12歳の学習(1)
 

かっこいい自分

               
 ことわざを使って文を作りました。私は面白いことに気づきました。ことわざの文を作っている時、自分が面白くなってきたのです。

 頭の中に、「これは、こっちの方がいい」とか「これはだめかも」といろいろなことが浮かんできます。気づくと、一つ目の文を書き終えていました。

 読み返してみると、それほど面白いという文ではありません。でも、この中には自分の思いが入っています。良い文とは言えないかもしれないけれど、思いが詰まった作文を書けて、自分がかっこいいなあと思いました。
               

 人は、産まれたばかりのころは、動物的な満足感を求めています。おなかがすけばミルクを飲んで満足し、痛さや恐怖のない世界をひたすら求め続けます。これは、すべて周りが与えてくれる受動的な満足感です。

 周りからあふれる愛をもらい、本当にあふれ出てしまうと、それが少し煩わしくなる時期が来ます。反抗期です。親にとって子供の反抗期はやっかいなもののような気がしますが、反抗期は成長する子供にとってとても大事なものです。

 この時期に、自分とは何だろう、ということを考え出すからです。

 反抗期を何度か迎えるうちに、人は、動物のような本能的な満足感だけを喜びとしなくなります。それ以上の喜びを「自分が進歩していることを自覚する」ことで得るようになります。

 「〜ができるようになった」「頭が良くなったような気がする」こうした喜びが、「満腹感」よりも自分を充実させるようになります。

 進歩している自分を自覚する喜びは、一生続きます。しかし、残念なことに、18歳を越えるころから、脳を含めた身体能力の進歩は、しだいにゆったりしてきます。うっかりしていると、後退さえします。

  子供のうちは、一日一晩がんばっただけで突然できるようになることがたくさんあるのに、大人になると、何日も何カ月もかけなければそれができなくなります。お子さんと一緒に一輪車の練習を始めると、骨身に染みて感じられると思います。

 12歳の今なら、頑張った分だけ必ずその成果が出ます。上の日記のA子さんのように、ちょっと一所懸命やれば、自分の脳が進歩しているのを感じることができます。

 「自分がかっこいいなあと思いました」こんな言葉で自分を愛することができるようになったA子さんは、楽しいすてきな人生を送れるはずです。
 

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