一流の条件

 学年の合同体育の授業(学校では略して合体−ごうたい−といいます)がありました。1組の先生に指導してもらい、学級対抗の簡単な運動をしました。

 ボールを使ったドリブルリレーでおもしろいことに気づきました。各学級ともドリブルしていく選手は同じように真剣にプレーしていましたが、プレーし終えた子供、自分の番を待っている子供は、学級毎にそれぞれの姿を見せてくれていたのです。

 その中で、このクラスの特徴はというと、プレー中の子以外は、みんな列を守って座っていたことです。少し離れた場所から見ていたのですが、最初は、他のクラスに比べてやる気がないのかなあと思いました。そこで、少し近寄って、子供たちの顔を見ることにしました。

 すると最初私の考えていたことが全く見当違いだと分かりました。座っている一人一人の顔は真剣で、大きな声を出して自分のチームのプレーヤーを応援していたのです。

 三流の人間は、感情に任せて興奮し、冷静な判断を失ってしまい、自分の能力の何分の一も出し切れずに人生を終わります。二流の人間は、このような失敗を恐れ、頭の中を冷静にすることに努めます。その結果、自分の100%の力は出し切れるものの、熱いハートを取り戻すことが難しくなり、自分以上の力に出会ったとき、手も足も出なくなります。

 一流の人間は、冷静な頭を保ちながらも、熱くハートを燃やすという力のある人です。冷静な判断によって100%の力を出し切り、熱いハートによって、それ以上の力さえ出せるのです。

 子供たちの目は真剣でした。プレーヤーにかける声も、気持ちが一杯こもっていました。しかし、興奮し過ぎて立ち上がったりする事なく、真っすぐな列を保っていました。(チームの中に立ち上がったり、列を乱す人間がいると、プレーヤーの邪魔になってしまうのです。)

 これは、一流の人間になる要素を、お子さんが備えているということです。ゲームは負けてしまいましたが、合体を見ていて、私は、この子たちの担任であることが、とってもうれしくなってきました。

 18ホール目のタイガーウッズのように、そのうえに、感謝しながらプレイできるようになれば、超一流になれますね。
 

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