一人で生きていく

 修学旅行が無事終了しました。準備からお迎えまで、お家の人に頼むことばかりでしたが、お陰で全体がスムーズに進行しました。ありがとうございます。

 無事に終了したと言っても、思い出に残るエピソードはたくさんあります。電車でおばあさんに席を譲られたA君。グループ活動なのに、すべての荷物を持ってバスから降りてしまい、山のようなお土産を背負ったまま、後楽園遊園地の乗りものに乗らざるを得なくなったB君。鎌倉の集合時間に遅れてしまい若宮大路を全力疾走したグループ。上野から秋葉原とは反対方向の山の手線に乗ってしまったグループ。

 お子さんは、どんな話をしたでしょうか。

 今まで引率者として10回ほど修学旅行に行っていますが、このクラスの一番良いところが、この旅行でもはっきり出ていました。それは、自分勝手な行動をする子がいない、友達のことをいつでも気遣いながら行動すると言う点です。こういうところを見ていると、本当にこの子たちと知り合えて良かったなあと思います。

 さて、今回の旅行で、私が一番強く感じたのは、子供たちそれぞれの“一人で生きていく力”の差です。旅程がほとんど頭の中に入っており、緊張はしているものの、グループを率いててきぱきと動く子。自分のことはもちろんしっかりできていて、さらに、グループの子たちのことを気遣う子。6年生としては、100点満点以上の子が何人もいました。

 残念ながら、逆の子もいました。計画が全く頭の中に入っていないのか、行動の前にグループの子に「次はこうだよ」と必ず説明をされている子。行動場所が変わるたびに、「あれは持った?これは用意してある?」とグループの子に心配してもらっている子など、まるで“グループ内のお父さん、お母さん”に旅行に連れていってもらっている幼稚園児のように見える子が何人かいました。

 個人差と言ってしまえばそれまでですが、後者の子たちは、やはり気になります。なぜなら、この子たちは、ふだんの学校生活の中でも、ほとんど同じ状態だからです。中学生になると、一人一人が今よりうんと忙しくなります。そうなると、いくら優しい気持ちを持っていても、今ほど、友達の面倒を見ることはできなくなるでしょう。

 先に書いたように、このクラスのほとんどの子は前者で、友達に対して大変面倒見が良く、後者の数人の子は、その他の子の優しさに頼り切っている状態なのです。後者の子は、今のままでは、多分、中学校では“生きて”いけないでしょう

 お家の中では、比べる対象がいないので、こんなことを書くと不安に思われる方がいらっしゃるかもしれません。また、私一人の個人的見解だけでそれぞれのお子さんの状況をお伝えするのも、100%正しいとは言い切れないでしょう。お子さんが、前者なのか後者なのか、ぜひ、この機会にお子さんのお友達に聞いていただくと良いかと思います。
 

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