攻める
ドーハで、サッカーの日本代表は、1点リードして、時間の経つのを“待つ”という方法で、大切な勝利を逃しました。そして、やっとフランスを目の前にして、攻め続ける姿勢を持つことで、瀬戸際の勝利を手にしました。
この攻め続けるという姿勢は、勉強をするときにもとても大切なものです。
6歳までの子は、何も意識しなくても、物を覚えることができます。スタジアムへ来て唯々ボール蹴りを楽しめば、試合に勝てるようなものです。ですから、大人は、この子たちをスタジアムへ連れていってやるだけでいいのです。
すなわち、できるだけいろいろな体験のできる場を用意してやり、それが楽しいことだと知らせてやるだけで頭は良くなります。
6歳から12歳の子は、待つ姿勢があれば、どんどん物を覚えられます。コーチが的確な指示を与え、それをある程度忠実に守ることができるテクニックと体力があれば、試合に勝てるようなものです。
すなわち、与えられた課題(宿題等)を忠実にこなし、授業も真剣に聞こうという態度で臨んだ子は、頭が良くなるのです。
しかし、12歳を越えるとそうはいきません。サッカーでも、少年団のとき常勝チームにいた子すべてが、中学高校で順調に実力を伸ばすかというと、なかなかそうもいきません。そこには、いろいろな要因があるでしょうが、自分で工夫して練習しようという姿勢がなく、人の指示を待つことに慣れてしまった子は、中学からは伸びません。
勉強も同じで、小学校のうちは、授業を真剣に受け、宿題をまじめにやってきた子が一番になれますが、中学校からはそれだけでだめです。ちょうど12歳で小学校と中学校に分けてある日本の教育システムは、脳の変化に合わせて上手に作られているのです。(子供一人一人の成長に合わせられていれば完璧なんですけど、今のところ、難しいようです。)
さて、では、中学校入学を数カ月後に控え実際にどうしたらいいでしょう。基本は“攻め”です。興味のある教科は、どんどん予習をしていいと思います。同じことを2回勉強するなら、授業を受けて復習するより、予習をして授業に臨むほうが余程効率的です。
復習を一人でしているとき、もしわからないことが出てきても、誰にも聞くことはできません。予習をしていてわからないことが出てきたら、授業中に先生や友達の助言で解決できるのです。
Aさんは、1学期に宿題をたくさんためていました。“待つ”どころか勉強に“追われて”いたのです。しかしAさんは、修学旅行を機会に、ためていた宿題を全部終えました。その勢いで、算数の教科書も、授業より少し進み始めました。
その結果、Aさんは、毎日のようにその日の授業で分からなかったことを質問しにくるようになりました。これまで授業を頭に入れるのが精一杯だったのが、予習をしてみることで、どこがわかってどこがわからないのかということが、自分の中ではっきりしてきたのだと思います。
“攻め方”・・・予習の方法はいろいろあります。機会を見つけて、子供たちにも教えていきます。とりあえず今は、「これからは、待っているだけでは何も身につかない」ということを頭の中に入れてほしいと思い、子供たちに昨日話をしました。