時間を創る
 

あっという間

               
 二週間前くらいから図工の材料を集めてきて、いよいよ今日が作る日です。みんな、自分の持ってきた材料を、いろいろと机の上に出していきます。とてもたくさんのメカらしい部品を持ってきています。

 僕は設計図を見ながら作り始めました。作りながら自分の描いてきた設計図をよく見ると、思わぬ欠点にも気づきます。設計図の欠点を直しながら一つ目を作り終えたときには、もう、一時間目が過ぎて、二時間目に入っていました。 

 僕は、一つのことに熱心に時間が過ぎたことも忘れて作業に没頭できるのは、いいことだと思います。みんなも、二時間目が終わるときには、「もう終わりなの。」と口々に言っていました。これからも、自分のやっていることに、こんなふうに真剣になれたらいいと思っています。
               

 地球は毎日同じ速さで回っているのに(ここ何十万年かで少し遅くなったのに、人間の細胞がそれに対応できていないようですが)、不思議なことに、人が感じる時間の速さは、その時々によって随分違うようです。楽しい時間はあっと言う間に過ぎ、つまらない時間は淀んだように感じるものです。

 さらに不思議なことに、楽しくてあっと言う間に過ぎた一日は、その分その日の思い出も少ないかというと、全く逆です。あっと言う間に過ぎた楽しかった日々は、後で振り返ると思い出の宝庫です。逆に、一日一日が退屈で、早く過ぎてくれないかなあと考えてばかりいた日々の思い出は、それほど多くありません。

 これは、脳の活性度に関係します。楽しくて時間を忘れているときほど、それに集中し、脳も活性化されています。つまらない時間というのは、時計に目をやるばかりで、その作業に集中していません。もちろん、その分脳も仕事をしていないのです。

 あっと言う間に過ぎていく時間が多ければ多いほど、脳も心も精一杯働き、思い出の詰まった豊かな人生を送っていると言っていいかもしれません。

 ただ、ここに問題がひとつあります。このあっと言う間に過ぎた時間が、自分で作り出したものか、人から与えられたものかということです。

 テレビを見ていても、ゲームをやっていても、楽しくて時間はあっと言う間に過ぎていくでしょう。しかし、これは、人から与えられたもので、なくなると次を「買わなくては」いけません。こういう楽しみしか知らない人は、一生「買い続けて」いかなければなりません。

 逆に、自分で作り出していく楽しい時間の過ごし方を知っている人は、(形あるものにしても無いものにしても)その結果生み出されたものを、人に分け与えることができます。

 次のような子は、あっと言う間の時間を自分で作る芽をもっています。

・テレビをだらだら見るのでなく、番組を選んで見る子。または、テレビより も読書が好きな子。

・ゲームをだらだらやるのではなく、ゲームを改造したり創作したりしようと している子。または、外で、いろいろな遊びを友達と考え出す子。
 

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