銀色
〜君が望む永遠サイドストーリー〜
〜早瀬水月〜
水月、孝之、遙、慎二。4人は仲の良い仲間でした。3年前、水月は孝之と遙の仲をお膳立てしました。自分自身も孝之のことが好きだったにもかかわらずに。そして、初めこそ戸惑いはあったものの、孝之と遙はすぐにラブラブカップルになりました。それを見ながら、水月は自分の心を押し込めようとします。ある日、それは水月の誕生日の日のことでした。孝之は遙とのデートの待ち合わせに向かう途中でした。バッタリ水月と孝之は出会います。水月は軽い気持ちでプレゼントをねだります。そして、近くにあったアクセサリーの露店で冗談半分に指輪をねだるのでした。孝之はその要請に答えます。露店としてはそれなりに値が張る指輪を、水月にプレゼントします。普段世話になっている、そして、大切な遙との橋渡しをしてくれた友達への感謝のしるしとして。指輪を渡した孝之は、急いで待ち合わせ場所に向かいました。待ち合わせの時間には15分ほど送れそうだったのです。1人残った水月はボーっとしてます。指輪を見つめて。一方、遙は待ち合わせ場所で、孝之を待っています。時間になっても孝之は現れません。もう少し待ってみます。5分、10分。孝之はまだ来ません。心配になった遙は孝之の家に電話をかけてみることにしました。近くの電話ボックスから。待ち合わせ時間から遅れること15分あまり、孝之は待ち合わせ場所であった駅の前に着きました。そこには人だかり。何かあったようでした。しかし、そんなことは気にせずに孝之は遙を探します。が、待ち合わせの場所に遙はいませんでした。そして、後ろの人だかりからは事故の話が聞こえてきます。そして、被害者が随分とひどい状態になっているという話も。背筋に寒いものを感じた孝之は人だかりの仲に割って入ってゆきます。が、救急車は被害者を乗せて行ってしまいました。やっとのことで人ごみの最前列に出た孝之が見たものは、ひどい血溜りと、そして、ひしゃげた電話ボックスでした。自分の悪い考えを払拭しようと、孝之は再び遙を探しに戻ろうとします。その孝之の耳に飛び込んできた音、警察無線。「え〜、現場の遺留品の鞄より被害者本人と確認」「白陵柊学園3年」「被害者氏名・・・涼宮・・遙」「涼しいに宮、遙なるの・・・」無機質に響くその音、最後の方は孝之には聞こえませんでした。聞ける状態ではありませんでした。
と、ここまでが一章。なんとここまでが体験版として配布されていたそうです。
結局、遙の命は助かります。しかし、意識は戻らないままでした。時がたって3年後、『銀色』の舞台となる日のつい2週間ほど前に孝之の下へ一本の電話がかかってきました。それは、遙の父親から。遙が目を覚ましたと。この時点で、孝之と水月は恋人になっていました。半同棲をするような大人の関係です。もちろん、付き合い始めるまでには紆余曲折がありました。始めの1年、孝之は自分のことを投げ打って遙の病院に通い詰めます。しかし、いつ目覚めるか、いや、目覚めるか動かも分からない遙の前にいることに孝之は耐えられませんでした。それには、遙の父親に「君は自分の人生を」と言いわれたこともあったからかもしれません。かねてより壊れてゆく孝之を心配していた水月と付き合い始めます。そして2年、もし遙が目を覚ましたら2人で報告して謝ろう、そういう約束になっていました。しかし、『もし』が現実になりました。しかも、遙は、今が3年後だと言うことを分からない状態で目を覚ました。事故の後遺症で、現実を認識することができなくなっていました。遙は、3年前の世界にいました。遙が見ている世界は3年前の世界でした。無理に認識させようとすると、ショックから再び意識を失うかもしれませんでした。意識どころか、最悪の事態も考えられました。そこで、皆は遙の前では3年前を装う様にしました。それはつまり、孝之にとっては恋人である時代にもどるということでした。そんな日々を過ごしていくうちに、孝之は遙への想いに目覚めていきます。孝之の想いも遙と同じように眠っていただけでした。そんな孝之を見ていた水月は、孝之を繋ぎ止めようと必死になります。孝之の求めること望むことならば、全て受け入れようとします。体も好きに扱って良いと差し出します。孝之の世話を必死にします。しかし、それでも孝之は遙に傾いていきます。孝之視点のプレーヤーからは、そんな水月は非常に鬱陶しく、また我侭に見えます。さらに水月は、慎二と一晩を過ごしてしまいます。
『銀色』では、水月に視点を移して、彼女がなぜにそういう行動に出たのかを綴ってみました。場面は孝之が水月にはっきりと別れを言い出した直後になります。別れの時に、お互いの持っている相手のものは自分で捨てようと約束をします。もちろん水月の指輪も含めて。この後、遙は退院します。現実を認識することもできています。が、水月は退院するときに、病院に来ませんでした。病院から出た孝之の携帯電話の留守番電話には水月からのメッセージがありました。「ごめんね、指輪は捨てられない」。そんな彼女の想いも含めてみました。一部サントラに含まれてるSSと食い違う場面もあり、公式な設定とは違ってしまいましたが、まあ、こんな可能性もあった、あるいは、私自身から見えた水月の姿、ということで。
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君が望む永遠はageの著作です。
ageは、当方とは一切関わりはありません。