明日の方向 



ゆっくりと赤く染まっていく

西の空には

もう見えない太陽の光線を

一身に受けて

金色に輝く小さな雲が

少しの時間

留まっている



西の空に祈るのは

彼岸の方向だからだと

誰かに教わったけれど

まだ、私には

この世界でやりたいことが

一つ残っている



今日だって

良いことがあったのだと

もし気づかずに終わったら

きっと明日も良いことに気づかない



明日は東からやってくるけれど

西の赤い空と金色の雲を

もう一度

しっかりと目に焼き付けて

夢見るように明日を迎えよう



    「文芸やいづ」第25号 入選

  ホーム「季節の小箱」へ戻る    「うたの部屋」に戻る