ハンドサッカー

1 はじめに
 (ここは読み飛ばしてけっこうです。)

 サッカーはすばらしいスポーツです。サッカーを通して、子供たちは色々なことが学べます。しかし、サッカーには、子供にとって一つだけ難しい部分があります。それは、サッカーの特徴である手を使えないということです。おかしな話に聞こえるでしょうが、手が自由に使えれば、サッカーは簡単にできる楽しいゲームです。
 手を使うサッカーは、現在2つあります。ラグビー(アメリカンフットボール・・・)とバスケットボールです。両方ともよく考えられたスポーツですが、小学生には向きません。ラグビーは危険すぎます。バスケットボールはゴールするのが難しい上に、競技として成立させるためにルールを細かくしすぎています。
 そこで、もっと自由に動けるゲームを子供たちと考えて、何年も積み重ねた結果、できあがったのが以下のゲームです。子供たちは自分たちの作ったゲームということで「わさび」「からし」「しょうが」などと自分たちで名前をつけて楽しんでいます。
 これまで、小学校2年生から6年生まで、どの学年でも楽しんで、しかも、終わった時はどの子もへとへとになるほど力を出し切ってプレーすることができました。絶対後悔させません。ぜひお試しください。


2 方法

 バスケットボールと同様に、ボールを奪い合い、ゴールします。
 以下の部分をバスケットボールと変えます。

○場所はどこでもよい。
・慣れるまで場所は体育館の方がいいでしょう。サッカー、バスケットボールのように、周りのラインは決めません。従ってラインアウトはなく、勝負がつくまでボールは止まりません。外でやるとボールが散ってつまらなくなります。

○点数を競うのではなく、全員がゴールしたら勝ち。

○ゴールは地上に置き、それに当てるだけでよい。
・セフティコーンが一番適しています。
・ミニバスケットのゴール下あたりに、セフティコーンを置くと形の良いゲームになりますが、小さい子は、コートのあちこちにおいてやると、たくさんゴールができて喜びます。
・ミニバスケットのゴール下あたりに、セフティコーンを置く場合も、コーン同士は離れていた方がよいでしょう。上手ではない子がゴールしやすいし、攻撃の形も工夫しやすくなります。
・ちょっと乱暴ですが、セフティコーンは思い切りボールをぶつけられるので、子供はそれだけで喜びます。後でもふれますが、1人がゴールしてもプレイは続行です。うまくなると、リバウンドボールが味方の前に転がるように、コーンにボールを優しく当てるようになってきます。
・ゴールのコーンは1チームの選手数より多い方がよいでしょう。攻撃すること、誰もがゴールの喜びを味わうことが一番の目的です。どんなに自信のない子でも、ゴールすることで大好きになります。

○コーンにノーバウンドで当てる。
・小さい子で、慣れないうちは、ノーバウンドでなくてもよい、としたほうが良いかもしれません。とにかく、全員がゴールの喜びを知るということが大切だからです。上手になってくるとノーバウンドの方が、攻撃の工夫の幅が広がっておもしろいでしょう。ノーバウンドかどうか、わからない時があります。基本的には、全員が認めないような当たり方はノーゴールにします。後にも出てきますが、審判はいません。プレーヤー全員が審判です。

○ノーバウンドで当てたら、帽子の色などを変える。
・全員が赤白帽子などをかぶり、ゴールしたかどうかがはっきりわかるようにします。ゴールした子がそのボールをそのまま味方に渡さないよう、帽子をかぶり直すまではプレイしてはいけない、という子供の作ったルールは、大変効果を上げています。

○ボールを持ったまま歩いてはいけない。
・このゲームの中で、唯一、子供をしばるルールです。最初は固まってしまいますが、そのうちに、いろいろな方法を見つけだし、おもしろいドリブルを発明してきます。
・三歩までよいなどと細かいことは決めない方がよいでしょう。子供たちはどうしてもボールを持ったまま動いてしまうのですが、どのくらい動いたら反則かという塩梅はやっているうちに子供の中で決まってきます。指導者は口を出さない方がいいでしょう。

○プレイはどんなことがあっても途切れさせない。
・こうすることによって、集中力が高まります。
・誰かがゴールしても、そのままプレイオンです。ボールを拾った人が続けてプレイします。ですから、上手なチームは、最初の人が当ててから、10秒で全員当ててしまうこともあります。
・危険な場所に行かない限り、ラインアウトはありません。壁に当たろうが、隣のコートやベンチにまで入ろうが、プレイは続行です。
・ボールの取り合いでプレイが止まったらすぐにじゃんけんをします。ボールの動きが止まることが、このゲームの中で、最もつまらない状態です。ドリブルでもパスでもよいので、ボールを止まらせないように助言しましょう。

○セルフジャッジにする。
・子供の遊びはいつでもセルフジャッジです。喧嘩でゲームが止まったら、没収試合にしてしまえば、次からは、じゃんけんで解決するなど、自分たちでよい方法を考えます。

○1チーム4人ほどがよい。違う人数のチームが戦ってもよい。
・「人数の多いチームは全員ゴールまで時間がかかるが、パス回しは有利。人数の少ないチームはパス回しは不利だが、ゴールの数は少なくてすむ。」と説明すれば、納得します。

○相手の体に故意にさわってはいけない。
・夢中になると子供たちの体はぶつかり合いますが、それをどう処理するかは子供たちに決めさせましょう。

○開始は、他チームの子がワンバウンドでコートに入れる。
・ジャンプボールは難しすぎます。

後は、そのときの子供たちに合ったルールを、子供たちと作ってください。


3 子供が全力でがんばれるように

○一度に数試合できるようにする。やりはじめは曜日を決め毎週行うなど、次こそがんばろうという気持ちを持たせる。
・現在31人のクラスを担任しているので、生活班を4人ずつ(1つの班は3人)8班を作り、4チームずつリーグ戦を行っています。それぞれを強いリーグ、弱いリーグと名付け、リーグ戦の後、入れ替え戦を行います。こうすると、1チーム3,4ゲームを楽しめます。導入直後は30分近くかかりますが、子供たちが上手になり慣れてくると、授業の一部の時間を使うだけでできるようになります。今年(2002年)は、水曜日が「めいたいこの日」です。

○エースを作る。
・ゲームは上手な子も下手な子もいます。けっして、みんな同じ力を持っているなどと平等を語ってはいけません。みんな平等などと言ってエースを作らないと、うまい子が「どうして君はゴールできないのだ」とへたな子を責める場合もでてきます。うまい子には、エースという名の誇りと責任を持たせましょう。「君のパスとドリブルがみんなのゴールを生む。チームの勝敗はすべて君のプレーにかかっている」と、勝利チームのエースとしての誇りを持たせ、破れた責任を取らせることで、エースは進歩します。エースがひたむきにがんばれば、他の子は喜びます。自分のところにすばらしいパスが来て、ゴールの喜びと勝利の喜びを味わえるからです。エースのよいパスをもらうために、自分も工夫や努力を怠らなくなります。エースとして充実感を味わえた子も、次にチームを作るときはエースと呼ばれたいとがんばる子も、自分のチームのエースからすばらしいパスをもらってゴールを決めた子も、みんなこのゲームが楽しくなります。


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