第4日目 イーストギャラティン川(MZランチ内)

 この日は午前中にイーストギャラティン、午後にウェストギャラティンに行く予定でした。イーストギャラティンはチョークストリームで、午前中はトライコに対するライズが期待できるということでした。ウェストギャラティンは、型は小さいけれども、魚はいっぱいいるということだそうです。

 イーストギャラティンのパブリック区間は短いそうで、日曜日であるこの日は、人の出が気になりました。

 ボーズマン空港より西へ10分ほど進み、明日予定しているMZランチへ寄りました。スチュアートがその家の人と話して帰ってくるなり、「We are lucky!」といい、私たちはその後の説明がなんだかよくわからないうちに川へと移動することとなりました。

 何がラッキーだったかというと、MZランチ(牧場)内、つまりプライベート区間のイーストギャラティンを釣ることができたのです。スチュアートとMZランチのオーナーが仲が良かったからでしょう。

 車を止めたところから、しばらく牧場内を歩き、川をのぞきました。

 !!!!!!!。

 ライズ! ライズ!しかもあちこちに。

 スチュアートは私にここをやれ、といって相方を別のところに連れて行きました。私たちが欲するガイディングサービスは、これなんですね。釣りをするところ、魚がライズをしているところに連れて行ってくれればいいのです。立ち位置を決め、フライを選びキャスト、そしてランディングまでは、釣り人の仕事です。横であーでもない、こーでもないなんて言われると落ち着かなくて集中できませんから。

 おかげで ビッグブラウン、ビッグレインボー他、たくさんのナイストラウトと遊んでもらえました。何てったってものすごい数のトライコが流れていましたので。

 向こうでヘッドアンドバックアンドテイル、つまり頭が出て背びれが出て最後に尾びれの出る魚が、イルカの群れのようにライズをしていて、それを狙うがために手前のライズをやっつけなければならない状況でした。なんと幸せな!しかも、たくさんの流下物を食べるのに夢中で、周りで魚が釣られても、ほとんどの魚はライズをし続けていたのです。

 けれども、ある時間を過ぎると、ライズがぴたっと止んだので(ハッチは終わったが、全部スプークさせた可能性もあり。)相方の方へ移動することにしました。すると彼女も、何度ものバラシの後、ついにキャッチをしたとのこと。一人ですべての仕事をしたそうで、すっかり満足げの様子でした。まだひとつだけライズが残っていましたが、それはそれは優しい相方は私に譲ってくれました。

 アップへの単純なキャスト。ショックを入れてスラックを入れて落とし、よろしいドリフトだ、と自分で自画自賛していると、でかい頭がフライを隠しました。

「んっ!☆」

でかい魚は、フライをバイトした後、合わせる際にこの間が必要です。

 私の場合は、「来るぞ来るぞ、来った、」で竿を立てます。この小さな「っ」がmost importantなのであります。

確実にフックアップした魚が縦横無尽に暴れると、その魚影からこの日1番の大物であることを確信しました。

 ここでの釣りでは、6Xを使っているのでめったに切れることはありませんが、結束の部分、およびティペットの傷が命取りになります。アマゴ、ヤマメ釣りではそう神経質になることのないティペットチェックは、ここではキャッチの後に必ずやらなければいけないことです。グリーンリバーチームの皆さんも気をつけましょう。

 この川には水草が生えているので、鱒はその中に逃げ込みます。その際は、下流側にテンションをかけ続けるか、ちょっと緩めてからまたプレッシャーをかけることで大概のときは鱒は出てきます。でも今回は鱒が足下の藻の中に入ったきり、動きませんでした。足下だったので、藻の中で安心している鱒のあたりを蹴飛ばすことで、鱒は飛び出し、ランディングに成功することができました。

 51センチ、ぴったり20インチ。あまり巨大ではありませんでしたが、今回の中では一番の大物でした。

 昼食後もたいへんでした。ライズをしとめて、周りの鱒がスプークしたとしても、少し上流へ移動すればまたイルカライズが待っているという、今までの人生の中で、一番の至福を味わったのです。途中からは竿のそりを気にして、いろいろと曲げる方向を変える余裕まであったりして。今回の相棒はいつものマリオ4番232V4でしたが、鱒の動きにぴったりついてきて、私の幸福感をさらに増す働きをしてくれました。

 これで夕方になったら帰れないかも、なんてことが頭によぎりましたが、イブニングは逆にライズが止まったのできり良く帰ることができました。

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