スキーアイテム編 ファンスキーのススメ


ファンスキーの定義は確定したものはありませんが全長80cm前後のスキーの総称と言うことが出来ると思います。
スキーヤーの身長ほどもある従来の長い板(ロング板呼ぶことにします。)に対しだいたい1m未満の短い板を各社バラバラにショートスキー、ミニスキー、スノーブレードなどと呼んでいましたが、1996年頃からストックを使わないで短い板のみで滑るスタイルをファンスキーと呼ぶようになったのではないかと推測しています。


先駆け
ショートスキーの先駆け「BIG FOOT」です。
 長さ63cm

スキー競技関係者が大会会場内の移動に使い、ポールなどの機材を手で抱えるためストックを使わずに滑っていたのが起こりだといわれています。
やがて派手なカラーリングと足の形をした板が1992年頃から店頭に並ぶようになりました。
一部の愛好家には受け入れられたものの所詮、イロモノとされディスカウントスーパーの目玉商品とされるなど永らく不憫な扱いを受けてきました。がしかしファンスキーの出現で今や一躍教祖的アイテムとなりました。

カービングスキー



ファンスキーが脚光を浴びるようになったのはロング板でカービングスキーが登場したのとほぼ同時期でしょう。
カービングスキーはスキーを地面に置いて上から見た場合、先端と後ろが幅広で中央が狭くなっています。左右側面のカーブに気がつきます。いわばおしゃもじの様な形をしています。こうするとゲレンデではきついカーブを描きながら滑ることが出来ます。高速になるほど遠心力にうち勝つために体を内側に倒すことになりますので手が雪面につくほどです。こうすると滑っている格好がアルペンタイプのスノーボードに似てきます。(長野オリンピックで正式種目になりました)
そうですカービングスキーはスノーボードに圧されたスキー板メーカーが「ボーダーの格好良さをスキーヤーにも」と考え出した一発起死回生のアイテムなのです。

ファンスキー

カービングスキーは従来のロング板と基本的に長さは変わりませんので高速でゲレンデをかっとぶのには向いています。しかしスノーボードのもう一つのスタイル「フリースタイル」的な動きは出来ません。ボーダーのほとんどがこのフリースタイルタイプですのでスキー板メーカはさらに頭をひねりました。
スキー板はなぜ人の背丈ほどもあるのだろう。
第1点:体重で雪に沈まない様に雪面への圧力を分散するため
第2点:高速で直進性能をあげるためです。
ということは圧雪車で雪を踏み固めている今のゲレンデでは板の長さは全く無用です。ましてやオリンピック選手ではない一般スキーヤーに高速安定性云々は言わずもがなです。
ストックを捨て、板を思いっきり短くし、重量を減らしたことによりスノーボードの面白みである前後の区別のない滑走性やハーフパイプなどのアクロバットなターンが可能になります。こうしてスキーメーカー各社がこぞってショートスキーを発売しだしたのです。
つまりカービングスキーがアルペンスノボの楽しさを得たのと同様ファンスキーはフリースタイルスノボの楽しさを得ることが出来たのです。

ファンスキーのススメ

ファンスキーはロング板の長さがただ短くなっただけですからスキーが滑れる人なら慣れてしまえば従来のスキーと変わりなく滑ることが出来ます。ボーゲンから始まるスキーの基本テクニックは全く同じように使えます。
また初心者にとっても従来の長く重い板を扱うのに比べれば、自分の足のように楽に取り回しが出来、上達も早いと思われます。
ストックなしで滑れるのかという疑問を持つ方が居ますが心配いりません。
初心者にとってストックはむしろ凶器です。ストックに頼って減速、停止するのは危険です。
またファンスキーはそんなにスピードは出ませんしパラレルやウェーデルンのような滑降の美しさを求めるのではなく如何に楽しく滑るのかが目的ですから体重移動のきっかけに必要だとされるストックはいらないのです。。
問題はリフト乗車時でしょうか。ストックがないと緩い上り坂では後ろに下がる恐れがあります。しかしこの場合、片足側だけ脱いじゃえばノープロブレムです。ボーダーだってそうしてるじゃありませんか。小さくて軽いものですから手に持っていてもさほど苦にはなりません。チケットゲートを通過してリフトチェアに乗る直前に履けばいいんです。
そして値段が安いのも特徴です。但しそのぶん耐久性はロング板ほどありません。
スキー宅急便でこれまでは板とバックの2個口で送っていたものが、大きなバックなら板も一緒に入れて送ることが出来ます。マイカーでスキーという人も板の全長が短いので車にはスキーキャリアは不要です。トランクに十分収まります。
ストックがいりませんから荷物も減らせることが出来ます。もし万一ストックが欲しくなったら現地でレンタルすればいいのです。

若かりしころスキーを滑った中高年や結婚後、出産・子育てなどでゲレンデから遠のいてしまった若い夫婦のゲレンデカムバックにはもってこいのアイテムなのです。

いまやゲレンデはスノーボーダーだらけです。でもゲレンデは彼らだけものではありません。
スキーヤーの皆さん。ファンスキーでもう一度ゲレンデを滑りまくろうではありませんか。