ち構えていた。
 矢吹山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、一瞬にして陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。
 その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われでもしたように出没する殺人鬼。
 その魔の手にかかり、ひとり、またひとりとキャンプ仲間が殺されていく…。
 いったい犯人は誰なのか。そして、現場に遺されたyの意味するものは何。

 残りわずかのところで「読者への挑戦」なるものが表れた。
 「しかも、推理がまとまりましたら、ページをめくって下さい」と来たもんだ。
 全然わからなかったが、進みましたよ、終わらないから。

 江神部長の推理で納得はしたが、もう一度読んでみて確認が必要かな。

ボーダーライン('02.08.02)★★★★☆
 タイトル:「ボーダーライン」
 サブタイトル:「生まれつきの犯罪者はいるか」
 著者:「真保 裕一」

 無防備な日本人にとってあまりにも危険な街、ロサンゼルスが舞台。
 主人公・永岡修は私立探偵のライセンスを取得しているが、いわゆる一匹狼ではない。
 日本の信販会社の米国支社に雇われ、盗難やレイプといった日本人旅行客のトラブルシューティングを主に扱っている。
 その修の元に、安田信吾という日本人青年を捜してほしい、との依頼が持ち込まれた。
 彼は、握手をするように人を殺す男。

 安田信吾はその父(英明)に言わせると、「生まれつきの犯罪者」。
 子供が虫を笑いながら殺すように、大人になっても人を殺す。
 見兼ねた父(英明)が決心をし、日本からアメリカに渡ってきて・・・気持ちはわかる。
 「親の心、子知らず」とはこのことだろう。
 確かに子供には残酷な面がある、そらだって蟻をみたら踏み潰そうとするからビックリしてしまう。

きみにしか聞こえない('02.08.03)★★★★☆
 タイトル:「きみにしか聞こえない」
 サブタイトル:「CALLING YOU」
 著者:「乙一(おついち)」

 3編を収録した珠玉の短編集です。
 ・CALLING YOU
 いまどき携帯電話も持っていない主人公の女子高生。本当は欲しいのだが、かけてくれる友達がいないので必要ない。
 ある日突然、頭の中で携帯電話が鳴る。
 ・傷
 相手に触れることで、相手の痛みや傷を自分の体へ移動させることができる少年。
 ・華歌
 歌を唄う花。しかも、花弁が開くとそこには少女の顔が・・・

 ミステリーというよりSFかな?
 スキップ・ターン系だね。
 「CALLING YOU」はよかったです、「傷」もまあまあ、「華歌」は?、読後「女かよ!」

亡国のイージス('02.08.20)★★★★★
 タイトル:「亡国のイージス」
 サブタイトル:「よく見ろ、日本人。これが戦争だ。」
 著者:「福井 晴敏」

 在日米軍基地で発生した未曾有(みぞう)の惨事。
 最新のシステム護衛艦《いそかぜ》は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。
 交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った《楯(イージス)》が、日本にもたらす恐怖とは。
 日本推理作家協会賞を含む三賞を受賞した長編海洋冒険小説の傑作。

 三賞を受賞したのが頷ける、久し振りの傑作です。
 ストーリー的には、「沈黙の艦隊」なんだけど、日本が舞台なので自衛隊が主役となる。
 イージス艦や武器、自衛隊事情などよく調べている、前半は前振りで多少長く、専門用語が多く読みづらい点もあったが、後半に入ってからは吸い込まれるようにはまってしまう。
 宮津艦長、仙石先任伍長、如月海士それぞれがそれぞれの思惑、信念を持って戦う。

 終章での宮津艦長夫人と渥美、仙石と如月のやり取りは必読だな。

トキオ('02.08.22)★★★★★
 タイトル:「トキオ」
 サブタイトル:「明日だけが未来じゃない」
 著者:「東野 圭吾」

 遺伝的な難病ゆえ、短い生涯を終えようとしているわが子。
 「『生まれてきてよかったか』と尋ねたかった」とつぶやく妻に、主人公、宮本拓実は語りかける。
 今から20年以上前に、自分は息子と会っていたのだと…。
 定職を持たず、自堕落に生きていた若かりし日の拓実の前に、見知らぬ若者が現れる。
 トキオと名乗るその青年とともに、拓実は、行方不明となったガールフレンドの捜索に乗り出した。
 行動を共にすることで、拓実は父親へと成長していく。

 死んだ息子が過去にタイムトリップして父親の窮地を救うという、時間移動を機軸にした物語である。
 本格推理からコミカルなものまで、ミステリーのあらゆる分野を手がける著者の作品のうちでは、『秘密』に通じるファンタジー小説に分類されるだろう。
 息子を持つ父親としては、まちがいなくはまる。
 息子が先に死んでしまうと言う、絶望的に悲しい物語ではあるが、親子?の会話もテンポが小気味良く、随所に笑いも盛り込まれている。
 そして、クライマックスではしっかりと泣かす、たいしたもんだな。

暗いところで待ち合わせ('02.08.28)★★★★☆
 タイトル:「暗いところで待ち合わせ」
 サブタイトル:「恋は盲目」
 著者:「乙一」

 事故で、視力をなくしてしまったヒカル。彼女は一緒に暮らしていた父が亡くなってから独りで暮らしている。
 誰もいない家の中、胎児のように丸まって過ごす毎日。
 アキヒロは、一人でいることをいつも望んでいた。
 仲間と群れることを嫌い、飲みに誘われても断ってしまう彼は、働き先の印刷会社で先輩のひとりに目の敵にされていた。
 ミチルの家の前にある駅のホームで殺人事件が起きた。
 容疑者として追われミチルの家に逃げ込み、自分の気配を殺し気づかれまいとするアキヒロと、その存在に気づきつつも自分の身を守るため気づかないふりをしつづけるミチル。
 ふたりの奇妙な同居生活の中、彼らの中の何かが、少しずつ少しずつ変わっていく・・・。

 ミチルもアキヒロも無器用で、そんなふたりの距離の縮め方は本当にすこしずつ。
 二人の会話は、ほとんどないが、それでも距離は縮まっていく。そして恋にかわる・・・

 一言文句がある、アキヒロは逃げることないだろ!!

ハサミ男('02.09.03)★★★★☆
 タイトル:「ハサミ男」
 サブタイトル:「第13回メフィスト賞受賞作」
 著者:「殊能 将之」

 連続美少女殺人事件。死体ののどに突き立てられたハサミ。
 その残虐性から「ハサミ男」と名づけられたシリアル・キラーが、自分の犯行を真似た第3の殺人の真犯人を捜す羽目に……。
 殺人願望と自殺願望という狂気の狭間から、冷徹な目で、人の心の闇を抉るハサミ男。端麗なる謎!ミステリ界に妖しい涼風が!

 残り1/4になって、「何これ?」と一瞬パニックになった。
 少し進んでやっと理解しました。
 他の人の書評を見ても「もう一度読み直したい」という人が多い。
 納得いかなかったので、最初から飛ばし読みをして2度面白かったです。

Twelve Y.O.('02.09.10)★★★★☆
 タイトル:「Twelve Y.O.」
 サブタイトル:「江戸川乱歩賞受賞作」
 著者:「福井 晴敏」

 沖縄から米海兵隊が撤退した。
 それは米国防総省(ペンタゴン)が、たった1人のテロリストに屈服した瞬間だった。
 テロリストの名は「12」。
 最強のコンピュータウィルス「アポトーシス2」と謎の兵器「ウルマ」を使い、米国防総省を脅迫しつづける「12」の正体は?

 日本て国は、マッカーサーに言わすと12歳なんですと、それでタイトルが「Twelve Years Old」。
 ガキってことだね。
 亡国のイージスの続きというか、前作です。
 こちらを先に読んだほうがよかったかな。
 前作なので話の根底は同じで、平和ボケした日本人に対しての警告なのか、自衛隊批判なのかは定かではないですが、アメリカの腰巾着的な日本のあり方に怒りも持っていることは感じます。
 この著者の他のパターンを読んでみたい。

クラインの壷('02.09.11)★★★★★
 タイトル:「クラインの壷」
 サブタイトル:「合作・傑作」
 著者:「岡嶋 二人」

 ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。
 アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。
 ところが、二人がゲームだと信じていたそのシステムの実態は…。現実が歪み虚構が交錯する恐怖。

 「メビウスの輪」が2次元ですよね、それに対して「クラインの壷」ってようは3次元なんですよね。
 この本の話もまさにそんな話、メビウスが表なのか裏なのかわからなくなるように、次元が増えると現実なのか非現実なのかがわからなくなる。
 ラストも私にはどっちなのかわからなくなった。

 岡嶋二人(おかしなふたり)とは、二人「井上泉(井上夢人)と徳山諄一(田奈純一)」で合作していたころのペンネームです。
 我が家も4人合作の「呆田三人と父」ってのでデビューしたいな。
 今回初読となったが、はまりそうな予感。

疫病神('02.09.17)★★★☆☆
 タイトル:「疫病神」
 サブタイトル:「疫病神コンビ」
 著者:「黒川 博行」

 建設コンサルタント・二宮啓之が、産業廃棄物処理場をめぐるトラブルに巻き込まれた。
 依頼人の失踪。たび重なる妨害。
 事件を追う中で見えてきたのは、数十億もの利権に群がる金の亡者たちだ。
 なりゆきでコンビを組むことになったのは、桑原保彦。
 だが、二宮の"相棒"は、一筋縄でいく男ではなかった―。
 関西を舞台に、欲望と暴力が蠢く世界を描く、圧倒的長編エンターテインメント。

 関西弁がいい味を出している。
 企業と政治家のカネにまつわる不正、組織暴力についての表現など、関西が舞台ならではの雰囲気が非常によく出ている。
 育ちがいいもんで、暴力団業界専門用語も勉強になった。
 例えばチャカくらいは知ってたが、カチコミとかサバキ、シノギ、カスリ、ステゴロ、ヤサ・・・難しい。

蒼穹の昴('02.10.8)★★★★★
 タイトル:「蒼穹の昴」
 サブタイトル:「過去10年間の第1位」
 著者:「浅田 次郎」

 汝は必ずや西太后の財宝をことごとく手中におさむるであろう──。
 中国清朝末期、貧しい農民の少年・春児(チュンル)は占い師の予言を信じて宦官になろうと決心した。
 落日の清朝には領土を分割せんと狙う列強の牙が迫っていた。
 科挙進士の友とも別れ、西太后の側近となった宦官の春児は、野望渦巻く紫禁城で権力をつかんでいった。

 浅田氏がこのような本も書けることに驚いた。作風・文体が違いすぎる。
 本人曰く「この物語を書くために私は作家になった。――浅田次郎」とのこと。
 すばらしい出来だと思う、思わず家にあった「新しい歴史教科書」で中国清朝末期を復習してしまいました。

 清朝末期といえば、映画「ラスト・エンペラー」で有名な溥儀(宣統帝)であるが、この本ではその前の皇帝、光緒帝というか西太后の時代の話です。
 歴史の教科書にも出てくる出来事でいうと、日清戦争・東学党の乱・戊戌変法。
 その他の人物といえば、李鴻章、袁世凱、康有為、日本では伊藤博文ってとこですかね。(最後には毛沢東も…)
 この本を歴史物書物としてよいのか疑問ではあるが、私もそろそろ歴史物書物の読者になろうかな。

黄金を抱いて翔べ('02.10.17)★★★☆☆
 タイトル:「黄金を抱いて翔べ」
 サブタイトル:「日本推理サスペンス大賞受賞」
 著者:「高村 薫」

 銀行本店の地下深く眠る6トンの金塊を奪取せよ。
 大阪の街でしたたかに生きる6人の男たちが企んだ、大胆不敵な金塊強奪計画。
 ハイテクを駆使した鉄壁の防御システムは、果して突破可能か?変電所が炎に包まれ、制御室は爆破され、世紀の奪取作戦の火蓋が切って落とされた。
 圧倒的な迫力と正確無比なディテイルで絶賛を浴びた著者のデビュー作。

 あのレディ・ジョーカーを書いた人だから、と期待を大にすると少しガッカリするかも。
 その人の代表作から読んでしまうと、次からがきついな。
 女性なのに爆弾の作り方など、とてもよく調べて書いています。(なのには差別用語だね)

海馬('02.10.18)★★★★☆
 タイトル:「海馬/脳は疲れない」
 サブタイトル:「脳は疲れない」
 著者:「池谷 裕二、糸井 重里」

 ベストセラー『記憶力を強くする』の著者であり、気鋭の若手脳研究家、池谷と、クリエイターとして豊富な発想のノウハウをもつ糸井。
 この2人が、頭のよさや脳の使い方などをテーマに、興味深い対話を繰り広げている。
 たとえば、「『頭がいい』と『バカ』の差」について。
 2人は、記憶された情報を整理し、お互いを関連づけて、的確に表現できるかどうかや、「頭が真っ白」になるディスコミュニケーションの状態に陥るか否かなどのポイントに着目。
 最終的に、周囲との関係を遮断し、情報の入力をやめれば脳の働きはよくならないことを指摘している。

 また、池谷は「脳は、ぜんぜん疲れない」「30歳以降に、脳の能力は飛躍的に伸びる」といった、脳に関する意外な事実を数多く教えてくれる。
 とくに記憶のカギを握るという「海馬」の研究の様子が述べられたところは、未知の領域に踏み込んでいくような興奮をもたらしてくれる。
 一方、そうした脳の科学を、クリエイティブな思考や生き方の問題などに押し広めて論じる糸井の話術はじつに巧みである。
 その知的好奇心のもち方には、見習うべきところが多い。

 ためになる言葉は多いが、1番共感を受けた言葉は。
 【頭がいいとか悪いとかということは、お勉強ができるとか、難しいことをよく知っているということとは違います。
 「こまやかな気配り」「いざという時の適切な対応」「おもしろい遊びの発見」「的確な状況判断」…
 ということを自然にできる人が頭がいい人といいます。】
 普段私が海に言っている言葉です。

三国志(1)('02.10.26)★★★★★
 タイトル:「三国志」
 サブタイトル:「不朽の名作」
 著者:「吉川 英治」

 日本では卑弥呼が邪馬台国を統治する頃、中国は後漢も霊帝の代、政治の腐爛は黄巾賊を各地にはびこらせ、民衆は喘ぎ苦しむ。
 このとき、楼桑村の一青年劉備は、同志関羽、張飛と桃園に義盟を結び、害賊を討ち、世を救わんことを誓う。
 ―以来100年の治乱興亡に展開する壮大な世紀のドラマ。

 いろいろな作家が三国志を書いていますが、北方謙三氏の物と立読み比べして吉川氏を選択しました。
 第一巻の登場人物としては、黄巾軍討伐にあたる曹操。義勇兵に身を置き野望を馳せる孫堅。
 悪者としては、都を洛陽から長安に遷都した董卓。その家臣であり豪傑である呂布。
 その他大勢出てくるので、メモりながら読んでいるので、なかなか進まない。(しかも8巻まである)
 と言いながら実は喜んでいます。

三国志(2)('02.10.31)★★★★☆
 タイトル:「三国志」
 サブタイトル:「不朽の名作」
 著者:「吉川 英治」

 黄巾賊の乱は程なく鎮圧されたが、腐敗の土壌にはあだ花しか咲かない。
 霊帝の没後、西涼の董卓が十常侍に代って権力の中枢に就いた。
 しかし、群雄こぞっての猛反撃に、天下は騒然。
 曹操が起ち、袁紹が起つ。
 董卓の身辺には、古今無双の豪傑呂布が常に在り、刺客さえ容易に近づけない。
 その呂布が恋したのが美女貂蝉―董卓の寵姫である。

 その呂布を王充がそそのかし董卓を退治した。
 曹操、呂布、孫堅の息子孫策が力をつけるが、お互いが着いたり離れたりして、どんぐりのなんとかです。
 特にこの呂布という男はどうしようもないね。粗暴だし、すぐ裏切るし…
 第2巻での劉備の影は少し薄いです。
 劉備は少し人は良すぎます、あの呂布にまで忠義を立てて裏切られても、まだ怒らない。
 他が粗暴で自分勝手でどうしようもない奴ばかりなので、行く先が心配です。

三国志(3)('02.11.8)★★★★★
 タイトル:「三国志」
 サブタイトル:「不朽の名作」
 著者:「吉川 英治」

 黄巾賊の乱より10年、天下の形勢は大いに変っていた。
 献帝はあってなきものの如く、群雄のうちにあっては、曹操が抜きんでた存在となっていた。
 劉備玄徳は、関羽、張飛を擁するものの一進一退、小沛の城を守るのみだった。
 打倒曹操!その声は諸侯のうちにひろがり、国舅董承を中心に馬騰、玄徳など7人の謀議はつづく。
 誰が猫の首に鈴をつけるのか。―選ばれたのは、当代一の名医吉平。だが・・・失敗してしまう。

 とうとう劉備と曹操で呂布を退治した。あの呂布たろうものが命乞いをするとはな。
 かと思えば今度は、劉備と曹操が戦い、劉備・張飛はばらばらに逃亡、関羽は、曹操に捕らわれの身となる。
 捕らわれとなった関羽の行動は一本気で忠義、たいしたもんだ。(他の奴がひど過ぎるんだが)

三国志(4)('02.11.12)★★★★★
 タイトル:「三国志」
 サブタイトル:「不朽の名作」
 著者:「吉川 英治」

 乱世の姦雄を自称し、天下を席捲した曹操も、関羽には弱かった。
 いかな好遇をもってしても、関羽の心を翻すことはできなかった。
 故主玄徳を慕って、千里をひた走る関羽。
 そして劇的な再会。
 その頃、夭折した兄孫策の跡を継いだ呉の孫権は、恵まれた自然と豊富な人材のもと、国力を拡充させていた。
 失意の人玄徳も、三顧の礼をもって孔明を迎えることができ、ようやく天下人として開眼する。

 離れていた劉備、関羽、張飛が合流。
 孫策が病死(呪い?)孫権が引き継ぐ。
 曹操・孫権・袁招の時代に。
 曹操vs袁招。袁招が死に袁尚が引き継ぐ。
 曹操vs劉備。また劉備負け、劉表に助けてもらう。
 除庶が曹操の罠で曹操へ取られるが、諸葛孔明を紹介される。運命の出会い。
 劉表が病死し、劉備が後を継ぐ。
 再び曹操vs劉備。
 いよいよ蜀(劉備)・魏(曹操)・呉(孫権)の三国の争いに。

三国志(5)('02.11.18)★★★★★
 タイトル:「三国志」
 サブタイトル:「不朽の名作」
 著者:「吉川 英治」

 新野を捨てた玄徳は千里を敗走。
 曹操はなおも追撃の手をゆるめない。
 江夏にわずかに余喘を保つ玄徳軍に対し、潰滅の策をたてた。
 天下の大魚を共に釣ろう、との曹操の檄は呉に飛んだ。
 しかし、これは呉の降参を意味する。
 呉の逡巡を孔明が見逃すはずはない。
 一帆の風雲に乗じ、孔明は三寸不爛の舌をもって孫権を説き伏せる。
 かくて史上有名な会戦、赤壁の大捷に導き、曹操軍は敗走する。

 赤壁は孫権vs曹操ではあるが、実際には孫権の部下(周瑜)を操る孔明と曹操の戦いであった。
 周瑜だけでは勝てなかったであろう。
 敗走する曹操を関羽が見逃す場面は必読。
 しかし、第5巻は孔明の一人舞台の感が強い。
 孔明は賢いんだろうが、少し話がうますぎるのではと感じてしまう。

三国志(6)('02.11.21)★★★★★
 タイトル:「三国志」
 サブタイトル:「不朽の名作」
 著者:「吉川 英治」

 赤壁の大敗で、曹操は没落。
 かわって玄徳は蜀を得て、魏・呉・蜀三国の争覇はますます熾烈に――。
 呉の周瑜、蜀の孔明、両智将の間には激しい謀略の闘いが演じられていた。
 孫権の妹弓腰姫(きゅうようき)と玄徳との政略結婚をめぐる両者両様の思惑。
 最後に笑う者は、孫権か、玄徳か?周瑜か、孔明か?
 一方、失意の曹操も、頭角を現わし始めた司馬仲達の進言のもとに、失地の回復を窺う。

 馬騰の仇のため馬超が曹操と戦うが負ける。
 張魯が蜀を攻めてきそうなので、張松が曹操へ助けを求めるが、曹操の人間性を見て、劉備へ蜀へ来てくれるよう嘆願した。
 曹操が赤壁の屈辱を晴らすため、呉を攻めるが・・また負ける。武力も知力もあるが結構負けるんだよな。
 馬超が再び曹操と戦うが負け、劉備の家臣となる。
 その馬超の説得で蜀の王、張璋が降参し蜀を劉備に譲り、とうとう劉備は一国の主となった。
 とうとうここでやっと三国の争いになった。

三国志(7)('02.11.26)★★★★★
 タイトル:「三国志」
 サブタイトル:「不朽の名作」
 著者:「吉川 英治」

 「三国志」をいろどる群雄への挽歌が流れる。
 武人の権化ともいうべき関羽は孤立無援の麦城に、悲痛な声を残して鬼籍に入る。
 また、天馬空をゆくが如き往年の白面郎曹操も。
 静かな落日を迎える。
 同じ運命は玄徳の上にも。
 ――三国の均衡はにわかに破れた。
 このとき蜀は南蛮王孟獲に辺境を侵され、孔明は50万の大軍を南下させた。
 いわゆる七擒七放の故事はこの遠征に由来する。

 魏と呉が停戦して、蜀を討とうとする。
 その戦いで関羽が命を落とす。関羽ファンとしてはつらい。
 そうかと思うと曹操が病死、曹丕が後を継ぎ魏帝となる。悪役キャラではあるが寂しさが残る。
 そうかと思うと関羽の仇を取るため呉を攻める所で、張飛の命を落とす。
 そうかと思うと、なんと劉備まで病死してしまう。
 なんなんだ?
 曹操の後を継いだ曹丕までが・・・まだ8巻があるのに、もう孔明しかいないじゃん。