SHUFFLE! SS

【ドタバタ温泉旅行】
                    震天 さん

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 -- 第一話 --


 そろそろ冬を迎えようとしていたある日の事。
 学校からの帰り、俺はふと思い出した。
 前にもあったよな、こんな事。

「稟ちゃん、待ってたよ」

 今更言うのもなんだけど、俺が居候している楓の家。
 その家の前に二人の男が仁王立ちしている。
 一人は筋肉質の大男、もう一人は見た目二枚目の男。
 この二人がなんだって、って?
 なんでもないただの親父だったらどれだけ良かっただろうか……。
 これで神界と魔界の王だなんて、世の中間違ってる。
 ……説明も面倒になってきたな。
 とりあえず、今の二人の表情を言っておこう。
 かなりの威圧感を醸し出している真剣な表情だ。

「何か、あったんですか?」

 さすがにこれだけ真剣な表情をされるとこっちも身構える。
 以前は『海へ行こう』なんてふざけた事をこの表情で言われたけど、今度はただ
ならぬ雰囲気がある。

「稟殿……」
「……(ごくっ)」

 自分でも息を飲むのがわかった。
 それだけ、緊張の糸が張り巡らされているという事だ。
 神王と魔王のおじさんたちは俺の目を見て、いつでも話せる状況にあるが、なか
なか口を開こうとしない。
 これだけは断言できる。
 今回は、かなり真面目な話だ。

「……」
「……」
「……」

 まだ話さない。
 会話にも間合いがあると聞いたことがある。
 ここは、二人が切り出してくれるまで耐えるしかない。

「……稟ちゃん……」
「……はい……」
「心して聞いて欲しい……」
「わかってます……」

 皆まで言わなくても今から二人が話すであろう話の重要さがわかる。
 そして、遂に衝撃の言葉を、俺はおじさんたちの口から聞くことになる。

「稟殿……温泉に行こうじゃないか!」
「……」

 オンセンニイコウジャナイカ?

「……」

 俺の住む家は目の前だが、意味も無くUターンしようとした。
 いや、意味ならあるか。

「待てや、稟殿」

 頼もしい大きな手が俺の肩をがっちり掴む。
 そこには、一界の王たる威厳と威圧感が込められていた。
 なのに、俺は別に怯む事は無い。
 そう、俺は既に一度体験しているのだ。
 人間、開き直るとこうも簡単にあらゆる耐性がつくものなんだな。

「はぁ〜……あのですね、そんな真剣顔して一体どんな重要な話しかと思えば…
 …」

 温泉に行こう?
 これが楓の親父さんなら蹴りを入れてるぞ。
 だが、心の中でならいくらでも悪口や批判を言える。
 ふざけるな! このバカ親父×2!

「なんだい、なんだい。これだってれっきとした重要な内容だよ?」
「どこがですか!?」

 はっきり言って重要さは微塵も感じられなかった。
 これのどこから重要性が沸いて出るというんだ?
 大体、さっきまでのプレッシャーがもうないって、一体どういう切り替えの早さ
 ですか!?

「稟ちゃん、親子たるもの、裸の付き合いはしないといけないものだよ?」
「誰と誰が親子ですか!?」
「そうだぞ、まー坊。稟殿は俺の息子になるんだ」
「なぜ!?」

 この人たち、本気で言うから怖いよ。

「神ちゃん。悪いけど、これだけは譲れないよ」
「なんなら、ここで決着つけるか?」
「それが、一番かもしれないね」
「……は?」

 二人の手に急速に魔力が収束している。
 しかも、二人ともあまり距離をとっていない。
 これ以上魔力が膨れ上がったら……。
 以前の俺なら大いに慌てたさ。
 だが、俺だって伊達にドタバタな日常を送ってない。
 二人の弱点も把握してるし、対処法も考えた(まだ試した事無いけど)。

「行くぞ、まー坊!」
「来なさい、神ちゃん!」

 二人が魔力を放とうとする。
 と言っても、距離がほとんど無いから手から魔力を離さず、突き出す感じだが。
 ……っと、成り行きを見守ってる場合じゃなかった。
 俺はここで秘策を言い放った。

「……シアとネリネに言いつけますよ?」

 ピタッ!

「……」
「……」

 二人の魔力がぶつかる直前、俺がボソッと言った言葉を聞いて、二人の動きが完
全に止まる。
 どうやら、これはかなり効果的なようだ。
 そして、ギギギッ、っと音が聞こえそうな感じで、俺のほうに首を動かす。

「……稟ちゃん、今……」
「……なんて、言った?」
「シアとネリネに言いつけますよ?」
「「そ、それだけは!!」」

 二人が勢い込んで俺にしがみついてきた。

「だあっ! 引っ付くな!」
「シ、シアにこの事を知られたら……」
「ネ、ネリネちゃんの耳にこの事が入ったら……」
「「嫌われてしまうんだ!!」」
「わかりました! わかりましたから離れてください!」

 どうやら効果がありすぎたようだ。
 これじゃあ、さっきと立場が逆転してるじゃないか。
 どうにか引き剥がし、二人に正座させる。

「と、とにかく……二人には言いませんから、落ち着いてください」
「す、すまねぇ。つい、ガラにもなく……」
「いえ、実にガラ通りなんで……」
「稟ちゃん、私はネリネちゃんに嫌われたら、私は生きていけない」

 もしかしたら、今後の俺の生活の事を考えたら、その方がいいのかもしれない、
と思っても口には出さないでおく。

「とにかく、俺が二人の息子になるかどうかは今はわからないんですから、そん
 な先の事でいちいち喧嘩して、この辺を消滅の危機に晒さないで下さい」
「「はい……」」

 はあ〜、なんかどっと疲れた。

「……そういえば、何の話でしたっけ?」
「「……」」

 どこから元の話題を忘れるほど話題が反れたんだろうか?

「「そうだった!」」
「うわあっ!」

 二人のおじさんが勢い良く立ち上がる。

「温泉だよ、温泉!」
「……さようなら」
「ちょっと待ってくれって、稟殿」

 さすがに今度はすがる様に言ってくる。
 なるほど、こうすればこの二人からアドバンテージが取れるのか。

「温泉は良いんだよ。腰痛や肩こりにも効くし……」
「俺、肩こりでも腰痛持ちでもないんで」
「俗世間の穢れだって洗い流せる……」
「あなた達が穢れそのものでしょうが」

 その一言がよっぽどショックなのか、膝を抱えて落ち込んでしまった。

「大体……」
「「その温泉、混浴なのに……」」
「……」

 二人の言葉を聞いて、俺は言葉を失った。
 樹じゃあるまいし、それで俺が動くとでも思ったのか?
 ここはビシッと言わないといけないな。

「シアも稟殿と裸の付き合いがしたいと言っていたんだがなぁ……」
「……」

 ここはビシッと……。

「そうそう、ネリネちゃんも言ってたよ……」
「……」

 ま、負けるな! 土見稟!
 俺は幾多の苦難を耐えて来たじゃないか!

「オホン! ま、まあ、たまには生き抜きも必要だし、皆も誘って行きましょう
 か……」
「よっしゃ! それでこそ稟殿だ!」
「稟ちゃんならわかってくれると思っていたよ!」
「……あ」

 し、しまったぁ〜……。
 俺とした事が、樹が飛びつくような作戦にまんまとはまってしまった……。

「それじゃあ、詳しい事が決まったらまた連絡するから」
「稟殿、美人をたくさん誘っといてくれよ!」
「は、ははは……」

 泣きながら笑うなんて芸当、出来る奴はいないと思っていたが、まさか俺がその
特異体質だったとは。
 俺は思った。
 俺の意志はそれほど強固なものではないようだ。



 結局、断る事もできず、自分の不甲斐なさにリビングで項垂れるしかなかった。

「はあ〜……」

 楓はどうやらプリムラを連れて買い物に出かけているようだ。
 まあ、良い機会だ。
 少し反省しよう。
 大体、なんで混浴と聞いてすぐに揺らぐ?
 しかも、シアとネリネと裸の付き合いで……。

「……父さん、母さん。俺、結構スケベらしい」

 天国にいるであろう両親に申し訳ないと思いつつ、自分の情けなさに更に自己嫌
悪に陥る。

 ドタドタドタドタ……。

「ん?」

 自己嫌悪に陥ってほぼ5分ほど、急に家の中が慌ただしくなった。
 いや、正確には、あれが帰ってきたのだ。
 以前なら、こんな風になるとは思ってなかった。
 そういえば、やたらと急いでる感じが……。

「たっだいまー! お兄ちゃん!」
「よ、よぉ……」

 というより、かなり嬉しそうだ。
 ドアを物凄い勢いで(蹴り)開け、喜色満面のプリムラがリビングに入って来た。

「ただいま戻りました、稟君」

 続いて買い物袋を持った楓が入ってくる。
 今日はそれほど買うものが無かったのか、荷物はかなり少ない。

「お帰り、二人とも。……どうかしたのか? これ」

 すごく嬉しそうな(しかも踊っている)プリムラを指差して、楓に聞いてみる。

「実は、商店街で福引をしてまして、その特等を当てたんですよ。リムちゃんが」
「エヘへ……」
「へぇ、すごいじゃないか」

 俺もガキの頃から、縁があれば挑戦してきたが、全てポケットティッシュ。
 いるもんだな、特等を当てる強運の持ち主が。
 ちゃんと白玉以外入ってたんだな、あの福引。

「それで、特等の商品はなんなんだ?」
「これだよ、お兄ちゃん♪」
「どれどれ……」

 プリムラに渡されたものを見てみる。

『豪華温泉無料宿泊券 1泊2日』

「……温泉?」
「はい。でも、ペア宿泊券なので、二人しかいけませんが」
「だから、お兄ちゃん。楓お姉ちゃんと一緒に行って来て」
「でも、プリムラが当てたんだろう? だったら、楓とプリムラで行ってくれば
 ……」
「だ、だめです! 稟君を一人にできません! でしたら、リムちゃんと稟君と
 で……」
「だめ! 私が二人にプレゼントしたものなんだから!」

 これじゃあ、キリが無いな。
 そうか、全員で行ければ問題ないわけだ。
 だったら、あの二人のお言葉に甘えさせてもらおう。
 ……今、初めてあの二人がありがたい存在であると思った(一瞬だけ)。

「わかった。皆で行く事にしよう」
「「え……?」」

 二人の視線が俺に向く。
 だが、なぜか二人とも俺を哀れむような目をしている、様に見えなくもない。

「どうかしたか?」
「……お兄ちゃんが……バカになった……」
「こら!」

 言うに事欠いてなんつうことを言うんだ。

「稟君! 私は稟君が例えバカになっても、一生稟君に尽くしていきます!」
「楓、それ、フォローになってない。むしろ追い討ちに近いぞ」

 楓はそれが失言だと気付くのに数秒掛かった。
 慌てて口を抑えると、すごい勢いで謝ってきた。

「二人とも、言っておくが、俺は正常だ」
「だって、お兄ちゃん。二人しか行けないのに、皆で行こう、なんて言い出すか
 ら」
「あのなぁ、俺だって何の考えもなしにそんな事は言わないぞ?」
「と、言いますと?」
「実は……」

 詳しくは上を見てくれ。
 ここは端折らせてもらう。

「……と言うことだ」
「つまり、これは別にいらなかった、と……」
「いや、そういうわけでは……」

 プリムラ、俺は女の子の悲しくて泣きそうな顔が苦手だという事を知ってやって
いるのか?

「だから、これは俺と楓が使わせてもらう。プリムラはおじさん達に同じ目的地
 に連れて行ってもらう。これなら問題ないだろう?」
「……なるほど」

 どうやら納得してくれたようだ。

「それだと、あとは行く日にちだけか」
「もうすぐ冬休みですし、冬休みに行くのはどうですか?」
「そうだな。今回も補習はなさそうだし。プリムラもそれで良いか?」
「うん!」



 その翌日。
 学校でシアとネリネに昨日の事を話す。

「……と言う事なんだけど、二人とも聞いてる?」
「うん。昨日、お父さんが『喜べ、シア! 稟殿と旅行に行けるぞ!』って、張
 り切ってたから」
「お父様もそうです。まだ詳しい事を決めてないのに、もう旅行に行く準備をし
 ているんですよ」

 それは早すぎますよ、魔王のおじさん。

「それで、二人とも。おじさんたちに、行くのは冬休みに入ってから、って言っ
 といてくれない?」
「うん、いいよ」
「わかりました」
「あ、それと」

 昨日のプリムラからのプレゼントの事を話す。
 まあ、これも面倒なんで上を参照。

「……と言うわけなんだ。これも伝えておいて」
「了解しました!」

 さて、これで残る問題は誘うメンツか。

「つ・ち・み・く〜ん♪」
「……」

 なんか猫撫で声で後ろから呼ばれたような気がしたが……。
 まぁ、気にしないでおこう。
 えーっと、まずは亜沙先輩だろう……。

「土見く〜ん♪」

 それから、カレハ先輩。

「土見君てば……」

 樹は……却下だな、却下。

「土見君……」

 そうだ、たまには亜麻さんも誘わないとまずいかな?

「……仕方ない」

 ようやく諦めて……。

「3大プリンセスの皆さん。ちょっとお得な商品があるんだけど……」
「え、なになに?」
「これなんだけど……」
「写真……ですか?」
「麻弓ちゃん、何の写真なんですか?」
「土見君の着替えてる最中の隠し撮り……」
「うわぁぁぁぁっ!」
「あ〜れ〜、ひ〜と〜さ〜ら〜い〜!」

 俺は速攻で麻弓を抱えて教室を出た。
 まあ、確かに人攫いだろうけど、これを野放しにするくらいなら、人攫いと呼ば
れたほうがまだマシだ。
 とにかく、俺は麻弓を連れて屋上まで走った。

「はぁ、はぁ、はぁ……」
「土見君、大丈夫♪」

 大丈夫なわけないだろう!?
 世界新記録が出てもおかしくないようなスピードでここまで上がってきたんだぞ!?
 って言うか、なぜに音符マーク!?

「……まあ、色々言いたい事はあるが、あえて触れないでおく」
「それは残念」
「麻弓。なぜそんな写真を持ってる。それと、どうやって撮った?」
「それはですな、ここ最近、不景気でしょ?」

 まあ、確かに。
 景気は回復に向いつつあると言っても、まだまだ不景気と呼べる時代だな。

「それがどうした?」
「土見君の隠れファンも多いのですよ」
「……接点が見えないぞ?」

 それと俺の隠し撮り写真はどう関係しているんだ?

「まあ、つまりは、そういった隠れ土見君ファンクラブの方に、格安で売ってい
 るのよ。こういった写真」
「…………ちょっと待て!」

 今ちょっとスルーしかけたけど、冷静になって考えてみろ!
 こういった写真?
 つまり、シア達に勧めた写真以外にも、俺の隠し撮り写真が……。

「あるわよ。見る?」

 俺の心を呼んだのか?
 いや、そんな事より……。

「ネガを全てよこせ!」
「それは私から命より大事かもしれないこのデジカメを奪うという事かしら?」
「そんなあやふやなものなら別にいいだろうが!?」

 何だよ、かも知れないって!?

「ひどい! 土見君は、私のこのデジカメがどんな意味を持っているのか、知ら
 ないんでしょう!?」
「……いいだろう。聞いてやろう。そのデジカメにはどんな意味があるんだ?」
「えっと……お母さんの形見?」

 なぜにクエスチョンマークがつく?

「っていうか、お母さん、亡くなってたのか?」
「ううん。今もぴんぴんしてるけど?」

 要は、形見でもなんでもないんだな?

「つまり、それほど大事じゃないんだな?」
「うぅ……土見君のイジワル♪」

 全校生徒のために、という口実でこいつをここ(屋上)から突き落としていいだろ
うか?

「それより、土見君」
「なんだ?」
「私も連れて行ってくれるよね、温泉旅行」
「……」

 どうする?
 こいつを連れて行けば、必ず何か起こす。
 そうだ、危険人物はあの二人で十分だ。
 よし、ここはガツンと言って……。

「あ、ちなみに、断る、って言う選択肢はないから♪」
「……な、なに?」

 麻弓は自分のデジカメを俺に見せ付ける。

「……どうか御同行してください」
「やったー! 土見君、話がわかる!」

 くっそ〜……何とか対策を立てないといけないな。



 旅行当日。
 集合場所は楓の家の前。

「……え〜っと……見ればわかる事なんだけど……なに、これ?」
「なにって……稟ちゃん、まさか! バスを見たこと無いのかい!?」
「そんなわけ無いでしょう」

 どこの世界にバスを見たことの無い高校生がいる。

「そうじゃなくて、なんでわざわざこんな大型バスをチャーターしてるのか、っ
 て事ですよ」

 行く人数なんか10名余りだぞ?
 何でそんな大人数と呼べ(なくもないが)ないような人数にこんな大型バスを……?

「ん? こっちの世界じゃあ、道中、この中で色々遊んだりするもんだと聞いた
 ぞ?」
「……まさかとは思いますけど、物凄く極端のことを考えているんじゃないでし
 ょうね?」
「例えば?」
「バスの中でスポーツとか」
「……(ぎくっ!)」
「バスの中で料理をするとか」
「……(ぎくっ!)」
「なんてこと考えて……」

 無いと思い、いや、願い、おじさん達のほうを見てみると、冷や汗をだらだらと
 流している。
 思っていやがったな、この二人。

「はぁ、まったく……」
「り〜んちゃん♪」

 後ろから聞きなれた声で呼ばれ、後ろを振り返る。

「? あ、亜沙先輩、カレハ先輩、亜麻さん。おはようございます」
「おはよう、稟ちゃん」
「稟さん、おはようございます」
「りっちゃん。おはよう」

 この人たちは危険要素が無いからいいだろう。
 問題は……。

「……うっ!」

 電柱の影から俺をデジカメに収めようとしていた人物がいた。
 当然、あのトラブルメーカー、じゃない、トラブル大好き女、麻弓だ。

「なにしてるんだよ」
「い、いやぁ、土見君、いい顔してたからね。つい……」
「いい加減にしないと没収するぞ」
「それだけは御勘弁を、お代官様!」
「なら、どうすればいいかわかるな、越後屋?」
「ははあ!」
「りっちゃん、お代官様だったの?」

 亜麻さん、ノリには流れというものがあるんですよ。
 それを落石でせき止めるような事しないで下さいよ。

「稟君、稟君!」
「? なんだ、シア?」
「私、あれやってみたいんだけど」
「あれ?」

なんだろう、あれって?

「稟君、お代官様でしょ? だから、帯をぐるぐる〜、をやりたいの♪」
「……シア、あのな……」

 一体なにでそんなもの覚えた?

「稟様、あの、便乗する様で悪いのですが……私も……」
「ネ、ネリネ……だからな……」

 便乗って……ネリネ、それがどういうことか知ってるのか?

「そ、それでしたら、稟君。あの……」
「ボク達も便乗させてもらうね♪ ね、カレハ♪」
「はい♪」
「せ、先輩達まで……」

 そろそろこの話題、終わらせたいぞ……。

「ところで、稟ちゃん。これで全員揃ったんじゃないのかな?」
「魔王のおじさん! 初めてあなたが頼りになる存在だと知りました!」
「何気なく失礼だね、稟ちゃん」

 おっと、つい本音が出てしまった。

「あ、あと一人来るんですよ。もうそろそろ来るはずなんですけど……」
「つ、土見く〜ん……」
「?」

 麻弓のどこか情けない声が俺を呼んだ。

「何で、なっちゃんがいるの……?」
「いたら悪いのか?」

 そう、俺が保険として真の保護者を呼んでおいたのだ。

「おお! ネリネちゃんたちの美人の担任ではないか。稟ちゃん、なかなかわか
 ってるじゃないか」
「は、はは、ははは……」

 まあ、喜んでいるんだし、本当のことは伏せておこう。

「それじゃあ、全員揃った事ですし、行きましょうか」

 かくして、危険人物多数と共に、豪華温泉旅行が始まった。

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震天さんのSHUFFLE!連載SSの始まりですよ〜♪
や、わたし連載って書けない人なので、どうやったら連載できるのか教えて欲しいぐらいだったりします。
ん〜なんと言いますか、最後の締めを決めてからでないと纏められない人なもので。

さてさて、温泉旅行ですね♪
しかも……もしや混浴っ!?
トラブルメーカーも一杯抱え、大波乱の旅行になりそうな勢いです。
個人的には……麻弓の活躍に期待。(ぉ
そして、置いてけぼりの樹の行動は如何にっ!?

待て、次回……ですね。(笑

Comment by けもりん


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